図書館が好きです。
毎週土曜日はたいていどこかの図書館にいます。というのも、1枚の図書館利用カードで諏訪6市町村内の、どの図書館も利用できるからなのです。
諏訪6市町村内には7つの図書館(岡谷市、下諏訪町、諏訪市、信州風樹、茅野市、富士見町、原村)がありますが、その図書館を最初に利用する時に利用者登録をしておけば、どの図書館でも自由に使えます。しかも、貸出冊数はそれぞれの図書館ごとに別々にカウントされる(他の図書館で何冊借りているかという情報は共有されない)ので、その気になれば週に70冊(1館10冊として)借り出すことも可能です。たまに「今週は20冊までOK」っていう図書館もあるので、それがうまく絡めば週100冊も不可能ではない。って、そんなに大量に借りても読み切れませんがな。
しかも、借りたい本がどの図書館にあるか、貸出中か否かは、専用の検索サイト「すわずら~」でいつでも簡単に検索できます。あの漫画の新刊はどこに入っているのかな、と調べてみて、下諏訪町と富士見町にあるけど下諏訪町のは貸出中ね、じゃあ富士見に借りに行こう、って感じで効率的に行動できるので便利です。
「すわずら~」では、貸出中の本の予約や、他館にある図書を取り寄せることもできます。他館の図書の返却もOKです(例外あり)。本当に恵まれた環境だと思います。
私と息子は、現在、岡谷市と信州風樹以外の5館を利用しています。一番よく使うのは富士見町かな。蔵書数が多くて漫画も豊富、図書館も綺麗で過ごしやすいです。
今日は下諏訪町図書館に行ってきました。『先生!』シリーズが全巻揃っている。やったぁ。読みたかった最新刊の『先生、頭突き中のヤギが尻尾で笑っています! 』などを借りてきました。これから読もう。このシリーズ面白いから息子も好きなのよね。
あと『聖☆おにいさん』の19巻もあった。家に帰ったら、私が読むよりも先に息子と旦那が先に読んでしまって、ぶひゃぶひゃ笑ってやんの。あたしまだ読んでないのにぃ。
思えば、私のこれまでの人生は、常に図書館とともにありました。
一番古い記憶は、生まれた町の公民館の図書室。まだ未就学児の頃だったと思うけれど、かこさとしさんの絵本が好きだったんですね。『とこちゃんはどこ』とか『だるまちゃんシリーズ』とかは、親が福音館書店の定期購読で買ってくれたんだけど、その他の、たとえば『こどものカレンダー』とかのシリーズ本を読みたくて、そしたら母が公民館に連れてってくれたんじゃないかな。
小学校に上がってからは、学校の図書室にしょっちゅう行ってましたね。片っ端から読んでました。多分、同学年の中でも利用回数がかなり多かったほうだと思います。生徒ごとに図書室の貸出カードがあって、そこに借りた本を記入していくんだけど、すぐにカードの記入欄が足りなくなって、図書館の先生に追加のカードを貰いに行っていた記憶があります。
最初にハマったのが「落語」全集。子供向けに平易な言葉で書いてあって、これが面白くて面白くて。今でも覚えているのは『味噌蔵』という小噺で、旦那のドケチっぷりに使用人たちが辟易する話。で、味噌汁に具が全く入っていないことに不満を持った使用人が、おかみさんのところに具を入れてくれと言いにいくわけです。そしたら、おかみさんが、見よこの「すりこぎ」を、と。このすりこぎは、買ってきたときにはこれぐらいの長さがあったが、今じゃこんなに短くなっている、と。要するに、おまえたちに飲ませる味噌汁のために味噌を擂ったときに減ったすりこぎの破片が、おまえたちの味噌汁の中に微粒子レベルで存在するぞ、と。このくだりがバカバカしくて、今でも思い出すたびに笑ってしまうぐらい好きです。
それから、劇画調のイラストが添えられた子供向けの推理小説を手当たり次第に読んで、ポーの『モルグ街の殺人』を読み終えた時には子供心にもモヤッと(あのオチはアンフェアだと思う)したりもしたけど、何よりも推理小説の面白さに夢中になりました。自宅の黒電話でクリスティの『うぐいす荘』のトリックが使えることを知って、友達相手に意味不明な電話をかけてみたりもしたっけな。
推理小説としてはホームズシリーズが一番好きでしたが、冒険小説としてはルパンシリーズが好きでした。ルパンシリーズはミステリとしてはご都合主義が多いのですが、とにかく絶体絶命のピンチで颯爽と現れるルパンがカッコ良くてカッコ良くて。『奇巌城』には夢中になりましたねぇ。
高学年になってからはローラ・インガルス・ワイルダーの『大草原の小さな家』シリーズにハマり(昭和生まれの方はNHKでやっていたドラマを思い出すことでありましょう)、でも小学校の図書室には『農場の少年』までしか置いてなくて、続きが読みたくて読みたくて、バスに乗って広島市の中央図書館にまで借りに行ったというね。
中学校に上がると、そりゃもう思春期ですわ、厨二病まっさかりですわ。そんで、文学少女が厨二病を発症すると決まって読むのが太宰治ハイキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
そりゃもう生まれてすみませんですよ。申し上げます申し上げます旦那様。お母様がスプーンをひらっとやってスープを飲むのを真似してみたりもして。ああ、今思い出すと、まさに、恥の多い生涯を送ってきました、ですよ。
ほんでもって、太宰だけでは飽き足らず、谷崎潤一郎とか森茉莉とか澁澤龍彦とか、そっちのほうにも手を出したりなんかして、ええ、もう、あの時分に書いていた創作ノート(黒歴史)のお耽美ぶりが容易に想像つくでございましょう。
ほんでもって、高校生になったら、小説のほうへの関心はピタリと止んで、その代わりに実録・ドキュメンタリーものへの関心が出てきて、その中でも特に「社会学」に属するジャンルへの興味が強くなってきたんですね。
発端は、ニュースなどで報じられる少年犯罪への疑問ですよ。あの時代は、とかく教育現場が荒れてましてねぇ。今でも似たようなものでしょうが、少年たちの凶悪犯罪にスポットライトが当たっていた時代だったんですね。で、同世代の少年少女たちを犯罪に走らせたものは何なのかが知りたくて――ついでに、あわよくば創作のネタにしたいという下心も半分あって――週末になるとバスに乗って広島市の中央図書館とか県立図書館に足を運んで、図書館の「368」(社会病理)の棚から順々に読みまくったんですね。少年犯罪史とか女子刑務所のルポとか、何かとにかく片っ端から頭の中に詰め込んでいった感じですね。
そのうち、368の棚が終わってしまって、そこからどんどん右にずれていって、気がついたらいつの間にか「380」(風俗習慣・民俗学・民族学)のエリアに辿り着いていたんですね。その頃には既に少年犯罪への興味は薄れてしまっていて、世界のトイレ事情の比較とか、日本各地の葬送儀礼とか、説話・民話の類とかが面白くてたまんなくなっちゃって。
その頃に出会ったのが「諏訪」。出雲と繋がりが深いという、この長野県の山の中の町に一度訪れてみたいものだ、と思ったのもこの頃です。いや、まさか、人生の後半を諏訪で送ることになるとは、もちろんその頃には全く考えてもいなかったのですがね。
ところが、付き合った男が諏訪の人間だったという縁で、茅野市図書館を訪れることになったのは前に述べたとおり。
それから結婚して、正式に茅野市の人間になり、幼い息子に読み聞かせるための絵本を借りたり、あるいは自由研究の題材を探しに行ったり、茅野市図書館をはじめとする諏訪6市町村図書館ネットワークのお世話になって、現在に至る、という次第でございます。
絵本はいいよね。息子のためにと言いつつ、自分も読みたくて絵本を物色していたなぁ。島田ゆかさんの『バムとケロ』や『ガラゴ』は知り合いに勧められて図書館で借りて読み聞かせていたら、息子が夢中になっちゃって、結局買ったのよね。
図書館に行くと、基本、とりあえず興味のないジャンルの棚であっても、いったんぐるっと全体を歩いてみることにしています(コロナ禍ではやりませんでしたが)。機械工学だの美容術だのサッカーだの、背表紙を見てもほとんど心が揺れませんが、たまーに私を「呼んでいる」本があったりして、そういう時はいったん立ち止まって、とりあえず手に取ってみることにしています。たいていはペラペラっとめくって、ふーん、って感じで元に戻すんですけど、ごくまれに、ちょっと読んでみようかなと思うと、そこが新しい世界への入口になったりするんですよね。そこから何かの新しい発見に繋がったり、新しい趣味が増えたりするのも楽しいんですよ。そういえば、私が地衣類に注目するようになったのも、図書館で一冊の本を手に取ったことがきっかけでしたね。
最近は、もっぱら漫画を借りることのほうが多くて、『ツバサ』とか『ゴールデンカムイ』とか『機動警察パトレイバー』とか『もやしもん』とか『銀の匙』とかね、こういった巻数の多い漫画本は、もう今さら買おうったって置き場所もないじゃないですか、こういうものこそ図書館の「今週は20冊貸出です」っていうタイミングを見計らってドカッとまとめて借りてきてイッキ読みするのが快感ですな。っても、その思いは他の方々も同じとみえて、たいてい先に借りられてたり、途中の巻が抜けてたりするんだけど。でもコロナ禍で外出できなかった時には本当に図書館がギリギリまで開館してくれたのがありがたかったわー。閉館する直前には、貸出冊数を無制限にしてくれてた図書館も多くて、あっちこっちから大量の本を借りてきて、おうちで漫画喫茶ごっことかやったもん。
図書館の存在は本当にありがたい。私にとってはもう生活の一部と言っても言い過ぎじゃないぐらいですね。デジタルの時代だよとさんざん言われても、私はやっぱり紙の本が好きなのですね。これはもう、そういう人生を歩いてきたから仕方ないと思っていただくしかないのだけれども、デジタルの本が便利なことは分かっているけれども、紙の本がぎっしり詰まったあの書棚の間をぐるぐると歩き回って、何か私を呼んでいる本はないかしらときょろきょろしているあの時間がとても好きなのですね。他人の手の脂のついた紙の匂い、埃臭さ、日陰のベンチ、そこに腰を下ろして、黄ばんだ古い本のページを開く。さぁ、今日は、どんな新しい世界に出会えるのだろう?
今週のお題「読書の秋」