つれづれぶらぶら

5月の反射炉ビヤ行きますよー!酔い蛍グループの皆さんにまた会えるかな?

お腹ぽんぽん三重ツアー(後半)

前半はこちらからどうぞ。

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鳥羽水族館を出た後、JR中之郷駅で列車を待つ間に電話を架けます。

今日泊まる予定の「民宿旅館 魚勘」さんに、送迎の依頼をするためです。予約した際に公共交通機関で行くことを伝えたところ、「松尾駅まで来てくれたら車で迎えに行くので、電車に乗る前に連絡して」と言われていたからなのです。

osatsu-uokan.com

指示されたとおり松尾駅無人駅)で降りると、魚勘さんの女将さんが運転するワンボックスカーがすぐに来てくれました。乗り込むと、車はのどかな山道をスイスイ走っていきます。

魚勘さんは、鳥羽市の南にある相差(おうさつ)町にあります。公共交通機関はバスが1時間に1本程度という、あまり交通の便が良くない場所ですが、漁師町、特に海女漁が盛んな町として知られています。

そして今回、魚勘さんを選んだ理由は2つあって、まずひとつは「海産物を中心とした料理が美味しい、食べ切れないぐらいの量が出てくる」という評判と、もうひとつは「釣り船があるので、オプションで海釣りクルーズプランを付けることができる」ということでした。なんせ私、前々から家族に「家族旅行するならグランピングか海釣り体験したいよぉ」と吠えておったのです。昨年の夏にグランピングは(大雨だったけど)体験できたので、次は海釣りやりたいよぉ、と幾度となく言っておったところなのです。そんな私がこの機会を逃す理由がどこにございましょうか、いや、ない。

1時過ぎに魚勘さんに到着すると、大将のお孫さんであるたくさんの小さな女の子たちが出迎えてくれました。民宿の子供らしく、人懐っこくて元気いっぱいです。釣りは2時からということで、部屋に荷物を置いて、日焼け止めをつけたり酔い止めを飲んだり準備して待っていると、そろそろ出るよという声が。

大将の車に乗せてもらって漁港へ行き、釣り船に乗り込みます。竿と餌を貸してもらい、救命胴衣をつけたら、いざ出航です。

湾の向こうは、広大な太平洋です。

あらかじめ、大将と女将さんから「昨日から潮が悪くて、釣れないかもしれない」という話がありました。昨日のお客さんはボウズだったそうで、今日も釣れなかったらゴメンなぁ、と言われましたが、こちらとしては長野県から来て海に出るだけでもハッピーなので、1匹でも釣れたら儲けもんですよ、と答えておきました。

針にゴカイをつけて、そっと海に落とします。底についたらリールを固定して、そのままじっと待ちます。波に竿の先がゆらんゆらんと揺れるのが、最初はよく分からなくて何度も巻き上げてみましたが、何も釣れていません。

大将は不漁の様子を見ては、何度も場所を変えてくれます。とはいえ、竿には何の変化も……ん?何か今かすかに、ツンツン、という波の揺れとは違う感触があったような……でも竿は軽いし、多分きっと海草でも引っ掛かっただけだよね……と思いつつ巻き上げてみると、なんと、ちっちゃなシロギスが糸の先で身体をくねらせているではありませんか!うわっうわっ、釣れた、これどうしたらいいの?と騒いでいると、大将が糸から魚を外して、水槽に放り込んでくれました。

「何か違う感覚があっただろ?」とニッコリする大将に、ツンツンという感覚があったことを伝えると、「そうそう、どんな小さな魚だって必ず何か感覚があるはずだから、それを目安にするといい」と教えてくださいました。

その後、今度は旦那のほうにも、私のよりもう一回り大きなシロギスがかかり、釣り場をいくつか転々とする中で、またもや私の竿に、今度はちっちゃなマゴチがかかりました。どれも小魚だけれどもとりあえず今夜の人数分のお魚はゲットしたぞー。

惜しかったのは、旦那の竿に割と大きめのカワハギっぽい魚がかかったのですが、海面に出た瞬間に糸を切られて逃げられてしまったようです。くーっ。カワハギ食べたかったなぁ。煮つけが美味しいよね、カワハギはね……。

夕方の5時になって、釣り船体験は終了。息子の竿には何にもかからず、終盤はちょっとふて腐れていた息子でしたが、まぁまぁ、釣りにはそういうのが付き物だし、大将も「今日は本当に潮が良くなかった、釣れなかったのは潮のせいだ」と息子を慰めてくれました。またいつかリベンジしようねぇ。

民宿に戻ってまったりしていると、待ちに待った夕食タイムです。お食事用の個室に案内されると、卓の上には既に大量の皿や小鉢が並んでいます。しかも、席に座るや否や、どう見ても5人前ぐらいはありそうな大きな舟盛りや、活きアワビの貝殻焼きや、釜飯、車海老の焼き物、サザエとヒオウギ貝の焼き物などが次から次へとじゃんじゃん運ばれてきます。着火剤に火をつけると、アワビが身をくねらせて縮んでいきます。

何と言っても一番のお目当ては、舟盛りの中にある伊勢海老のお造りです。街なかのレストランで注文したらめちゃくちゃ高価そうな大きな伊勢海老が2匹、透明のプルンプルンの身をさらけ出しております。ワサビ醤油をちょっぴりつけて口に運ぶと、ううーん!甘い!めっちゃ旨い!伊勢万歳!と喝采の声を上げたくなります。

もちろん、そのほかのお料理も全部美味しいです。お刺身もすこぶる新鮮で量が多く、焼き上がったアワビは噛みしめると旨味がじゅわっと口の中に広がります。サザエの肝も爽やかな苦みで臭みがなく、ナマコの酢の物はコリコリとした食感がたまりません。釜飯もウニの旨味がたっぷり浸み込んでいますし、フグのフライもカラッと揚がっていていてお酒のアテに最高です。

……が、やっぱり、やっぱり量が多い(;´・ω・)

もうお腹がぱっつんぱっつんなのに、まだまだこの後もお料理が出ますよということなので、もうさすがにぼちぼち無理ですと訴えたところ、魚の煮付けと伊勢海老の焼き物は明日の朝食に回してもらえることになりました。

そんなわけで、夕食の締めは、さっき私たちが釣ったシロギスとマゴチの天ぷら、お吸い物、きな粉をかけたアイスクリームでした。それだけ食べ切ったら、もう本当にお腹ぽんぽん。重たいお腹を抱えて、お風呂に入り、布団の上に身を投げたら、一気に睡魔が押し寄せてきて、その晩はぐっすり眠りました。

 

3日目(5月5日)。

早く寝たせいか、朝5時半には目が覚めてしまいました。顔を洗って、そうだ、お散歩に行こうと思い立ち、フロントにあった近隣マップをもらって、6時に宿を出ます。

昨日、女将さんから「石神さんに行ってみるといいよ。女性の願いを叶えてくれる有難い神社だよ」と教えてもらっていたのです。宿からは歩いて15分ほどの距離だし、朝食前の腹ごなしにちょうど良さそうです。

「石神さん」というのは、この相差地区の氏神である神明神社の中にあります。

ishigamisan-shinmei.com

神明神社天照大御神を祀る神社です。そのお社の前には疫病退散祈願の茅の輪が置かれていたので、くるくるとくぐってからお参りしました。

その隣にあるのが「石神さん」です。

神武天皇の母として登場する玉依姫命を祀っています。女性の願いを叶えるということで、願い事を記すための紙も置いてあります。家内安全を祈願した紙を箱に収めてお祈りしました。

この石神さんは、相差の海女さんたちの守り神であるそうです。海女さんたちは磯着に貝紫(イボニシ貝から取れる分泌物)を用いて「ドーマン・セーマン」と呼ばれる魔除けのおまじないを描きます。格子状のドーマン印と星形のセーマン印、この奇妙な魔除けの印は、そうと気づいて眺めてみると、相差の町のあちこちに描かれていました。

 

そうそう、伊勢の厄除けといえば「蘇民将来子孫家門」の締め飾りも有名ですね。どこのおうちの玄関にもこの締め飾りが掲げられています。蘇民将来という男がみすぼらしい身なりをした老人を丁寧にもてなしたところ、実はその老人は牛頭天王スサノオ)であり、その守護を得ていつまでも幸せに暮らした、という故事に基づくものです。

日本人は信仰心がない、だなんてよく言われますが、こうして護符や呪いを大切にし、行動制限が解除されたら伊勢神宮諏訪大社に大挙してお参りに行く、といった様子を眺めておりますと、いやいや、日本人の信仰心はたいしたものだよ、としみじみ思うのです。やっぱりなんだかんだで神様が好きなんですね、日本人は。

 

さて、石神さんを後にして宿へ戻る途中で、町内放送が流れてきました。

「今日のクチアケをお伝えします……イソイリは9時、……」

言っている言葉は聴き取れるのに、その意味がさっぱり分かりません。おそらくは漁師さんたちへの連絡事項だろう、ということまでは何となく察したのですが。

宿に戻って、若女将に尋ねてみると、「ああ、ヒジキ漁の解禁の伝達よ」ということでした。「口開け」というのは漁の解禁のことで、朝の9時から漁ができるよとのこと。ヒジキ漁の最盛期はそれはもう大忙しで、家族総出で、採ったヒジキを路肩などにずらっと並べて乾燥させ、細かいゴミを取って選別して、袋詰めにして出荷するのだそう。ただ、ここ数年はヒジキの生育が良くなく、いつもなら岩場を覆いつくすほど生えているのが、今年は岩肌が見えるほどなのだとか。自然を相手にする仕事は本当に大変なのだなぁと思いました。

 

朝食は、これもまた卓上から皿が溢れそうなほどたくさん。干し魚、サラダ、海苔の佃煮、卵かけごはん、伊勢海老の殻で出汁を取ったお味噌汁、スイカなどなど。それに加えて、ゆうべの残りの煮付けと伊勢海老の殻焼き。うーわ煮付けめっちゃ美味しい、伊勢海老も大きくて柔らかくてミソの部分が甘くてトロッとしててサイコー。

この調子で、また朝からお腹ぽんぽん。ふー。幸せだー。

帰りは、若女将に松尾駅まで送ってもらいました。別れ際に、お土産として「あらめ」(海草)の乾物を頂きました。魚勘の皆さんは気さくな方ばかりで、お嬢さんたちの歌う可愛い声が時々聞こえてくるアットホームな雰囲気の漁師宿でした。また機会があったら利用させてもらいたいですね。

 

さて、松尾駅から鳥羽駅へと移動して、とりあえずどこに行こう。実は、この3日目の予定は立てていないのでした。2日目までにやり残したことがあればそれをやろう、ということにしてスケジュールを空けておいたのですが……。

うん、「お福アイスマック」をまだ食べていない。あれを食べずには帰れない。

お福アイスマックとは、JR二見浦駅の近くにある「御福餅本家」が製造しているアイスバーです。前回、二見に宿泊した際に御福餅を食べに来て、そこでこのアイスを知り、以後ずっと、またあのアイスマックが食べたいわと思っていたのです。

そうと決まれば、二見ヶ浦に行こう。二見ヶ浦といえば名勝・夫婦岩を見ずして帰れはしない。二見興玉神社にお参りしていかねば。

鳥羽駅からバスで「夫婦岩東口」バス停まで行くと、目の前にあるのは「伊勢シーパラダイス」です。

ise-seaparadise.com

ここは前回も来た水族館で、当初、旅行の計画を立てているときに息子に「シーパラ行く?」と希望を聞いていたのですが、息子は「ううん、行かない」と答えていたのでした。しかし、バス停を降りて、アシカなどの姿が目に飛び込んでくると「やっぱり行きたい」と言い出したのでした。まぁ、今日は予定も何もないし、どうぞどうぞ、行きましょうね。

伊勢シーパラダイスはアシカやイルカ、セイウチやトド、カワウソといった海獣類の豊富さが有名な水族館です。規模としては小さいので、ゆっくり見て歩いても1時間程度。また、前回あった魚館が老朽化のため閉鎖されていたり、コロナ禍のためふれあい魚館が「ふれあえない魚館」になっていたり、ガラ・ルファの足湯が手のみになっていたりと、小さな変化はいくつかありましたが、全体的にはまったりとした雰囲気の可愛らしい水族館です。タツノオトシゴの展示数が他の水族館に比べて多いように感じました。

 

伊勢シーパラダイスを出て、めおと横丁の中を突っ切って歩いて行きますと、夫婦岩のある二見興玉神社への参道に出ます。

おや、今日は何だかとても人が多いような気がする。何かあるのかな。その疑問は、夫婦岩を見ると理由が分かりました。

なんと、今日は夫婦岩の大注連縄の張り替え神事の日だったのでした。

この大注連縄の張り替えは、毎年5月5日と9月5日、12月の年3回行われるのだそうです。私は不勉強ゆえ知りませんで、今回はたまたま遭遇したのですが、めったに見られない光景を目の当たりにして嬉しかったです。

 

海岸沿いをさらにてくてく歩き、「御福餅本家」へ向かいます。すると、その近くに行列が。御福餅を求める人の列かと思いきや、御福餅本家のすぐ近くにある「赤福 二見支店」のほうの行列でした。御福餅本家のほうはすぐに入れました。

むむー、赤福御福餅もどっちも美味しさは変わらんのになぁ。やっぱり知名度の差が出てしまうのかなぁ。個人的には、私はどっちかっていうと御福餅のほうが好みなんだけどなぁ……。

ofukumochi.com

私は御福餅を2個、息子は3個、旦那はおすすめ3個セットを注文。待っている間は、ガラス窓の向こうで職人さんたちが手際よくお餅に餡子をつけている様子を眺めています。餡子の上ですっすっと手を動かし、お餅を取ったら、次の瞬間にはあの綺麗な波型の餡ころ餅が完成しています。なんたる早業。

さて、御福餅が運ばれてきました。口に運ぶと、ほんのり甘いお餅と、素朴な小豆の風味が一体となって口の中でほどけます。こし餡なのに、全然重くなくて、上品な軽やかさと、どこか懐かしさを感じる味です。旦那も「甘ったるくなくて食べやすい。好きかも」と言っていました。なお、旦那が注文したおすすめ3個セットは、ノーマルの御福餅、抹茶餡の御福餅、お福包み餅のきなこ味がひとつずつのセットでした。旦那は抹茶餡が気に入って、お土産に持って帰りたいと言っていたのですが、こちらは持ち帰り用にはなっていなくて残念。

食べ終えて、精算の際に、お目当てのお福アイスマックを3つ購入。これこれ、これが食べたかったのよ。赤福御福餅、どっちも甲乙つけがたいけれど、でも、アイスバー御福餅にあって赤福にはない。これが私的には大きな差かな。これを買うためにわざわざ二見浦まで行くモチベーションになるわけですよ。だって赤福名古屋駅でも売ってるけど、お福アイスマックは売ってないもんね。

二見浦駅から電車に乗って、車内で食べます。

あずきバーといえば井村屋のすごく硬いアレが有名ですけれども、こちらのはそれほど硬くなくて、歯でコキンと噛んで口に含むと、ほろほろと優しくほどけていきます。素朴な小豆の味わい、上品な甘さは、まさにさっき食べた御福餅の味そのまんま。旨い。やっぱこれ大好きだわー。

 

さて、電車に乗ってどこへ行くかと言うと、松阪です。

旦那が「海の幸はたらふく食ったが、やはり三重に来たからには松阪牛のステーキを食べたい」と言うものですから、ええい予算オーバーついでに最後の散財じゃ、と思いまして、松阪駅近くのステーキ店に入りまして、1万円近くするステーキ丼を食べました。そりゃもう旨かったです。ただ、お財布の中身は空っぽになりましたが(;^ω^)

 

そんなこんなで、山海の美食を食いつくし、お腹ぽんぽんになった三重ツアーでございました!ご予算もオーバーならカロリーも相当オーバーしてる気がする、怖いから知りたくないけど。まぁ、当分は食事は質素にして、家計と体脂肪を補正していかないとね……(;^ω^)

あ、お土産にもらった「あらめ」を使って、さっそく「あらめとちくわの炒め煮」を作ってみました。あらめは昆布の細切りに似て昆布ほど味が強くなく、ヒジキよりも細くて水ですぐ戻るので、どんな料理にも合わせやすそうです。美味しかったですよ。