つれづれぶらぶら

お熱さがったお。元気だお。

堂林翔太くんの活躍を喜びたい

異例のシーズンとなった今季のプロ野球

試合数が少ない、延長は12回までじゃなく10回まで、ベンチ入り人数も違う、クライマックスシリーズ(CS)もない、客数の上限がある、などなど色々物足りない点もあるっちゃーあるが、もうそんなのどうでもいい。

「今年はもうプロ野球が観られないかも」と絶望していた春の時分から考えれば、とにかく夕方6時にいつものように「RCCカープナイター」の、あのラデツキー行進曲を聴けるだけでも、本当に得難い幸せだと実感するのだ。

現在、カープは最下位です。

じゃけんどうした。佐々岡さんも1年目なんじゃけん、試行錯誤してやってってくれたらそれでええんじゃ。できれば若い子を恐れずに使ってってほしいのう。今年はどうあっても優勝は無理じゃろうし、CSもないけん日本シリーズ進出への夢もほぼほぼ厳しい、ということは充分に分かっとるの。それじゃったらむしろ今季は踏み石じゃと思って、次世代の戦力作りに励んでいってもらいたいのう。なんせ、今後が楽しみな子がようけおるんじゃ。坂倉と奨成の捕手争いも楽しみなし、小園やら羽月やら大盛やら野手も元気ええのがおるし、塹江やケムナや遠藤や島内あたりも最近ええアピールしょぅるし、個人的には親友Sちゃんの息子さんの小学生時代の同級生である山口翔くんがいつ頭角を現してくるのかということもワクテカなんじゃ。ああ、カープには夢とロマンがようけある。頼むで、佐々岡さん。

そして、カープのいいところは、「もうアイツはダメなんじゃないか」と思われていた選手が、何かのきっかけで強烈に輝き出すという面白さがあるところ。

これはすなわち、カープがドラフトで獲ってきた選手をずっと辛抱して育て続けるチームである、ということの証左に他ならない。これがよその(金満)球団ならば、選手枠を圧迫するお荷物選手はとっととクビにするかトレードに出してしまって、優良な成熟物件だけを抱え込んでいればいい。でもカープはそうじゃない。それだけの財力がないというのも理由だろうけど、そこはやっぱり「育成のカープ」としてのプライドというか、スカウトに対する絶対の信頼がそうさせるのだろう。

その証拠が、今年の堂林翔太である。

プロ11年目、28歳。背番号7。

堂林が最初に注目を集めたのは、プロ入り前、2009年の甲子園であった。愛知県代表の中京大中京高校のエースピッチャー兼4番打者として全国優勝を果たした。その愛らしいルックスから、熱闘甲子園という番組が「尾張のプリンス」というあだ名を付け、それがそのままカープに入団後も「鯉のプリンス」というあだ名となった。

……とは言っても、実は私は高校野球にあまり興味がない(つか、カープのことしか興味がない)ので、このへんのことはよく知らない。ただ、堂林本人はこのあだ名を嫌がっているらしいよ。

そんな感じで、鳴り物入りで入団した堂林。出だしは非常に良かった。2012年には三塁手として全試合出場を果たし、118安打(14本塁打)60得点。若手選手としちゃ素晴らしい成績ではないか。ただ、エラーが多く(29失策)、三振数も非常に多かった(150三振)ため、そこを不安視する声も多かった。シーズンオフには堂林の三振の場面だけを集めた写真展なんぞも開催されたほどである(この「三振展」が堂林のトラウマになったんではないかと心配するファンも多くいる)。

2013年には野村謙二郎前監督の現役時代の背番号「7」を与えられるなど、非常に期待されたものの、そこから先は、するすると太陽が沈むかのごとく成績を落としていく。怪我も多かった。あまりにもエラーが多く、イップス(精神的な理由による運動障害)なんじゃないかという噂もあった。「サードは堂林にはもう無理じゃわ……」とファンは囁き合った。

2014年、堂林は思わぬ形で注目を浴びることとなる。結婚だ。当時TBSの看板女子アナとして絶大なる人気を誇っていた枡田絵理奈さんとゴールイン。全国区の局アナが地方球団の選手を選んだ、というニュースは驚きを持って受け止められ、堂林には「マスパンの婿」という新たな肩書がついた。全国的な知名度でいえば圧倒的にマスパンのほうが大きいのだ。たとえ広島県民がどれだけ堂林を愛していようとも、1軍の試合に出てガンガン打ちまくり、オールスターゲーム侍ジャパンに選出され、連日スポーツ新聞の1面を飾るほどでないと、全国的な知名度は上がらない。それがスポーツの世界でプロとして生きる者の宿命なのだ。

緒方カープが三連覇を果たし、全国からカープに熱視線が注がれていた2016年から2018年、その輪の中に堂林は、たまーにいたり、いなかったり、した。「そろそろトレードに出されても仕方ないのう」とファンは心配し続けた。なんだかんだ言っても堂林はカープの花形選手なのだ。輝く背番号7を背負った希望の星であったのだ。そんなに簡単に諦めらりゃぁせん。ほいじゃが、サードには安部がおる、ファーストには松山がおる、外野はもはや激戦区で入り込む余地などない。このまま出場機会のないまま朽ちていくぐらいなら、よその球団でもう一花咲かせてもらったほうが堂林のためにもええんじゃないんかいのう……。

 

 

堂林の弱点としてよく言われるのが「生真面目すぎる」ということ。他人の教えを要領よく取捨選択することができず、いっぱいいっぱいになって迷走し、瓦解する。

また、プライドが邪魔をして、はっちゃけることができない。若い頃のファン感謝デーでは、他の選手が派手な仮装や一発芸でファンを笑わせている間、堂林が恥ずかしそうにただもじもじしている姿をよく見た。

それが、あれ、変わり始めたかな、と思うようになったのは、2015年あたり。

かつてのような美しいヒットではなく、来たボールに対して喰らいついていくセーフティバントから、ユニフォームをドロドロに汚しつつのヘッドスライディング。かつては「花は桜木、男は堂林」と持て囃された「プリンス」が、がむしゃらに、貪欲に、泥にまみれていた。ファン感謝デーでもお笑い芸人の真似をしてファンを笑わせた。

今シーズン前には、可愛がっている後輩の鈴木誠也(言うまでもなく「日本の四番打者」である)に頭を下げて、バッティングを教わっていたという。昔から「上下関係がひときわ厳しい」とされる野球選手にとって、後輩に教わるというのはどれだけの屈辱なのだろうか。でも今の堂林はそれを厭わない。そんなちっぽけなプライドよりも、日本最高のお手本からその技術を学び取ることのほうが重要だと考えてのことだろう。

 

正直、私はかつての堂林にはそれほど魅力を感じていなかった。もちろん好きではあったし、ずっと期待し、応援もしていた。だが、どこか物足りなさも感じていた。それがあの、不格好なセーフティバントの姿を見た時、「ええじゃん、堂林」と嬉しくなったのだ。

気づけば既に三児の父である。あのほっそりした優男のプリンスは、がっしりとした体格のお父ちゃんになっていた。

そして、このコロナ禍の2020年シーズン序盤において、堂林翔太は本当の意味で注目を浴びているのだ。

現在、なんとセ・リーグ首位打者である。いや、ここ数日はちょっと調子を落としていて、7月末時点でご覧のような数字なんだけど、7月中盤は両リーグ通じての首位打者で打率4割5分とかそんぐらいあった。もはや2打席に1回はヒット打ってる勘定である。しかも得点圏打率5割5分とか、もうバット担いだ鬼かよという状態。

今ではもうカープの勝敗よりも、「堂林は今日何本ヒット打ったんか」ということのほうが重要事項である。

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嬉しいのでスクショ取っておいた。おそらく広島中の、いや日本中のカープファンの皆様がスクショ取ってるんじゃないかしらね。ねぇ、Mさん。

 

そして、さらに喜ばしいのは、堂林がサードに戻ってきたこと、そして連日のように華麗なファインプレーを見せてくれていることである。

三塁手は「ホットコーナー」とも呼ばれる。火の出るような強い打球が飛んでくる場所、という意味で、それゆえに三塁手は難しいポジションと言われる。その強い打球に飛びついて、ステップも鮮やかに、一塁を守る松山のグローブ目がけて正確な送球を行う堂林の姿に、実況アナは感嘆の声を上げ、野球解説者は賛辞を贈る。ファンは沸き立つ。イップスという噂を蹴散らすかのように、堂林は胸を張ってホットコーナーに立っている。

その姿が美しい。できれば今年こそタイトルを手にしてほしいと強く願う。

じゃけん、怖いのは怪我なんよ。一試合ごとの好不調の波は、そりゃあろうけん、不調のときにも無理はせんで、身体を労わって、栄養のあるもん食べて、とにかく試合に出続けんちゃいね。皆がそれを期待しちょるけん、頑張れ、堂林翔太


【カープ公式】堂林翔太選手の打撃練習に密着!