つれづれぶらぶら

5月の反射炉ビヤ行きますよー!酔い蛍グループの皆さんにまた会えるかな?

さるかに合戦で恋に落ちたい

こないだ、なにげなくネットを眺めていたら、糸井重里さんと「しいたけ.」さんの対談記事に辿り着いたんですよ。

www.1101.com

「しいたけ.」さんは、ご存知の方も多いと思いますけど、占い師さんですね。VOGUE GIRLで連載されている「しいたけ占い」は、毎週月曜日のお昼に必ずトレンドワードに登場するぐらい人気がある占いです。

私自身は占いにはたいして興味がないんですが、しいたけ.さんの「言葉を選んで書いている」ことがよく分かる、穏やかで丁寧な文章が気に入って、時々読んでいます。生活上のアドバイスとしてね。あと、蠍座の人をなぜかとても褒めてくれるのが嬉しいところ。いやホラ、蠍座って「メンヘラで執念深いアブナイ人」って感じで語られがちだからさぁ……。

 

で、この対談は、コピーライターと占い師という、ともに「ことばを届ける」を生業とするお二方が、普段どんなことを考えているか、その背景となる過去の経験を語り合うもので、バイト先の控え室のエピソードとかも良いんですけど、私が思わず「うわぁ、恋に落ちちゃいそう!」と思ったのは、次の部分なんですね。

【しいたけ.】

大学3年生のときにすごく好きな子がいて、しつこくアプローチしてたんですね。(中略)でも彼女には他に好きな人がいて、ぜんぜん振り向いてくれなかったんです。でも、ある飲み会の帰りに、ビッグチャンスが訪れたんですよ。(中略)一緒に帰ることになって、肩を貸して歩きながら「そろそろ家に着くだろう」って気配を感じたころに、急に彼女が言ったんです。「何か話をしてください」(中略)でも、ぼくはそのとき唖然としたんです。「え、こういう場面、何話せばいいの?」って。(中略)頭の中の押入れを探りに探って。でも探っても探っても、何も見つからないわけです。だから最後に1枚だけ見つけたカードを「これしかない!」と思い切って彼女に言ったんですね。それが何だったかというと……。
【糸井】
うん。
【しいたけ.】
「さるかに合戦についてどう思う?」って。
【糸井】
(大笑)

(『5 コピーを決意した夜。』より抜粋)

過去にしいたけ.さんが恋愛で大失敗したエピソードなんですが、いや、これ、…………最高じゃん!!!!( *´艸`)

もしも、私がこの女子大生でさ、誰かに片思いしててさ、でもその相手は大学でも人気のモテ男で、お似合いの彼女と手を繋いで仲睦まじく歩いてるところなんか目撃しちゃって、めっちゃ凹んでるタイミングでゼミの飲み会に呼ばれたとしますわね。でもゼミ仲間は全然パッとしなくて、あーあ、って一人で飲んでたら酒量も上がってて、帰る段になってかなり足元ふらついてて、そしたら地味目の男子学生が肩を貸してくれることになったんだけど、ずーっと黙って歩いてるだけで。ちらっと上目遣いで見たら、意外にも悪くない顔立ちだなって気づいて。でも名前も覚えてないし、ゼミでも喋ったことないし、こうやって肩を貸してくれるってことは優しい人なんだろうけど、なんで一言も喋らないんだろう、今どんな気持ちなんだろうって思ったら、だんだん気になってきて。ずっと触れ合ってるわけですからね、そりゃドキドキもしますよね。

で、「何か話をしてください」、ですよ。

もうこの台詞の時点で、心はかなり向いてますよ。もうじき家に着いちゃう、このまま別れるのはなんか切ない。できれば何か明日以降に繋がる進展が欲しい。あわよくば、報われない恋に終止符を打てるような何かが。

そこで、凡人なら「あまり飲み過ぎちゃダメだよ」くらいの、箸にも棒にもまったく引っ掛からないことを言うでしょう。「そうですね、すみません」って言って、「じゃあここで」と肩を外してグッバイですよ。

ティーンズラブ漫画だったら、「小泉さん、〇〇のこと好きなんだろ……、俺、いつも小泉さんのこと見てるから分かるんだ。でも……俺じゃダメか?」みたいな。はいはい。青年漫画だったら、このまま誰もいない家に上がり込んで、この後めちゃくちゃ〇〇した、みたいな。はいはい。漫画ではよくある展開だけど、実際にはほぼナイよね、こういうの。あったとしても、その流れに乗っちゃうと、翌朝、ズーンと後悔しちゃうパターンですよね、だいたいにおいて。

ましてや、ここで陰謀論だのネットワークビジネスだの新興宗教の勧誘話になろうものなら、しゃがみからのスライディングダッシュで即逃げだし、めんどくさい説教をしだすモラハラ野郎であっても困る。

「何か話をしてください」というのは、結構な賭けでもあるわけですよ。

それに対して、

「さるかに合戦についてどう思う?」

物理的な「斜め上」から降ってきた、理論上の「斜め上」発言。

もう、その言葉を聞いた瞬間に、間違いなく目が点になりますわね。「言った瞬間、その場がシーンと」なるのは、そりゃ当たり前ですわね。だって、小泉さんの脳内にそのシミュレーションはなかったわけですもん。そりゃビックリして思わず肩を外しますよね。酔いも一瞬で醒めますわ、そりゃ。

そして私は、こう答えるの。

「蟹の味方が【牛の糞】って、どうかと思うの」

そう答えたとき、あなた(しいたけ.さん)が微笑んでくれたなら、嬉しい。その笑顔を見たら、片思いの相手のことなんかもう頭の中から消えちゃって、今夜はこのまま帰りたくないわって気持ちになって、「そこの公園で、この話もうちょっと続けません?」って、私は言うでしょう。

そして、夜の公園のベンチで、「最近の『さるかに合戦』には牛の糞は出ないんだよ」「えーっ、嘘でしょ?」とか、延々と語り合ってみたい。「桃太郎は桃の中でどんな状態なんだろうね?羊水はあるのかな、へその緒は……?」「それを言うならかぐや姫だって……」とか、どんどん話が膨らんでって、めちゃめちゃ楽しく過ごせそうな気がするんですけどね。もう、そうなっちゃったら、恋だよね、恋。

ええ、私はキングサーモン女子。そこらへんの普通の恋愛フラグにはまるっきり鈍感なくせに、突拍子もない状況にはワクワクしちゃう。その仕掛けプリーズ、キングサーモン用のでヨロシク。

 

もちろん、私にもちゃんと、キングサーモン用の仕掛けを垂らしてくれた人はいたわけで、言うまでもなく今の旦那なんですけど、旦那も旦那で普通の女子が喜ぶようなことが言えるタイプじゃありませんから、似たもの夫婦ってことですかね。私のムチャぶりには、いつだって最高の斜め上からの3回転ひねり付きの回答をくれる、最高の旦那なんですけどね。あ、のろけですよコレ( *´艸`)

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ちなみに、この「さるかに合戦についてどう思う?」という質問を、前フリ無しで旦那に投げかけてみたところ、うちの旦那は、一瞬考えたのち、

「蟹は、【臼】は援軍に呼んだのに、なんで【杵】も呼ばなかったんだろうね?」

って返してきました。

「杵のほうが直接的に殺傷力が高いのにね」って。

 

…………確かに!!!!