つれづれぶらぶら

例のアレの実写版ってどんななん?不安しかないんだが。

『空中ブランコ』

最近、「電気グルーヴ」の情報と「東京ヤクルトスワローズ」の情報をですね、別々に漁っていたら、どちらのルートからでも『空中ブランコ』というアニメーションの情報に突き当たってしまいまして、ちょっと覗いてみたんです。 

 

空中ブランコ』とは、第131回直木賞受賞作、著者・奥田英朗精神科医・伊良部シリーズの短編小説集。

それを原作としたアニメーションが東映制作、2009年にフジテレビ・ノイタミナ枠で放映されたもの。

作品は1話完結の連作で、毎話、心の病に苦しむ登場人物が精神科医・伊良部一郎の診療室を訪れる…というものなんですが。

 

こう書くと、なんかね、すっごく重たそう~な感じするじゃないですかぁ?テーマがメンタルヘルスって、そんな暗いテーマをわざわざアニメで見たくないよ、って思うじゃないっすかぁ。

 

ところが開けてビックリ玉手箱。超ド派手POP極彩色のドギツイ画面にまずは呆気にとられます。

ほんでもって、この伊良部一郎という医師が途方もなくトンデモ医師。子供っぽい口調で注射フェチ、診察してんだか患者をおちょくってんだか分かんない態度。

なんせ伊良部一郎(大・中)の声優があの三ツ矢“グレーゾーン”雄二氏ですからね。もうその時点で怪しさ大爆発なのがお察しでしょ。

ちなみに、この伊良部一郎、番組中で何故か分かんないけど3種類の形態に自由自在に変化します。

 

「大」:緑の巨大なクマの着ぐるみ姿。一番おっさんっぽい風貌ながら、態度は一番ガキっぽいという。い↑らっ↑しゃぁ~~~~い♪

「中」:金髪メガネの美青年。エロと運動神経担当。んふふふっ♪

「小」:クマのぬいぐるみを持った不愛想な少年。醒めた口調でシニカルな言葉をずけずけと発する。CVは朴路美さん。

 

んでだ、さらに患者も変化するのです。

ビタミン注射を打たれるとなぜか動物の姿(シンボル化)してしまう。例外的に動物の姿にならない人もいるけど、その理由は見てのお楽しみということで。

 

さらにさらに、この画面で異彩を放ちまくっているのが「ハイブリット・アニメーション」なる、実写とアニメの融合したような演出手法。

患者役の登場人物がいきなり実写っぽくなる。端的に言うと、その役を演じている声優さんのお顔になってしまいますのよ。

ちなみにこの診療室にいるセクシー・ナースの「マユミちゃん」は女優の杉本有美さんが演じているのだけれども、毎回実写でそのセクシーな胸の谷間や太ももをチラチラしてくれます。

しかしこのマユミちゃん、単なるお色気担当かと思わせておいて、実は要所要所できっちりイイ仕事をしてくれるステキなナースです。第3話と第6話、最終話とかね。

 

…で、最初はこの“ぶっ飛んだ演出”が気になってしまって、拒否反応を示す人は第1話で脱落してしまうみたいなんだけど、そこで耐えて何話か見続けていくと、あれっ、このアニメ意外と深くねぇ?ってコトに気づくんですね。

なんせ内容がメンタルヘルスです、心の病です。現代人にとっちゃ目を背けたいけど身近なテーマです。

インタビューによると監督さんも企画当初は「患者が診察室を訪れてスッキリ完治して出て行く」的な内容を考えていたそうなんですが、そんなに心の病が簡単に治るもんじゃねえっての。

というわけで、この連作中の登場人物も、そのほとんどが最後まで完治なんかしません。第2話の彼が“身体の症状”が治まったぐらいかなぁ。

でも、伊良部一郎との交流の中で、患者が自分自身や周囲の環境を見回していく、その中でそれぞれが“気づき”を得て、とにもかくにも次のステップを踏み出す、その結末への道のりが実に温かいのです。

特に、第10話「オーナー」はファンの間でも名作の呼び声が高い作品。いやホント、終盤かなりグッと胸にきた。神宮球場で失われた時間を取り戻すシーンは感動的。

 

で、そんな感動的な第10話の後の最終話「カナリア」が、めっちゃ重い!!!!

最終話の登場人物を演じるのは、満を持しての古谷徹氏ですよ。さすがとしか言いようのない壮絶な演技で「普通のヒト」の心の闇を表現しています。

でも、でもね。やっぱりこの最終話が本当にこの『空中ブランコ』という作品が言いたかったこと、なんですよ。

 

我々は、カナリアの声に耳を澄ませることができているか。

 

「No one is perfect!」

 

でも、そう心配することはない。困った時にはその扉を開けばいい。

 

「い↑らっ↑しゃぁ~~~~い♪」