つれづれぶらぶら

5月の反射炉ビヤ行きますよー!酔い蛍グループの皆さんにまた会えるかな?

『ひきだしにテラリウム』と『ダンジョン飯』

いやはや、コロナビールなら歓迎なんすけどね。

若い頃、仲間たちとよくショットバーに行ったっけなぁ。コロナビールの瓶の口に切ったライムが差してあってさ。それをキュッと瓶の中に押し込んで飲むと爽快だったなぁ。

…まぁ、現実はビールじゃなくてウイルスのほう。絶賛大流行中、全世界が泣いた衝撃の問題作ってやつだ。正直、インフルエンザと何が違うねんと思うところもありつつの、政府の決定には逆らえぬ。あまりにも早すぎる春休みの到来に、息子は喝采の声をあげ、そして母は溜息をつくのであった。

そもそもだ、元気な小学5年生男児に「ひとりでお家にいなさい」というのはかなり難易度の高いミッションで、あ、いや、お留守番は出来るんだよ、だからそっちは問題じゃなくてさ、有り余る体力を持て余してる子供を外に出さないようにするにはどうしたらよいのか、というミッションのほうだったりする、難しいのは。

 

てなわけで、この土曜日は「おこもり準備の日」と位置づけてあれこれ動く。仕方ないじゃない、何の準備もなしにそんな難易度高いミッションこなせるかっての。

 

まずはレンタルビデオ屋に連れてって好きなビデオを選ばせる。やっぱり他のご家庭も同じことを考えているらしく、店内はおこもり準備中の家族連れで賑わっていた。集団の中に長居するには危険なので、手早く選ばせて、そそくさと店を出る。

そうだ、ついでだからHALCALIのCDも借りていこう。恋のブブブン(『サイボーグ俺達』に収録)聴きたいんだもん。

 

それから、息子が「借りたい本がある」ってんで、隣町の富士見町図書館へ車を走らせる。富士見町図書館は綺麗で居心地のいい図書館なんで、本当はゆっくり座ってあれこれ読みたいところだけど、学校側から「図書館は利用してもいいけど、本の貸し借りのみに留めること」という指示が出ているので、ここでもささっと選ばせる。

 

そんでもって、私も富士見町図書館で借りたい漫画があったのだ。

九井諒子さんの『ひきだしにテラリウム』である。 

ひきだしにテラリウム

ひきだしにテラリウム

  • 作者:九井諒子
  • 発売日: 2013/03/16
  • メディア: コミック
 

 私が九井諒子さんを最初に知ったのはこの漫画で、ヴィレッジヴァンガードに「お試し用」として置いてあったものをパラパラっと読んでみたら、絵は上手いわ設定が細かいわアイディアは面白いわで、すげぇ漫画家さんが出てきたもんだなと感心したのである。

『ひきだしにテラリウム』はいわゆるショートショート集で、ちょっと不思議な短い物語が33本も詰め込まれている。昔、兄貴の部屋でよく読んだ星新一筒井康隆眉村卓横田順彌あたりのSSを思い出すような、ちょっと不思議で、ちょっとクスッと笑える掌編の数々。

しかも話によって絵柄が違い、少女漫画っぽいのから劇画調まで、実にさまざまな絵を上手く描き分けている。器用だなぁ。

どれも面白いのだが、個人的に好きなのは『遠き理想郷』。中学生が小学生向けの紙芝居を作ろうとして学級会でそのシナリオを討論するお話。討論すればするほど世界観がどんどん複雑になってしまって手に負えなくなるという創作あるあるみたいな展開が笑える。

息子は『神のみぞ知る』でげらげら笑っていた。村人が疫病の原因である「神」を殺そうとして奮闘する話。村人たちは大真面目に神を殺そうとしているのだが、傍から見るとまるで違う作業になっているというギャップが笑える。

あと、やっぱ笑えるのは、「鼻にプスッとやる道具」である。これあったら便利だろーなー。何の道具かは見てのお楽しみ。

 それと、表紙・中表紙・裏表紙に渡って、作中に登場するキャラクターがあちこちに散りばめられているので、それを探してみるのも楽しいです。

 

そんでもって、九井諒子さんを一躍有名にしたのが『ダンジョン飯』。 

ダンジョン飯 1巻 (HARTA COMIX)

ダンジョン飯 1巻 (HARTA COMIX)

 

 このブログでも過去に取り上げていて、現在は8巻まで出ている。「このマンガがすごい!2016・オトコ編第1位」など多くの賞を受賞していて、新刊が出ると本屋に平積みになる人気作である。もちろん我が家も新刊はすぐ買う。

いわゆる「剣と魔法の冒険ファンタジー」のジャンルの漫画ではあるのだが、そこに「グルメ」を組み合わせたのが新機軸。現在では「ファンタジー×グルメ」系の漫画はたくさんあるけど、その先鞭をつけたのが『ダンジョン飯』であったと推察する。

この漫画を面白くしている要素はたくさんあるけど、何といっても頭一つ抜けているのは「設定の異常な細かさ」であると思う。

ダンジョンの中に出てくる魔物はファンタジーものには定番のスライムやらガーゴイルやらマンドレイクやらであったりするわけなんだけども、それをいちいち、構造はどうなっていて、毒があるかないか、味や食感はどうで、捕獲する際の注意事項はどうで、ということを微に入り細に入り、主人公のライオスが嬉しそうに語ってくれる。

また、センシが調理する魔物料理が不思議なぐらい美味しそうで、ありえない料理であるにもかかわらず、読んでいると口の中に味が伝わってくるような気がする。とりあえず「コイン虫のせんべい」は、現実にあったならば、私もチルチャックと同じように延々とポリポリ食べ続けてしまいそう。

私が最初にこの漫画を手にしたときに、「これ絶対に面白いやつ!」と思ったのは、第1話の途中にある「干しスライムの名産地 春の風景」というなにげない1コマである。ほんとにありそうな光景…、でも干しスライム…、どっかで見たような錯覚に陥ってしまうけど、干しスライム………。