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『平家物語』

現在放送中のアニメ『平家物語』、息子と一緒に毎週Netflixで観ている。

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Netflixでは毎週木曜日に更新され、現在9話まで公開。あと2話かなぁ。美しい大輪の花の、その花弁が次々と剥がれ落ちていくかのごとく、平氏の公達が次々と失われていく様子がなんとも哀れでならない。ううう、清経……。

息子は学校で平安時代から鎌倉時代の歴史を学んでいるところらしく、最近は図書館でマンガで読む日本史の類の本を借りてきて熱心に読んでいる。そんなわけで、『平家物語』がアニメになるというニュースを見たときから「これ絶対に観たい」と鼻息を荒くしていた。

実は、私はあまり日本史が得意ではなかったので、平氏の興亡については、だいたいのぼんやりした展開しか知らない。もちろん厳島神社を作ったのが平清盛であることは知っているが、広島に貴重な観光資源を残してくれてありがとう清盛さん、って程度の思い入れしかない。また、下関にいた頃、関門海峡の潮流のあまりの速さに、例の「波の下にも都」という台詞の雅やかな響きとのギャップに驚いたものだけれども、知識としてはその程度で、平家方の武将の名前もいまいち分からないという体たらく。

だもんで、息子と一緒に勉強するつもりで観ているのだが、いや、「最終回のストーリーは始めから決まっていた」んだけれども、しかし、哀しい話だねぇ、これは。


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オープニング、エンディングともに素晴らしく良い。息子もとても気に入っていて、普段、Netflixではオープニングやエンディングは飛ばしてしまうのだが、この作品だけは毎回飛ばさずにちゃんと全部観ている。息子はオープニングの『光るとき』がお気に入りで、私はエンディングの『unified perspective』がお気に入り。agraphこと牛尾憲輔のめちゃくちゃしびれる楽曲に、スチャダラパーのANIの声が乗っかってるのなんて、カッコイイに決まってるじゃないか!最高!

『光るとき』も好きだ。声もいいし、特に歌詞がいいね。「一粒の麦、地に落ちて死なずば」という新約聖書の言葉を思い出す。膨大な過去の積み重ねの上にある「今」を精一杯に生きて行こうよ、という普遍性を持つメッセージソングだ。

 

脚本は、信頼と実績の吉田玲子さん。監督は『聲の形』などを手掛けられた京都アニメーション出身の山田尚子さん。そして、キャラクター原案が、なななんと、漫画家の高野文子さん。この情報を最初に聞いたとき、えええっっと思わず声が洩れてしまったよね。だって、あの高野文子さんだぜ?

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そんでもって、この『平家物語』の公式本『わたしたちが描いたアニメーション「平家物語』という本が出版されたというので、今日、本屋で買ってきたのだ。

アニメーションの設定資料や、監督の制作秘話、絵コンテやイメージボードなども見応えがあるが、何と言っても、高野先生が新たに描き下ろしたキャラクターイラストや、貴重な初期のキャラクターデザインのラフなどが見られるのがたまらない。琵琶の撥の形と同じ形の髪型をした「びわ」や、今にも走り出しそうな躍動感のある静御前、三つ編みを背中に流した徳子、ふくふくとした頬っぺたが可愛らしい安徳天皇平清経など、ラフスケッチの時点で既に魅力に溢れている。

本の初回特典として、高野文子イラストのオリジナルポストカードがついてくるということで、どんなイラストかなぁと思っていたら、なんとも可愛い徳子さんのイラストだった(この本の31頁に掲載された「徳子の動き」というスケッチに色を乗せたもの)。徳子さんが立ったり座ったりボーっと空を眺めていたり、お花を花瓶に活けたり、三つ編みをなびかせて駆けて行ったりという、たくさんの動きのスケッチが並んでいる。ただの絵なのに、まるでそれ自体がアニメーションのように動いて見える。物語の中では窮屈なお立場だけれども、本当はこんなお転婆な女の子だったのかなぁ、なんてにやにや眺めてしまう。『ドミトリーともきんす』の巻末に『Tさん(東京在住)は、この夏、盆踊りが、おどりたい。』という小さな漫画が収められていて、その内容というと、盆踊りの振り付けを詳細に図解するという実験的な作品なのだが、それをちょっと思い出してしまった(とか思っていたら、この本に収められた高野先生と山田監督との特別対談の中にも、山田監督が「すごい衝撃を受けた」として挙げたのも『ドミトリーともきんす』だったというね)。

 

何はともあれ、今からでも遅くはないので、まだご覧になっていない方は是非ご覧ください。

各話の随所に、その季節を彩る草花の絵が映し出されているが、その花々が美しければ美しいほどに、枯れて散りゆく未来を予見してしまって、切ない。時おり登場する琵琶法師(成長したびわの姿)が『平家物語』の一節を朗々と歌い上げるシーンも緊迫感があって凄まじい。悠木碧の、子供時代のびわと琵琶法師のびわの声色の使い分けがすごい。声優さんってすごいなぁ……。

ところで、サイエンスSARUはこの夏、これまた『平家物語』を原作とする湯浅政明監督作品『犬王』を公開予定なのだけれども、これもまためちゃくちゃ面白そうなんだよなぁ。湯浅監督は『デビルマンcrybaby』でもアヴちゃんを起用していたけれど、今度は主役に抜擢するということで、予告編を観るだけでもその個性的な声にしびれてしまうわ。是非映画館で観なければ!


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