つれづれぶらぶら

花粉症持ちにとっては例年以上につらい春です(主に精神的に、周囲の視線が)

レイクシティ・ケーブル・ビジョン

木曽路はすべて山の中である、っていうか長野県はほぼ山である。

したがって、電波障害が起こりやすく、テレビの映りが悪い。ゆえに、長野県内には地域ごとにケーブルテレビ局が存在し、地域住民のテレビ視聴環境を支えている。

で、私が住んでいる諏訪地域には「LCV(エルシーブイ)」というケーブルテレビ局がある。加入率はかなり高いらしく、住民同士の会話にも「花火大会ならエルシーブイで観りゃえーでねーかぃ」という感じで普通に出てくる。

地上波チャンネルやBS、CSチャンネルの配信はもちろんのこと、LCV-TVとLCV-FMという独自のテレビ・ラジオチャンネルで自主制作番組を放送している。

その内容がなかなかに凄まじくて、嫁いできた当初は「な、なんじゃろうか、この番組は……」とたじろいだりもしたものだ。

何せ、朝から晩まで延々と、諏訪地域の各小学校の音楽会やら、各保育園のお遊戯会やら、各地区の住民運動会の模様をひたすら流しまくるのだもの。どこの誰だか知らないオジサンがぐるぐるバットで目を回しながら走っているようすとか、どっかのおうちのちびっこが一生懸命にカスタネット叩いてるようすとかを、ただただひたすら、見せつけられるのだ。誰だよ。

こんな、徹底的に地域密着な諏訪のケーブルテレビ・LCVが、その情熱を最大限に発揮するのは、もちろん、言うまでもなく、

御柱祭である。 

 

sister-akiho.hatenablog.com

 

sister-akiho.hatenablog.com

「LCVはおんばしらのためにある」と真顔で言う人もいる。それぐらい御柱祭関連行事に対するLCVの徹底ぶりはハンパないのだ。

御柱祭の前年ぐらいから御柱関連番組が増え始め、いざ本番となると、LCVの持つチャンネルのひとつが御柱チャンネル」と化し、それぞれの柱の曳行に最初っから最後まで完全密着実況生中継。そして祭りの後はひたすら再放送。もはやいつなんどきテレビをつけても御柱祭しかやってない狂気のチャンネル。

2010年(平成22年)4月・5月

諏訪大社式年造営御柱大祭121chにおいて146時間にわたり生中継
713ch、714chと合わせ3つのチャンネルでハイビジョンによる生中継
コミュニティFMにおいても「御柱ラジオ」生放送

(LCV公式サイト:「自主放送の歩み」より)

御柱祭には「柱を曳く人」だけでなく、それを支える人々が多くいる。上の記事で書いているとおり、うちのような「お宿」もあるのだ。祭そのものには参加せず、いつでももてなせるように待機し続ける。テレビに映らない御柱祭のもうひとつの側面だ。

そんな「お宿」の人々にとっては、LCVは本当に欠かせないのだ。

建前としては、お宿にはいつでも自由に立ち寄っていいのだが、そうは言っても一応は、事前に地区の取りまとめ役の人から「今日そっちに寄らせてもらうでね」という連絡がだいたい入ってくるのだ。なので、舅から「〇〇地区の梃子衆(てこしゅう)が来るぞ」と言われたら、まずその地区が曳いている柱は「どの柱」なのか、を調べる。それによって料理を準備するタイミングがかなり変わってくるのだ。

上社の場合、本宮と前宮にそれぞれ4本ずつ、計8本の柱を曳くのだが、それぞれの柱に「本宮一之御柱」「前宮四之御柱」などのように、最終的に据えられる柱の場所を示す名前が付される。そして、どの地区がどの柱を曳くかは抽籤によって決められる。そして祭本番では、本宮一之御柱(本一)がまず出発し、その次に前宮一之御柱(前一)、続いて本二、前二、本三、前三、本四と続き、一番最後が前四となる。

なので、来る予定の〇〇地区がどの柱の担当かを調べたら、あとは家の中でLCVを流し、「おい、前三がもうじき川越しを始めるぞ」と言われたら「じゃあそろそろ天ぷら揚げ始めなきゃ」と慌ただしく動き始めるわけで、LCVが重要な役目を負っている。

なお、来る予定の〇〇地区が前四の担当だったりすると、うぎゃー、こりゃ今夜は遅くなるぞぉ、と覚悟することになる。いや、一応はね、祭の進行表ってのがあって、その予定表によると夕方には全ての柱が曳行を終えているはずなんだけど、2度の御柱祭を経験した者として言います、「絶対に進行表どおりには進みません」。とっぷりと日の暮れた宵闇の中を、川をざぶざぶ前四の柱が渡ってる光景を見てますもの。

そうなると、せっかくご馳走を準備して待っていても、「すまん、もう今夜は遅くなっちまって、送迎バスも来ちまったもんだで、寄れねぇわ」なんて連絡が来ることもある。テーブルの上には大量の天ぷらとオードブルと巻きずしとお味噌汁と寒天寄せとフルーツ。どうしようこれ、と舅と顔を見合わせて溜息をついたこともある。

おっと、「お宿」の苦労話に脱線してしまったが、そんなふうにLCVは御柱祭には欠かせない存在となっているのだ。

そして、「諏訪大社御柱祭が終わった」からといって、「御柱祭が終わった」わけではないことに留意されたい。それが終わると今度は、それぞれの地区にある「小宮」と呼ばれる神社ごとの御柱祭が、一年を通してあっちこっちの地区で行われるのだ。

もちろんだが、LCVは小宮の御柱祭ももれなく完全密着実況生中継。当たり前でしょう、「LCVはおんばしらのためにある」のだから。ええ、もちろん全ての小宮の御柱祭の映像も、一年中ぐるぐるひたすら再放送しまくりますよ。いつなんどきテレビをつけても御柱祭しかやってない狂気の御柱チャンネルですもの、ハーッハッハッ。

 

話は変わるが、LCVにはたくさんの情報チャンネルがある。

各市町村の行政チャンネル(茅野市は「ビーナチャンネル」)は、こないだまでの学校閉鎖期間にはそれぞれの学校の先生たちが手作りで作った学習番組などを流してくれたりした。諏訪中央病院の先生方によるコロナ対策の番組も分かりやすかった。

そして、「お天気チャンネル」は天気予報の文字情報を流し続けるチャンネル。

ちょっとした狂気を感じるのは「道路状況チャンネル」と「河川チャンネル」。

道路状況チャンネルは諏訪地域の主要道路28か所、河川チャンネルは諏訪地域の主要河川及び諏訪湖の釜口水門の11か所に設置された定点カメラからのリアルタイム動画を、次々と切り替えて24時間延々と放映するもの。

もちろん道路状況チャンネル、河川チャンネルともに重要な役割を持っている。数年前の大雪で諏訪地域が孤立した際には、それぞれの道路の除雪状況や渋滞の様子を確認したりしたし、ここ最近の大雨による河川の増水時には河川チャンネルを確認すればいい。どちらも便利なチャンネルだ。

だが、しかし、真夜中の霧ケ峰の誰ひとり通らない真っ暗な道路や、激しい雨に波打つ川面の暗視カメラの映像などというのは、ちょっとしたホラー映画のイントロ部分のようで、深夜にうっかりテレビをつけて「ひぃっ!」と叫んでしまったことも。だって……深夜の釜口水門の水面を見てるとさ……仄暗い水の底から……何かが出てきそうなんだもん……くーるー、きっとくるー……((((゚Д゚;))))

 

例年だと、今ごろは各市町村の夏祭りと諏訪湖花火大会に向けて、LCVも大忙しなんだけどねー、今年は全面的に中止になっちゃったもんで、過去のお祭りの映像を繋いだ特別番組を流すそうです。頑張れ、LCV。