いつも私が広島に帰ると、あれこれ手厚くもてなしてくれる親友のMさんが、今年も「ドライブに行こう」と誘ってくれました。
どこへ行きたいかと尋ねられたんだけど、最近の広島事情にも詳しくないし、どこがええんかなぁと迷っていたら「呉とかはどう?」と。
おおー!呉(くれ)!行きたーい!!!(*'ω'*)
呉市は広島県の南西部にある湾岸地区で、瀬戸内海の穏やかな光景が魅力的な観光地のひとつ。
かつては帝国海軍の中枢【呉鎮守府】として、かの有名な戦艦大和を生み出した日本一の軍港。そして今でも海上自衛隊の拠点となっています。
ま、それ以外にも映画『仁義なき戦い』の舞台としても知られていたりして、ほいじゃけぇ呉はヤクザの街じゃてゆわれよるけど、実際にゃぁ、まったりしたエエ街なんじゃけぇ。
呉は広島市内からそう遠くはないけど、JR呉線で行こうとすると1時間ぐらいかかるってんで、そうそうちょくちょく行ける場所でもないんだよねぇ。
ってなわけでMさんのご厚意に遠慮なく甘えさせていただく。甘えついでに「音戸の瀬戸にも行きたい。渡し舟に乗りたい」と要望を出す。
で、当日の朝、実家に迎えに来てもらって、私と息子でMさんの車に乗り込む。
車内にはもうひとり、古くからの友人のYさんもいた。きゃー何年ぶりかねぇ、元気しとったー?(*^▽^*)と再会を喜び合う。
MさんとYさんと私、20代の頃はいつも3人でつるんで遊んでて、休みの日ともなれば誰かの家に上がり込んでスーパーファミコンで『桃鉄』やりまくってた仲なんだよね。
広島呉道路を南下して、海を渡って呉に上陸。
Mさんが「てつのくじら館が面白いらしいよ。本物の潜水艦があるらしいよ」という情報を掴んでいたので、そこへ向かう。
てつのくじら館は、その正式名称【海上自衛隊呉史料館】が示すとおり、海上自衛隊が運営している施設です。
ってなわけで、なんと入館無料だったΣ(・ω・ノ)ノ!
このクソ暑い呉の街で、一日じゅうのんびりと涼んでいられるというだけでも入館の価値はあるんじゃなかろうか。
…いや、もちろんクーラーだけじゃなくて、展示物もすごく勉強になったんだよ。本当に面白かった。
まず外観を見て、真っ先に目に飛び込んでくるのは巨大な潜水艦。それが建物の3階部分に横付けされた形で宙に浮かんでるのね。
空飛ぶ潜水艦を気にしつつも、まずは史料館に入りましょう。
最初のエリアの1階から3階までは、海上自衛隊の歴史と、その主な任務であるところの「掃海」についての説明。
戦時中に大量にばらまかれた機雷が、今も海中にたくさん存在していて、それを除去していくのが「掃海」。
安全な海の航行のために、自衛隊員さん達は命を賭してこの危険な任務に日々取り組んでらっしゃるんだなぁ…と思うと頭が下がります。
その次は、いよいよ潜水艦の展示。かつて活躍した潜水艦の模型や、船内の様子を実物大模型で説明してくれています。
ちなみにその日は「てつくじ男子」によるサービスデー。実際に潜水艦に乗って任務を行っている若手自衛隊員が、お客さんに展示物の説明を行ってくれます。
潜水艦の中は非常に狭いので潜水艦勤務の審査で重視されるのは身長が低いことなどの「サブマリナーあるある」を、ジャイアンツファンのイケメンてつくじ男子が楽しく説明してくれました。
それから、いよいよ実際の潜水艦に乗り込みまーす。
うっわ、ホントに狭い!天井がめっちゃ低い!居住空間がめちゃくちゃ小さい!こんな狭いところで、海の底で隠密活動をするなんて、自衛隊員さんはホントに大変なんだなぁ!
カープファンの職員さんの手ほどきを受けて、潜望鏡で外を眺めることもできます。ってかどうして、てつくじの皆さんはいちいち「自分の好きな球団」をアピールするんだろうかwwww
その後は海上自衛隊の制服を着て写真を撮ったり、グッズコーナーでマニアックなグッズを買い漁ったり。最近うちの旦那が『艦これ』にハマってるから、胸元にでかでかと「呉鎮守府」って書かれたTシャツをお土産に買ったわ(^^)v
喫茶店でレモンサイダーと、呉名物の「メロンパン」を食す。あ、広島でメロンパンって言ったらこれじゃけんね。関東の皆さんが言うメロンパンは、広島じゃサンライズ言いますけんね。
呉の街を後にして、さらに南へ。
本州と倉橋島の間にある幅90メートルほどの細い海峡が、私が行きたがっていた「音戸の瀬戸」です。
この海峡は平清盛が開いたとされ、清盛が沈む夕日を扇で招き返して工事を終わらせたという伝説があるのですって。
ここには真っ赤なループ橋がかかっていて、子供の頃、バス遠足で来た時にはぐるぐる回って進むのが面白くてねぇ。
そんなことを思い出しながら橋を渡っていたら、やっぱりうちの息子も面白かったらしくて「ぐるぐるばし!ぐるぐるばしー!」と珍しそうにはしゃいでました。
昔はこのぐるぐる橋だけだったんだけど、最近になってもう1本バイパス橋がかかったようです。
で、車の交通の便は向上したようなんだけど、相変わらず人々の足を支えているのが、渡船。
「まっとって下さいね」という広島弁にほっこりしつつ桟橋に出ると、お、お、お、揺れる揺れる。桟橋がぐらんぐらん揺れる。おっとっと。
非常に簡素な造りの船に乗り込んで船頭さんに乗船賃を払う。乗船賃は大人100円、子供50円。往復なので倍額支払うと、船頭さんがエンジンをブルンとかける。
軽油の焦げる黒煙をもくもくと上げながら、船は目と鼻の先の対岸目がけて進む。
とはいえ、この音戸の瀬戸は本州と四国を繋ぐ海上交通の要衝であり、ひっきりなしにフェリーがやってくる。
フェリーが横を通り過ぎると、お、おおお、おお、お、船がぐらぁんぐらぁんと揺れまくる。しかもこの船、手すりのない(ただの板の)部分もあったりするので、息子が転げ落ちやしないかとヒヤヒヤ。
そんな不安をよそにあっさり対岸に着いて、お客さんを乗せかえたら、またすぐに折り返し。あっという間の船の旅ではあるんだけど、あー面白かったーヾ(o´∀`o)ノ
ちょうどお腹が空いた頃なので、音戸の瀬戸公園のレストランで昼食。
息子はカレー、Yさんはお蕎麦を注文したんだけど、珍しもの好きの私とMさんにはどうしても気にかかるメニューがあったのよね。
『がんすサンド』。
がんす、ってのは呉の名物で、まぁ端的に言えば、魚のすり身を練って揚げたやつ。ちょいと炙って酒の肴にしたりとか、晩御飯のおかずなんかにも良いのよ。
で、がんすをサンドウィッチの具にする勇敢さに惹かれて注文したんだけどさ、いや、拍子抜けるぐらい普通に美味しかった。チーズとレタスとの相性も悪くないね。今度うちでもやってみよっと。
さて帰るか、ということで、再び呉の街を抜けて広島方面に向かうのだけれども、MさんもYさんも熱心な野球好きだってことで、この2人にならもう一つお願いをしても許されるだろう。
「呉市営二河球場が見たいんよぉ」
私がそう言うと、Mさんは「あー、二河球場ね、いいよー」とハンドルを切って寄り道してくれる。
二河球場(にこうきゅうじょう)はいわゆる地方球場なんだけど、カープの公式戦も開催されることがあって、広島県民にはお馴染みの球場。スタジアム好きとしてはその球場を見てみたくってさ。
その日は大学野球かな、学生さんが試合をやっていた。炎天下のグラウンドを砂ぼこりを巻き上げながら、若者達が駆け回っている。熱中症には気をつけんさいよー。
帰り道は、うちの息子はスヤスヤおねんね。
私はYさんと今季のカープ及びセ・リーグについて激論を交わす。ついでに野球選手は顔か身体か成績か、という野球女子らしい下世話な会話なんかもして、隣で黙々と運転しているMさんは終始半笑い状態。
あーやっぱ広島いいよな。こうやって女3人集まって濃い野球の話ができるのっていいよな。
制服姿の女子高生がスポーツ新聞を広げて熱心に読んでいても誰も不思議に思わないのが広島という地なんだけれども、それって他県から見たら異常な風景なんだわ、ということに長野に来て気づいたもんなぁ。
そんなこんなで、今年も友人達のおかげで楽しい旅ができました。ありがたいねぇ。感謝感謝です。