つれづれぶらぶら

マヘーンドラバーフバリブロテカーリー!!!(バーフバリ観てます)

思い出す、あの日の大瀬良コール

いやぁ、一夜明けても、昨日のオリンピック決勝戦での森下くんと栗林くんの素晴らしいピッチングが、胸に焼き付いて離れない。あんなええ子らがおって、なんでうちは5位なんじゃろうか。くそっ。今年はもうカープの順位は気にせんとこうと思いつつも、そうは言っても、そうは言っても、やっぱ勝ってほしいよ、だってファンだもん。

ああ、本当に、こんなにも感染症が長引くとは予想していなかった。去年の今ごろは、来年になったらまた球場で大声を張り上げて野球観戦ができるもんだと思っていた。

ああ、しんどいしんどい言いながら、スクワット応援がしたい。大声でチャンステーマを歌いたい。総立ちで「宮島さん」を歌って、知らない人とハイタッチ。絶妙のタイミングで聞こえてくる「ビールいかがですかー」の声。空を埋めつくすかのような、真っ赤な真っ赤なジェット風船

今となっては、そのどれもこれもが古いブラウン管の向こうの世界のよう。ほんの2年前のことなのに、なんだかもう手に入らないような、そんな懐かしく愛おしい風景たち。

こないだマリンスタジアムに行って、その思いはさらに強くなった。 

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野球の試合を観れたのは嬉しかったし、興行としての野球を支えてくれている人々のことを思うと、贅沢は言っておれぬことなぞ承知している。だがしかし、チャンスの場面で大声を出せないということは、予想以上にしんどかった。「頑張れ、落ち着け、廉!打たれても許すから、思い切って腕を振っていけ!」って、そんなふうに言葉をかけてあげたかった。玉村くんの必死のピッチングにも声援を送りたかったし、林くんのホームランで「宮島さん」歌いたかった。それは反対側にいたマリーンズファンも同じ気持ちだったろう。応援したいのに拍手しか許されないもどかしさ。

 

オリンピックも、結局は無観客試合になった。それはもう仕方ないと思った、いやむしろ私は「ほんまにできるんか」と思っていたから、無観客でもやりますというのは「……そうか」という気持ちだった。でも、何が正解で何が不正解かなんていうのは誰にも答えが出せないんだろう。

侍ジャパンは金メダルを獲った。全ての試合が良い展開だった。それで満足だ、と言えばいいのだ。だけど、やっぱり、「もし観客がいたなら」という幻想を抱いてしまう。選手の後ろ側に、各国の野球ファンたちの姿があったなら。地鳴りのようなチャンステーマが響き渡っていたなら。客席を揺らすようなスクワット応援に、世界の野球ファンは「What?」と目を引ん剝いただろうか。

 

 ――そうだ。そういえば、「あれ」も、横浜スタジアムだった。

2014年9月6日の横浜スタジアムベイスターズカープナイトゲーム

それは、カープのドラ1ルーキーである大瀬良大地投手の「プロ初完封勝利」という、素晴らしいメモリアルデーとして私の胸に深く焼き付いている試合だ。 

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詳しい試合の様子は、その試合の直後に書いた、上の記事を参照していただきたい。2014年だから、もう7年も前の話になるんだね。まだ黒田も新井も戻ってきておらず、優勝もまだ、でもAクラスが射程に見えてきたという頃の話だ。

記事の中にも興奮ぎみに書いているが、あの試合の「9回」は、横浜スタジアムの3塁側は激しい興奮のるつぼにあって、表の攻撃で大瀬良くんが打席に立ったあたりから、もう内野も外野も関係なしに、誰もかれもが立ち上がって、夢中になって口々に何かを叫んでいた。

そして9回裏、マウンドに向かう大瀬良くんに向けて、カープファンから送られた、割れんばかりの大瀬良コール。

大瀬良!!!

大瀬良!!!

大瀬良!!!

あのとき、私たちは大瀬良くんとともにマウンドの上に立っていたのだ。スタジアムの半分を埋めるカープファンの見えない手が、彼とともに投げようとしていたのだ。その指先から離れていく白球に、ほんの少しでも回転数を加えられますように、筒香のバットをかいくぐりますようにと、懸命に何かの力を発動させようとしていたのだ。そして、我々の祈りをその身に全て背負った大瀬良くんは、腕を強く振り、9回、126球を投げ抜いたのだ。

すごいのは大瀬良くんだ。私たちではない。私たちはただ叫んでいただけだ。でもちゃんと彼は分かってくれていた。

アナウンサー「横浜スタジアムカープファンにも一言お願いできますか?」

大瀬良「9回、マウンドに上がる時に大瀬良コールを受けて、本当に頼もしいなと思って、自分らしく思い切り投げる事が出来ました。本当にありがとうございました」

「スタジアムで応援歌を歌ったりするのが好き」なんて言うと、「ニワカ乙。しょせんアンタたちカープ女子は、キャーキャー騒ぐのが好きなだけで、野球そのものが好きってわけじゃないんでしょ」なんて心ない言葉を掛けられたりもする。だが、何を言っているんだバカモノ。声援は魔法の力を持っているのだ。チャンステーマの魔力を軽んじる輩は、智辯和歌山ブラバン部にごめんなさいして来いというのだ。

チャンステーマはいいよね。どのチームのもいいけれど、やっぱカープのチャンテは迫力があって好きだ。Superflyのやつもカッコイイし、ここ一番のチャンスで声を揃えて歌う「極チャンス(チャンステーマ4)」とか、すごく好きだ。

勝利を目指して!

ぶちぶちかませよ!

お・ま・え・が・きめろ!誠也!!!

そうだそうだ、そんなことを言ったら、侍ジャパンの稲葉監督自体が、あの「稲葉ジャンプ」という伝説の声援を浴びてきた選手じゃないか。あの頃、ファイターズの試合では、稲葉が登場すると地震が起こると言われていた。事実、テレビカメラはかなり揺れていた。


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「近年のカープの不甲斐ない成績は、コロナ禍でファンの声援がなくなったからだ」なんてことを大真面目な顔で言っている人がけっこういる。ホントかな、嘘かな、まぁ実際問題として、大きな要素は「3連覇の副作用(疲弊)」というヤツだろうと思うんだけど、でも、まぁ、ファンの声援があれば、もうちょっとは何とかなったんちゃうか、という気持ちも一方ではある。あっても変わらんかもしれんけど、でも変わったかもしれんやん。あの3連覇中は、そういう場面がちょいちょいあったやん。

だから――変な言い方になるけど――森下くんや栗林くんをはじめとする、ここ2年間に入団した選手に対して、「申し訳ないな」という奇妙な感情がある。

大声で応援してあげられなくて、ごめんね。

あの場面、チャンテを歌ってあげたかったよ。

君たちはまだ、マツダスタジアムの360度全方向からコールが沸き起こる、あの瞬間を知らないんだね。新井さんですら感動して足が震えたという、あの光景を。

歌ってあげたい。コールしてあげたい。ガンバレーって叫びたい。

君たちが頑張っているのを見れば見るほどに、なんでこの頑張りに応えてあげられないのかと、歯痒い気持ちになるんだ。君たちは気にしていないかもしれないけれど。

いつか、いつか、きっと。きっと、いつか。

頑張れ、カープ。頑張れ、全てのアスリート。頑張れ、全ての頑張っている人々。 


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文句なしの名曲。何度聴いても「金村ァ!」あたりで涙が出る。

 

 

はてなインターネット文学賞「記憶に残っている、あの日」