つれづれぶらぶら

5月の反射炉ビヤ行きますよー!酔い蛍グループの皆さんにまた会えるかな?

『アグレッシブ烈子』

日本のお家芸「Kawaiiカルチャー」の牽引役といえば、そりゃもう「サンリオ」。異論はあるまい。

その昔(1994年頃)、かのビル・ゲイツに「ハローキティを6000億円で売ってくれ」と言われたサンリオの社長は「あの子の価値は1兆5000億円だもん」と言って断ったとかなんとか。20世紀にKawaiiの時代の到来を予見していたゲイツさんも凄いが、自分とこのキャラクターを信じ抜いたサンリオに軍配を上げるとこだね。

そんなサンリオにはキティちゃんをはじめとする多くのKawaiiキャラクターがいるが(ちなみに私はキキララ派)、たまに、たまーに、見た目に反してちょっとアクの強い立ち位置の子が存在する。っていうか、変な売り方をされている子がいる。

最初に私がそれを痛感したのは、アニメジュエルペットサンシャインであった。 

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まぁ、私が知らなかっただけで、既にサンリオには『おねがいマイメロディ』という前科があって、ファンの間では「サンリオの狂気」「まさにカオス」「通常営業」と囁かれるほどに、(夢+シュール+毒)×Kawaii=これぞサンリオ!という公式は、もうとっくの昔に成立していたのだ。

 

そんなサンリオでもひときわ強い毒を持つキャラクターが、【アグレッシブ烈子】である。

見た目はめっちゃ可愛い。丸の内の大手企業の経理部で働くレッサーパンダのOL・烈子。頼まれると嫌とは言えずに引き受けちゃう、ちょっと不器用でマジメな良い子。でも「今日もがんばれっさー♪」と明るくお仕事がんばりまーす!

…………でも、溜まる溜まる………ストレスが溜まる……。

そして、そのストレスが極限まで達したとき、彼女は豹変するのだ!


アグレッシブ烈子(Netflix版)プロモーションビデオ 90秒 ver.

地の底から湧きあがるようなデスボイスでハードメタルを歌いまくる「アグレッシブ烈子」に!!!!!

 

元々は『王様のブランチ』内のミニアニメとして制作された『アグレッシブ烈子』は、その後、Netflixオリジナルアニメとして全世界に配信され、現時点でシーズン3(1シーズン10本+クリスマス番外編1本)まで公開されている。

監督は私の大好きな『ガッ活!』のラレコさん。 

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たたみかけるような怒涛のギャグ、勢いだけで突き進んでいくような押しの強さに引きずり込まれ、観始めたらもう止められない。

にもかかわらず、内容はめちゃくちゃエグい。

上司からの日常的なパワハラ、キラキラ女子からの突き上げ、モンスター新入社員、結婚を急かしてくる母親、現実逃避からの課金地獄、事故った相手がいわくつきの人物などなどなどなど………、とにかく烈子の日常はハンパないストレスの嵐。

どうしてこうなった!慙愧に耐えません!


『アグレッシブ烈子』シーズン2 PV - Netflix [HD]


『アグレッシブ烈子』シーズン3 予告編 - Netflix

とにかくね、観ていて本当に痛々しい。笑っちゃうんだけど、同時に自分自身にもグサグサ刺さってくる。

烈子は本当に「真面目で良い子」なんだけど、裏を返せば「自己肯定感の低いモラトリアム人間」でもあり、それがゆえに実は承認欲求もかなり強く、求められると過剰に応えようとして自分を極限まで追い込んでしまって、後戻りできなくなってしまうタイプ。ちょっと成功すると「私が求めていたのはこれなんだ!」とすぐに思い込んでしまって、周囲が見えなくなってしまう子。あー、いるいるこんな子。ってか、目の前の鏡の中にも……(蠍座のA型だもんな)。

そんな烈子を、ヒヤヒヤしながら見守っている人たちがいる。

フェネ子は烈子が無理していると冷徹な口調で釘を刺してくれる隣席の同期。同じく同期のハイ田くんはいつも本音を言わない烈子のことが気になって仕方がない。クールな社長秘書のワシ美さんと、熱血で乙女の心を持つゴリ部長は、烈子をことあるごとに助けてくれる頼りになる存在。

そして、烈子にとって一番の天敵でもある経理部のパワハラ上司・トン部長も完全に悪役というわけではなく、思い込みが激しい烈子があらぬ方向に走り出そうになっているときは強い言葉で烈子の目を覚まさせてくれる存在であり、なんだかんだ言って烈子を常に気にかけてくれている(言葉はキツいけどな)。

シーズン3ではハイ田くんにも変化の兆しが。ってか戌井さんめっちゃイイ子。どうせこのアニメだから裏のあるキャラクターなんじゃないの、と思って観ていたが、いや裏表なく本当にイイ子なんだこれが。ハイ田~~~、おまえな~~~、そういうとこだぞ!そういうとこだぞ!!!(イライラしつつ机を叩く)

 

そんな『アグレッシブ烈子』は、なぜか、日本よりも海外の評価が高いのである。YouTubeのコメント欄でも外国語のコメントのほうが多い時点でお察し。

アグレッシブ烈子は「2018年サンリオキャラクター大賞」の総合順位では20位。ところが、ブラジルとイギリスで1位、イタリア・ドイツ・フランス・アラブ首長国連邦では2位。

なお、2020年の総合順位は45位と低いが、アメリカとブラジルでは3位と、依然として高い順位をキープしている。

ラレコ氏が「烈子の会社は30年ぐらい前の日本」と語るように、やれ「お茶汲み」だ「女は腰掛け」だのと、今の時代から見ると古臭い、ましてや個人主義の欧米諸国から見ればアメイジング&クレイジーな世界観ではないのかと思うのだけれども、どうやらそうでもないらしい。世界の女性たちも理不尽な職場環境にイライラしていて、それゆえに烈子の姿をリアルであると感じているらしいのだ。

 

それプラス、やっぱり世界における「Kawaii×デスメタル」の人気は依然として高い。日本ではあまり話題にならないけど、ベビーメタルが世界の音楽シーンにもたらした影響の大きさを思い知るのであった。音楽かっこいいぞ。聴いてみて。


OTMGirls feat.アグレッシブ烈子「アグレッシブガール」/ OTMGirls feat. Aggretsuko "Aggressive Girl" MV