つれづれぶらぶら

5月の反射炉ビヤ行きますよー!酔い蛍グループの皆さんにまた会えるかな?

劇場版『メタモルフォーゼの縁側』

以前、『メタモルフォーゼの縁側』という漫画がとても優しくて好きですという記事を書いたところですが、

sister-akiho.hatenablog.com

このたび、その実写化の映画が公開されたというので、日本橋まで観に行ってきました。南松本でも甲府でも上映されてはいるんですが、上映時間が遅めだったりしてスケジュールが組みづらいので、感染症の拡がりがやや落ち着いてきていることだし、それなら東京へ行こうと思いましてね、一人で日帰りしてきましたよ。

metamor-movie.jp

ついでに眼鏡のメンテナンスに銀座三越に行きたかったところだし、銀座TAUで広島アスリートマガジンも買いたかったしで、今回は東京駅周辺で全部済ませたいなぁと思って、TOHOシネマズ日本橋に行ってきました。

映画のテーマが「BL漫画を通じた世代間の友情」だったので、客層がどんな感じになるのか予想もつかなかったんですが、若い人から中年・熟年世代まで幅広い層のお客さんが集まっている感じでした。女性客ばかりかと思いきや、意外と男性もちらほらいましたね。客入りはほぼ満席でした。

好きな漫画が実写化されるというとちょっと構えてしまうところがあるけれども、脚本が岡田惠和さんということで、おそらくそんな変なものにはなるまいと思ってはいました。いや、なんせ、オタク文化腐女子モノっていうと、やたらと奇異な感じに仕立て上げたがる人もいるもので(ここで名指しはしないけどね)、あの優しい原作の雰囲気そのまんまに仕上げてくれたらいいなぁと強く祈っておりましたよ。

そんな中で発表された予告編。


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宮本信子さんが雪さんを演じると知ったときの安心感たるや。あの原作の雪さんの、飄々として行動的で朗らかで、好きなものを好きと恥ずかしがらずに言える強さは、そうだ、確かに宮本信子さんにイメージぴったりだと確信したのでした。

芦田愛菜ちゃん(いや、もう「さん」と呼ぶべきだね)は、うらら役には少し合わないのかな?なんて予告編の時点では思ってました。芦田愛菜さんの本来の顔立ちが明るいから、原作のうららの持つ鬱屈とした雰囲気が出ないんじゃないかなって。でも、猫背気味に座るしぐさだったり、鞄をしっかり胸の前に抱えて歩いてみたりと、演技の力でうららの内面をよく表現していたように思います。

映画そのものも、とても良かったです。原作へのリスペクトが感じられました。ほぼストーリーは原作に忠実で、ところどころ、例えばコミティアを巡る話の展開が原作とは違っていたりしましたが、それが物語のテーマを損なっているわけではなく、1本の映画としての起承転結を明確にするための改変であると理解できたので、私は気になりませんでした。うららがコミティアの後、雪の家で自分の弱さを悔やむシーンはたいへん心を打ちましたね。思わずもらい泣きしそうになっちゃった(;^_^A

漫画家のコメダ優を演じる古川琴音さんは、濱口監督の『偶然と想像』を観たときに今後が楽しみな女優さんだなと思っていたら、最近あちこちでお顔を拝見する機会が増えましたね。クールな感じの顔立ちから、ほろっと感情がこぼれてくる瞬間の表情が好き。『遠くから来た人』を一人で読んでいるシーンが良かったです。モノローグなどなくとも、初めて漫画を描いたときの心のときめきを自分の心の中に呼び起こしているんだなということがその視線から伝わってきました。

演出面では、特に序盤、うららと雪をどちらも主人公として対等に扱おうとする意図が強く表現されていたように感じました。別々の場所で同じ漫画のページをめくる雪とうららを、細かいカットバックで交互に見せて、それぞれが反応こそ違えども、同じように漫画の中の世界に夢中になっていることを伝えようとしていました。

また、2人が喫茶店や縁側で漫画のことを熱く語り合うシーンが本当にイイ。もう年齢差とか関係なくなっちゃって、初めてお互いの趣味のことを語り合う友人を得た喜びに満ち溢れていて、ずっと見ていたい幸せな気持ちになります。


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そういえば、この主題歌が「T字路s」のカバーだと知って、おおぅと思ったのですよ。T字路sは、私は「シャキーン」で初めて知ったんだけど、独特のソウルフルな声と懐かしい感じのメロディが魅力のブルースデュオ(Eテレはこういう尖ったものを平気で子供向け番組に起用するから油断できないんだよなぁ)。


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他にも色々と、あそこのシーンの演出は面白かったなぁとか、あのロケ地はどこなんだろうとか、色々語りたいところではあるんだけれども、まだ公開したばかりなのでね、あんまり語らないでおきます。

とりあえず原作ファンの人へは「大丈夫よ!」とお伝えしたい。そして、高校生も熟年も、BL好きもそうでなくても、幅広い世代の人に見てもらいたいと思えた映画でした。BLに興味がなくても、何かに「熱くなれる」人なら、きっと雪とうららの気持ちが分かるはず。


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「熱くなれるもの」を探している紬くんのような人にもオススメですよ!