つれづれぶらぶら

「予告先発」という単語を見て胸がトゥンク。ついに始まるのね……!

【格言】まず『ガラスの仮面』をしまえ

今週のお題は「引っ越し」だそうで、おお、ついに私の出番が来たかいのぅ(右腕をぐるんぐるん回しながら出てくる)。

以前からちょいちょいお話ししているとおり、20代から30代の序盤ぐらいにかけて、私は色んな営業所を1~3年ぐらいのサイクルで転々としていた。学生時代の友人たちが恋愛や結婚や育児に明け暮れていた頃、私は転勤族として段ボールとガムテープと格闘してたわけなんである。なんつう過酷で色気のない青春期であったろうか。

何しろ、ほぼ毎年のように郵便局に転居届を出していたので、ついに、何度目かの住所移転の後、実家の母親のもとに地元の郵便局から「お宅のお嬢さんの台帳の住所変更を記録する欄が足らなくなってしまった、いったいどういう生活をしているのか」と苦情めいた電話がかかってきたらしい(実話)。

あ、あと運転免許証の裏の住所変更の記入欄が足らなくなって、上から紙を貼られたこともあったな。その免許証を持ってレンタルショップとかで会員登録しようとしたら、アルバイトの兄ちゃんにめっちゃ不審者を見る目で見られたもんだわ(実話)。

 

そんなわけで、引っ越しに関しては異常に経験値が高い私から、引っ越しに関するいくつかの格言を皆さんに授けようと思う。いや、引っ越しに当たっての実務的なワーキングリストはね、引っ越し業者さんのサイトとかそこらへんにたくさん載っているから、そっち見て頂戴。私がここで言いたいのは、引っ越し初心者がついうっかり陥りがちなあれこれに対しての注意事項である。

 

まず最初に申しあげたいのは、タイトルにも記載したとおり、

引っ越しが決まったら、まず真っ先に『ガラスの仮面』を段ボール箱に詰めてガムテープで封印せよ、まずはそれからだ。

もちろん、この『ガラスの仮面』は、人によっては『ドラゴンボール』であったり『ONE PIECE』であったり『ジョジョの奇妙な冒険』であったり『王家の紋章』であったりするだろう。すなわち、思わず読みふけっちゃうタイプの読み物は最初に隠してしまえよ、という意味だ。

これをやっておかないとだよ、引っ越し当日までの日数は限られていて、やることは無数に残っているっていうシビアな状況下にあって、荷造りの作業の途中で、「ふー疲れたな、ちょっぴり休憩しよっと」と段ボールに腰を下ろして、なにげなくその第1巻を手に取ってしまったが最後、……ハッと気づいたら、窓の外は夕暮れ、カラスがカーカー鳴いて真っ赤な空を飛んでて、あああああ引っ越し前の貴重な一日が無為に溶けたあああああと嘆く羽目になるのだ!なるのだよッ本当にッッ(経験者は語る)!!!

なんせ『ガラスの仮面』は各巻の引きが絶妙ですからね。えええこの後どうなっちゃうのってところで巻が終わっちゃう。「行ける…これで椿姫に行けるわ…」って、ずぶ濡れで歯をガチガチ鳴らしながらぐしょぬれのチケットを見つめる北島マヤの迫力に吞まれたら、止まれんすよ、そりゃもう。

だからこそだ、そうなる前に、作業の一番最初に、そうなりそうなものをとにかく封印しておくわけだ。ちなみに、言うまでもなく、引っ越し先でも開封するのは一番最後だからね。でないと段ボールが積み上がったままの手つかずの新居でカラスのカーカーを聞く羽目になるぞ、本当だぞ(経験者は語る)。

 

あと、引っ越しで面倒なのが不用品の処理。普段からミニマリストやってます、って人は例外としてだ、たいていの人は気がついたら不要なものが膨れ上がっちゃってて引っ越しの際に慌てるという羽目になるものだと思う。何かのオマケでもらった雑貨とか、結婚式の引き出物のたぐいとか、前に好きだったジャンルのあれこれとか、色々あるよね。もう要らないかもしれないんだけど、新居への段ボールに詰めようかどうしようかって悩んじゃう感じのもの。

もちろん、ずいぶん前から転居することが分かっていて時間に余裕がある場合は、中古市場に売っておくっていう手もある。私の場合はやっぱり本が多かったから、転勤時期が近づくとブックオフに売りに行ってた。それで転勤がなかったって場合もあるけど、その頃にはたいてい次の本に興味が向いてるしね。手放したくない希少本や廃版本も色々あったけど、思い切って売った。ただ、『ガラスの仮面』だけは連載が終わるまで見届けねばならぬという気持ちが強すぎて、結局、今も手元に残ってるけど。

ただし、急に転勤が決まっちゃったりして、時間に余裕がない場合はそうもいかない。残すもの・売るもの・捨てるものを選別する作業って、自分でやろうとすると、意外と時間を食う。一週間後に引っ越しが迫っている緊迫した局面にあって、ときめくか、ときめかないか、なんて悠長にやってたらあっという間にタイムアップよ。

そんなときは、母ちゃんを呼べ

母ちゃんでも姉ちゃんでも婆ちゃんでも構わんけど、要するに、あなたの持ち物に対してなーんの思い入れも持っていない人が片付け作業に参加すると、まぁ作業が速い速い。「なんこれ。こんなん要らんわ」と容赦なくゴミ袋に突っ込んでくれるぞ。こちとら悲鳴の連続だけれども、いや、実のところ、たいていの場合は母ちゃんの判断のほうが正しい。それをゴミ袋から拾い出して段ボールにこっそり戻したとしても、それは次の新居でも一切使われることなく段ボールの底に眠ったままになるのが相場だ。

ええ、私の経験では、3回の引っ越しの間に一度も封を切られなかった段ボールが2箱存在した。要するに不用品2箱分をトラックに3回も載せて運送したっつー話だ。無駄無駄無駄無駄ァァ!!!

 

ところで、こういう経験を繰り返していくうちに、だんだんモノを持たなくなっていく。ただ、いわゆるファッションやポリシーとしてのミニマリストとは全く別で、とにかく運送するときに楽か否かで買うモノを選んでしまうという、ちょっと悲しい癖がついてしまうのだ。でっかいベッドじゃなくて布団がいいとか、大きくて立派な家具よりも解体できるボックス型収納を選んでしまうとか、小さなテーブル買うぐらいなら段ボールに板を置いちゃえば足りるなぁとか、どんどんそういう殺風景な方向に染まっていってしまって、結局、ボーイフレンドができたとしても部屋にも呼べない、という哀れな状況になってしまうのであった。嗚呼。

 

あ、それからちょっとした小技をひとつ。

新居に着いてから意外と困るのが、カーテンの問題。前の家から持っていったカーテンが寸法が合わない程度ならまだいいとして、困るのが「予想していなかった窓がある」っていう事態。これは意外と、ある。ベランダへ出る扉に小さい窓がついてたとか、キッチンの奥に細長い出窓があったとか。事前に新居を内見できてたら対処できるけど、そうでない場合は焦る。しかも、そういう窓に限って、窓のサイズが規定の寸法じゃなかったりする。そこらへんのホームセンターに行ってもちょうどいいサイズのカーテンがないとか、そもそもカーテンを吊るためのレールがその窓にない、とか。

そういう時の緊急措置として、窓に紙を貼って急場をしのぐという手がある。私の場合は、あらかじめ実家で障子を貼った際の残りとかをもらっておいて、荷物の隅に入れておいた。そして、その紙を窓の寸法に合わせて切って、小麦粉を水で溶いて鍋で煮て作った糊を塗って、窓に内側から貼る。外側から貼っちゃダメよ、雨が降ったらすぐ剥がれちゃうからね。これでとりあえずは何とかなる。ただ、あくまでも「とりあえず」だから、そんなに長くはもたない。お風呂場の近くとかの湿気が強い場所だと、だんだんカビたり黄変しちゃったりする。そうなったら上から水をかけたらペロンと剥げるので(なんせただの小麦粉だから)、何かちゃんとしたものに替えてね。最近は百均ショップとかで窓用の綺麗なシートをたくさん売ってるんで、あらかじめそういうのをチェックしておくといいかも。

 

そうそう、転勤が多くて困ったことをもうひとつ付け加えておくと、住所移転が2回以上あると、たとえば自動車の所有権移転の手続きなんかの際に面倒なことになる。私の場合、独身時代に山口県下関市で買った自動車を、その後あちこちを経た後、現在の長野県茅野市で下取りに出すに当たって、車検証の名義と、姓も本籍地も住所も違い、さらに現在の住民票に記載された前住所ともまるで繋がらなくて困った。結局、実家の両親に頼んで「原戸籍」と「戸籍の附票」を取り寄せてもらって事なきを得たが、まぁ、なんつーか……、転勤族は何かと面倒だよねっていう話っす……。