私が嫁いだ長野県の諏訪地方では、全国三大奇祭として有名な「御柱(おんばしら)祭」が7年ごと(寅と申の年)に行われます。
信濃國一之宮にして、全国各地にある諏訪神社の総本社であります。
諏訪大社という一つのお宮があるわけではなく、諏訪湖を取り囲むように4つのお宮があります。
4つのお宮は大きく2つに分けられ、諏訪市の「本宮」と茅野市の「前宮」の2つを合わせて「上社(かみしゃ)」と、下諏訪町にある「秋宮」と「春宮」を合わせて「下社(しもしゃ)」と呼びます。
で、その諏訪大社の4つのお宮は、それぞれ四方に樅(モミ)の巨大な柱が立てられているのですが、この柱を7年ごとに立てかえるために山から新しい丸太を人力で運んでくる祭事が「御柱祭」です。
すなわち(上社:2宮×4柱)+(下社:2宮×4柱)=16本もの巨木をえっちらおっちら氏子達が曳いて歩く、そういうお祭りです。
しかも、御柱祭は1回では終わらないんですよ。
山奥から里まで巨木を運ぶのが前半の「山出し」で4月に行われ、里からお宮まで巨木を運んで柱を立てるのが後半の「里曳き」で5月に行われます。
それぞれ上社と下社で開催日が違うので注意。
上社:山出し4月2・3・4日
里曳き5月3・4・5日
下社:山出し4月8・9・10日
里曳き5月14・15・16日
さて、今回行われたのは「上社:山出し」。
途中、茅野市穴山での「大曲」(直角カーブを一気に曲がる)、茅野市長峰での「木落とし」(急坂を滑り降りる)、茅野市宮川での「川越し」(川の中を進む)というイベントを経て、茅野市安国寺にある「御柱屋敷」がゴール。
で、旦那の父親の実家がこの安国寺地区にあるため、うちは毎回「お宿」をやらにゃいかん。
「お宿」というのは、御柱を曳く人々を、街道筋の家々が酒や料理でもてなす風習。 で、安国寺あたりの家々ともなると、川越しを終えて全身びっしょ濡れに冷え切った人々にお風呂を提供したりもするわけで。
前回(2010年)は結婚早々に体験する御柱祭だったもんで、朝も早くから実家に行き料理を作り、知らない人々が勝手に玄関から着替えを投げ込んでくるのに面食らい、夜遅くに水を滴らせて来る人々が勝手にお風呂を使うのに戸惑い、その後はお酒と料理をふるまうのに忙しかったわけで、いやー、こりゃとんでもない場所に嫁いだもんだぞ(;゚Д゚)
ただ、今回は実家の風呂が壊れていて使えない、舅の体調もあまり良くない、ということで、既製品のオードブルとビールで、とりあえず3日と4日の2日間だけ対応しよう、という形で規模を縮小しまして。
んで2日間、いつ誰が来ても対応できるようにと、ずーーーーーーーっと家の中で待機していたのですが、結論から言うと誰も来なかった。やっぱ風呂を貸さないと誰も来ないねぇ。
そうは言っても2日間ずっと家の中にこもっているのも退屈だし、息子にとっては初めて認識するお祭りだもんね(前回はまだ赤ちゃんだった)。
舅や旦那に留守番を頼んで、息子と一緒にちょこっとお祭りを見に行ったりしたわけですよ。 トランペットの音がするほうに歩いて行けば、巨大な御柱が「めどでこ」を揺らしながら進んでいきます。
上社と下社の御柱祭には色々と微妙な違いがあるんですが、柱の両端にV字型に「めどでこ」と呼ばれる棒を突きたて、そこに人々が乗って進むのが上社のやり方。下社の御柱にはめどでこはありません。
めどでこのてっぺんに乗っている人は信号機と並ぶほどの高さ。その状態でゆっさゆっさ揺らすからね。見てるほうが怖い(;゚Д゚)
やがて早春の宮川の岸に着いた御柱は、大勢の氏子や観光客に見守られながら、「木遣り」という唄に合わせて岸からせり出し、
一気に川の中へドボーン。
ざぶざぶと冷たい信州の雪解け水の中を進み(ちなみに前々回は雪が降る中での川越しであったそうな)、対岸に引き上げて、
御柱屋敷と呼ばれる広場に8本全ての御柱を並べて、5月初めの里曳きまで安置します。
氏子の皆さん、3日間どうもお疲れ様でした(∩´∀`)∩ヨイサー!