つれづれぶらぶら

寂しい季節がやってまいりました(戦力外とか引退とか移籍とか)

25年ぶりにキムタクがクローゼットから転がり落ちてきた

息子がネットフリックスに入っていない特撮ドラマを観たいと言うので、久しぶりにレンタルビデオ店に行ってみたのです。そんで、せっかくだから何か面白い映画でもないかしらと思ったら、「新入荷」のコーナーに「それ」があったのでした。

 

『ギフト』だ――――!!!!!!

 

このドラマについての私の想いは、以前「もう一度見たいドラマ」のお題の際に語ったのだけれども、それがこちらの記事です。

sister-akiho.hatenablog.com

1997年のフジテレビ「水9」ドラマ。木村拓哉の連続ドラマ単独初主演作品。脚本は飯田譲治井上由美子。脇を固めるキャストは室井滋小林聡美倍賞美津子篠原涼子今井雅之忌野清志郎梶原善と実力派でがっちり固め、各話のゲストも岸部一徳赤木春恵桃井かおり、宇崎竜童、寺脇康文緒形拳鈴木京香など、豪華絢爛なキャスティング。

であるにもかかわらず、その翌年に起きた殺人事件の犯人である少年が「このドラマの主人公がバタフライナイフを振り回している姿がかっこよかった」と供述したことから、再放送は中止され、VHSも発売停止となり、要するに「お蔵入り」となったのでありました……。

で、前回の記事の最後にも書いたんですが、どうやら2019年にようやくDVDとBlu-rayで再発売されたらしいんですね。でも、じゃあわざわざBOX買うのかと考えたときに、何というか、もしかしてそれほど面白くなかったらどうしよう的な、思い出補正のせいでめっちゃ面白かったと思っているけれども、実際に久しぶりに見たらそれほどでもなかった、っていうこともあるじゃないですか、それだったらイヤだなぁ的な、だったら美しい記憶のまんま見直さないほうがいいのかなぁ的な、そういう日和見的な気持ちが起こりましてね、それで躊躇してたんすよ。

そんな私に、レンタルビデオ新入荷。ありがとう、これはGE〇から私へのギフトなのね、そうなのね!!

 

そんなわけで、約25年ぶりに『ギフト』再試聴。どきどき。

第1話の冒頭で、慌てた様子でマンションに駆け込んでくる室井滋のスタイルが、肩パットの入った派手な柄のスーツに、真っ赤な口紅という、まさに平野ノラが扮するバブル時代のファッションそのまんまで懐かしくなる。あの時代はこれが憧れのカッコイイお姉さまのスタイルだったんだよなぁ……。

しかし、血まみれで素っ裸のキムタクがクローゼットから転がり落ちてくるのって、やっぱり連続ドラマのツカミとして史上最強だと思うのですよね。これが死体だったら面白くないし、美女だとイヤラシイし、キムタクだから成立するのよ、このオープニングは。

 

それにしても、あらためて観ると、本当に木村拓哉が美しい。もしかしたらこういう言い方は失礼になっちゃうかもしれませんけど、この時期が美貌という点では頂点を極めていたと思うのです。肩にかかるロングヘアー、艶のある肌、どこか不安定さを感じさせる潤みがちの瞳、ツンと尖らせたような上唇の形、GUCCIのスーツをキリッと着こなせるスタイルの良さ。若い日の松田優作沢田研二の色っぽさを思い出させる。

ただでさえ素材が良いってのに、さらに「どうだ、キムタクはセクシーだろう?」と主張せんばかりの意図的なカメラワークがね、ニクイんですよね。朝の白い光の中で眠るキムタクの顔に落ちかかる髪の毛の繊細な陰影。ボクサーパンツいっちょでベッドの上に身を起こす。届け屋の仕事中はきっちりと髪を結わえていて、仕事が終わるとそれを解いて長い髪をかき上げて見せる。どのシーン、どのカットを切り取っても、それだけでグラビア写真になってしまうそうなほどで、別に木村拓哉さんのファンでもない私にとっても、思わず見惚れてしまうぐらいの魅力的な映像がてんこ盛りなのでした。

 

ドラマ自体は、やっぱりかつて熱狂していた頃のまま、スリリングでサスペンスフルでそれでいて笑えるシーンもたくさんあって、すっごく面白かったです!

しかし、今の時代じゃ、これ水曜日の夜9時に地上波では放映できないね。血なまぐさい暴力シーンと、ドラッグや売春に溺れる少年少女たちの姿に、おっぱいポロリもあるよ、という。セックスシーンはないものの、かなりディープで変態チックなキスシーンが何度もあったりして、エロい。篠原涼子の指を舐め回すシーンなんてエロ怖い。あと、問題のバタフライナイフも、回想シーンの鬼畜ゲームあたりの下りがかなりヤバくて、仮にあの事件がなかったとしても、コンプライアンスの厳しい現代ではそのままじゃ放送できないよなぁと思うのですよ。90年代まではまだこういう描写がテレビで許容されていたのね。表現の自由という意味ではおおらかな時代だったんだなぁ。逆に言うと今はずいぶん息苦しい時代ですわなぁ。そりゃあ皆さんネットフリックスのほうに移行しますわなぁ。

 

単体のエピソードでは、岸部一徳の第3話と、桃井かおりの第4話が好き。

岸部一徳は、癌に侵されていて余命が短い上に、多額の借金を背負い、さらには家族を人質に取られて、ある人物を暗殺するよう命じられた気弱な殺し屋を演じる。ターゲットを殺すべきかどうか、引き金に指をかける瞬間まで悩み続ける姿がリアルで、そしてカッコイイ。

桃井かおりは、だめんずを甘やかしてしまうどうしようもない悪徳女医を演じる。情事の後、白衣の下の黒いシャツの胸元のボタンを気怠そうに留める姿がもう既にエロい。だめんずを一度はビシッと拒絶しておきながら、次の瞬間にはまた甘やかしてしまう業の深さが、もう本当にたまんなくエロい。

 

木村拓哉が演じる記憶喪失の男・由紀夫は、ストーリーが進むにつれて自分の過去を少しずつ思い出していくわけなんですが、思い出せば思い出すほど、どうしようもなくクソ不良で悪いことしかしてなかったっぽい、っていうことが分かるわけなんですよ。で、回想シーンも少しずつ増えていくんですが、その回想シーンでは、カラーコンタクトでも入れてるのかな、目の色が薄いんですよね。どこか焦点の定まらない、イっちゃってる感じの目をしているんです。これがまた凄みがあってね。どう見てもヤバいやつなんですよね。

ドラマ終盤では、この過去の自分と現在の自分が頻繁に交錯するんですが、入れ替わったことがちゃんと目や口元の表情で分かるんですね。木村拓哉さんはあれこれ演技について陰口を叩かれがちですが、いや、すごく上手いと思います。特に目の演技が上手い。台詞がなくても、視線をちょっと上や横にずらしただけで、何を考えているのか、何かをしようとしている、ということが分かるもんね。そういえば『武士の一分』も良かったですね。あれは目が見えない役どころでしたけど、眉や目の周辺の筋肉を少し動かすだけで感情を表現してましたもんね。上手いもんです。

あ、あと、最終回での「そしたら、あいつ、殺された」の台詞の言い方がすごい。多分あれは頭で考えた演技じゃなくて、役に入り込んだ結果の生身の感情としての台詞回しだと思う。演技だったらあの言い方には多分ならないんじゃないかなぁ。強い感情を押し殺して淡々と事実を語ろうとしているのに、言葉の端っこから感情がこぼれ落ちてしまう感じ、あの語尾の上げ方、すごく良かったです。

 

他のキャストも全員素晴らしくて、いや、こんだけ演技派を揃えているんだから素晴らしいのは当たり前なんですが、とりあえず室井滋小林聡美のコンビはやっぱりイイなぁ、と。

室井滋さんが扮する奈緒美は、最初は由紀夫のことを単なる記憶の器としか考えてなくて、彼が失った大金の行方を知っているのではないかという考えから、記憶を取り戻すためにわざとショックを与えようとする非情さも見せるんだけれども、終盤に向かうにつれてどんどん由紀夫に対する親愛の情が深くなって、傷ついた由紀夫をまるで母親のような優しいまなざしで見つめるんですね。この表情がとても好き。

小林聡美のほうも、由紀夫のために混乱する千秋(篠原涼子)のことをたびたび気にかけているところがあって、そういう人間くささを何気ない表情や仕草で表現しているところが好き。

 

長くなったのでそろそろ締めますが、いやー、久しぶりに観て、久しぶりにあの岡山時代のわくわくどきどきする気持ちが蘇ってきましたよ!心配なんて不要だったね!やっぱ面白いわこのドラマ!!ありがとうGE〇!!

ところでGE〇さん、この流れで『眠れる森』のほうも再入荷する予定はないですか、え、ないですか、ねぇ、……。