つれづれぶらぶら

「予告先発」という単語を見て胸がトゥンク。ついに始まるのね……!

『琥珀の夢で酔いましょう』

前回、松本城公園でのクラフトビールフェスティバルに行ってきた話をしましたが、その帰りにヴィレヴァンに寄って、漫画を何冊か買ってきたんですよ。

sister-akiho.hatenablog.com

というわけで、買ってきたのはもちろん、こちらです。じゃん!

元々、MAGCOMIマッグガーデンが運営するウェブコミックサイト)で無料公開されている連載を時々思い出して読む程度だったんですけど、うっかり読み飛ばしてしまった回もあるし、やっぱり紙の本で読みたいわ!と、思いましてね。

仕事が認められず苛立っていた剣崎七菜は、偶然入った居酒屋「白熊」でクラフトビールに出会う。

すっかりクラフトビールに魅せられた七菜は、店主・野波隆一に頼まれ、カメラマン・芦刈鉄雄と共に「白熊」の集客を手伝うことに……⁉

(1巻カバー裏より引用)

magcomi.com

テーマは「クラフトビールと料理のペアリング」です。

毎回、個性的なクラフトビールと、京都や高知の家庭料理を中心とした「おばんざい」などの組み合わせが提案され、読んでるだけでめっちゃ美味しそう!うわぁ食べたい!飲みたい!ってお腹が空く漫画です。

また、ビールに組み合わせるのは料理だけではなくて、まさかの甘~いデザートだったりもします。ビールにスイーツを合わせるだなんて、想像できます?!私は考えたこともなかったですよ!

だって、我々が知っているのはいわゆる「日本の宴会」の「とりあえずナマ」って注文して運ばれてくるビール(ラガービールピルスナー)ですもんね。目の前に並んでいるのはたいてい枝豆、串揚げ、冷ややっこ、ソーセージってなとこでしょう。そういうものだって思ってましたよね。疑問にすら感じたことがなかったですよ。ペアリングなんていう概念すらなかったですもん。

でも、ビールはピルスナーだけではなく、さまざまな醸造方法、さまざまなスタイル、ブリュワーのこだわりの詰まったさまざまな味と香りを持つ奥深い飲み物。それらの個性を活かす料理も千差万別。そして飲む人の好みによって、その組み合わせは無限大。この漫画では、隆一、七菜、鉄雄を中心とした登場人物がしばしば「ペアリング会」を開き、それぞれの舌で、持ち寄ったビールに合う料理を探していきます。鴨肉ステーキにIPA、かぼちゃの甘煮にトラピストビール、ようかんにフルーツビールなどなど、うわーっ試してみたい!って思わせる提案がいっぱい!好奇心をむくむくと刺激されちゃいます!

 

そして、この漫画のもうひとつのテーマは「不自由からの開放」。

派遣社員として働くということ、女性がひとりで飲みに行くリスク、アルコールが苦手な人に優しくない飲み会、自己主張することの難しさ。思い込みという名の拘束にがんじがらめになっている私たち。「自分らしく生きる」って何?

でも、クラフトビールの世界は自由だ。ラガーにエールにランビック、苦いの酸っぱいの甘いの、色も薄いの濃いの赤いの黒いの、澄んでいるのも濁っているのもあって、アルコール度数もさまざま。わたしの大嫌いなビールがあなたの大好きなビールだとしても、ちっとも問題ない。他人に合わせる必要なんてないんだよ。誰もが自分の好きなその1杯を楽しめばいいんだ。

多様性こそ希望だと気づくことで

状況はいつでも変わる

絶望的な未来にあっても

そう信じている

(3巻 P102)

3巻で開催される「十月はたそがれのビール」というイベントが最高に楽しそうなんですよね。映像と音楽、謎のガイド役のレクチャーで、クラフトビールとお料理の組み合わせを楽しむ「白熊」主催イベント。準備と運営がめっちゃ大変そうだし、MAKOTOのような非才の協力なしには成功しないような気もするけど、でもこの場にいられたらどんなに楽しいだろうって思うんです。こういう機会があったら参加してみたいなぁ。

 

ところで、4巻で隆一たちが実際にブルワリーを見学に行くエピソードがあるんですが、そのブルワリーというのが「奈良醸造」さん。ほら、私が松本城のフェスで飲んだ「MIDSUMMER NIGHT's DREAM」や「MCGUFFIN」を世に送り出したブルワリーさんですよ。松本からの帰りの電車の中で読んでて、思わず「あっ!奈良醸造さんじゃん!」ってビックリしちゃいましたよ。MCGUFFINめっちゃ美味しかったなー。もっぺん飲みたいなーって思うんですよねー……諏訪近郊で取り扱ってるお店ないのかしら……。

 

さてさて、この漫画の中では、色々なビールの楽しみ方を教えてくれるのですが、そのうちのひとつが「ホットビール」。

4巻ではキリンのクラフトビール「SPRING VALLEY」シリーズのフルーツビール「JAZZBERRY」をレンチンして飲むとホットワインみたいな味わいになるよというエピソードがありました。ちなみにホットビールの作り方はキリン公式サイトでも紹介されてますよー。

drinx.kirin.co.jp

ホットワインは寒い日に好んで飲むけど、ビールを温めたことはないなー、どんな味になるんだろ?と気になっていたところ、スーパーで「SPRING VALLEY」のウィートエール「シルクエール」を見かけたので、じゃあこれでやってみよう、と。

そうは言っても、まずは普通にグラスでシルクエールを飲んでみます。おー。飲みやすい。クセがない。でも「いつものビール」の風味もある。これ、初めてエールを飲んでみようって人のお始めの1杯にちょうどいいんじゃないですかね。なんせクラフトビールは最初に個性的すぎるのに手を出しちゃうとしんどいですからね。かつて「地ビールは美味しくない」という風評が立ったのもそのせいかと思うんですが。その点、大衆の好みを熟知している大手ビールメーカーが作っている「SPRING VALLEY」は、いつものビールから半歩進んだぐらいの絶妙な距離を維持してくれているような気がします。

前書きはここまで。さぁさぁ、本来の味を知ったところで、これをホットビールに変身させていきますよ。

マグカップに注いで、レンジで30秒~1分ほどチン。ほんのり温もったところで、蜂蜜をとろ~りと垂らして、仕上げにシナモンの粉をぱふぱふ。さぁ、どんなお味になったかなっ?

おお、うんま~い。ってか全然違うものになってる!マドラーで軽く混ぜるとふわっと泡立って、シナモンの香りが舞い上がります。マグカップを両手で抱えてゆっくり飲むと、蜂蜜の甘い味に、ホップの苦みが絶妙に絡み合って、なんとも不思議な味わい。でもこれ寒い日に良さそうだよね、晩秋や早春の野球観戦にちびちび飲めたらいいのになーって想像しちゃいました。今回は単品で飲みましたが、スイーツと合わせても良さそうな気がします。

 

クラフトビールの自由さ、ペアリングの楽しさを教えてくれる『琥珀の夢で酔いましょう』。ビール好きさんにもそうでない方にもオススメです!ついでに言うと、いかにもテレビ東京の「あの枠」でドラマ化されそうな漫画だな、なんてことも思ってみたりするのですがどうなんでしょね……。