つれづれぶらぶら

花粉症持ちにとっては例年以上につらい春です(主に精神的に、周囲の視線が)

『先生、シマリスがヘビの頭をかじっています!』

相変わらず、週末は図書館に通っている。最近は、日本十進分類法の45から48あたりの棚をぶらぶら眺め歩くのが好き。地学、植物学、動物学とかのあたり。とはいえ、根っからの文系なので本格的な専門書だと何が書いてあるのか分からずチンプンカンプン。ま、それが逆に「私の知らない日本語がたくさん書いてある!」って感じで面白くもあるのだけど。

そんなわけで、マニアックな内容を一般の読者向けに平たく書いてくれている本はないかしら、と色々本棚を漁っていたら、『先生、シマリスがヘビの頭をかじっています!』という奇妙なタイトルの本が目に飛び込んできた。 

シマリスが?ヘビの頭を?かじる?………逆じゃなくて???

気になってパラパラとめくってみると、著者の小林朋道先生は、鳥取環境大学で動物行動学などを教えていらっしゃる教授で、2016年からは同大学の環境学部長も務めていらっしゃるようだ。

とはいえ、本の内容はまったく難しくない。大学の日常に関するエッセイ集のような感じで、先生と学生たちと動物たちが巻き起こす日々のドタバタした出来事を、軽妙なタッチで面白く描いている。その中にさりげなく動物たちの風変わりな行動を取り上げ、分かりやすく説明してくれるので、クスクス笑いながら、いつの間にか動物の行動について学べてしまうという本だ。その中には小林先生が初めて発見した事柄なども含まれていて、へ~っと驚くことも多々ある。

 

例えば、タイトルになっている、シマリスが天敵であるはずのヘビをかじる行動の理由は、天敵の匂いを体につけることで天敵から発見されにくくするため。ヘビの抜け殻や糞尿を体にこすりつけることもあるんだって。へ~。

また、「繁華街のコンクリート壁のあっちこっちにスプレーアートで奇妙なサインを書きまくる若いホモサピエンス(人間)」の行動を、「タヌキの溜め糞」と比較して、集団生活を行う動物において、若者のマーキング行為がどういった意味を持っているのかを面白おかしく説く。

 

興味深かったのは、こっそりとヤギの前に、袋に入れたヘビを置いてみたらヤギはどういう反応をするのか?という実験の話。大学生まれのヤギの「ヤギコ」は、これまでヘビに遭遇したことはないはずなのに、ヘビの袋を嗅いだとたんに強烈な反射行動をする。なぜか。そして人間も、色々な画像の中に隠されたヘビの姿をすぐに見つけられる能力を持っているのだという。なぜか。

そりゃ、ヘビの中には恐ろしい毒を持つものもいるけど、恐ろしいという点だけで言えば、熊や狼やサメのほうが見ため的にも怖いじゃないっすかぁ。毒がある生き物なんて他にもたくさんいるしね(蛙とかエイとか)。

ちょうどつい先日、茅野市の神長官守矢史料館に立ち寄った際に、そこの学芸員さんとも「どうして人類は蛇を畏れるのだろう」という話をちょこっと交わしていたのだが(神長官守矢史料館についてはまた今度書きます)、本当に、世界中どこでも、ヘビはなぜか人類にとって特別な存在として認知されている。託宣をする神はだいたい蛇神とされているし(島根県大元神楽とか)、エデンの園のヘビだってイヴ(巫女)に憑依してアダムにお告げを与えたと解釈することもできるじゃないか。

どうやらこれは人類だけでなく、少なくとも哺乳類のDNAに何かの記憶が刻まれているんだろうねぇ。ヘビには気をつけろよと。何か、ずっとずっと昔のご先祖様(どのあたりまで遡るんだろう)が痛い目に遭ったんだろうか。アイツだけは怒らしたらあかんぞ、油断したらあかんぞと細胞の片隅からシグナルを送り続けているのだろうか。

 

脱線した。

ともあれ、動物行動学を学びたい人にも、鳥取県ののどかな大学のキャンパス・ライフの雰囲気を覗き見したい人にも、単に動物が好きって人にも、オススメする。そんなに難しい表現もないので中学生でも無理なく読めるんじゃなかろうか。

この『先生!』シリーズは現在までに15巻が発売される大人気シリーズで、この4月には新作も発売予定とのこと。私もこのシリーズは全巻読破してみたいな。次に図書館に行ったら他の巻がないかどうか探してみようっと。

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