飲んだクラフトビールの感想をブログの下書きに書き溜めておこうシリーズ、第6回目でございます。
松本城のビアフェスでクラフトビールの世界に足を踏み入れてから、約100日が経ちました。その間にあちこちの酒屋さんに立ち寄ってみたり、それまで全く縁がなかった「タップルーム」にも行ってみたりして、多様で広大なビールの世界を楽しんでおります。
とは言ってみるものの、そもそも私の出発点が「アンチ・ビール」だったわけで、『こは酔い』のアン子ちゃんと同じように「ビールの味がしないビール」を求めてきたわけです。したがって、多く飲まれているピルスナーやスタウトよりも、サワー系やフルーツ系などの変わったものを優先的に選んでしまいがち。そろそろ定番のビールに回帰してもええんちゃうん、と思ったりもするけれど、今日もやっぱり酒屋さんで「なにか面白いビールはないですか」と尋ねている私。まぁしばらくはこのまま進みましょう、気が済むまで。ね。
そんな感じで、今回もちょっと一味違う感じのビールばかり揃っております。まずはこちらからどうぞー。
1 AJB Co.「WASTE 2 BEER 花」
(Fruited Sour ABV3.5% IBU?)
このシリーズではすっかりお馴染みの、長野県は野沢温泉村の「リブシーさん」ことアングロジャパニーズブルーイングカンパニー。チャレンジ精神と強いこだわりを持ち、日本中にファンを増やし続けているブルワリーさんです。私も好きー。
以前ご紹介した「bread」は廃棄されるパンの耳を再利用したビールでしたが、今回の「花」は廃棄される予定だったグレープフルーツジュースとハイビスカスを再利用して作られたフルーツビールです。この取り組みについては、こちらの記事に詳細が書かれています。
グラスに注ぐと、ハイビスカスの淡い赤色がとても綺麗です。苦みは全くなくて、グレープフルーツとハイビスカスのフルーティーな酸っぱさがとても爽やかでお洒落。アルコール度数が低いので身体に負担がかかりにくいのが嬉しいところです。まさに「ビールの味がしないビール」を飲みたいときにうってつけですね。
2 AJB Co.「DANSK JULEØL」
(Vienna Lager ABV6.0% IBU?)
デンマーク商工会議所のクリスマスイベント15周年を記念して、デンマークの首都コペンハーゲンのブルワリー「Mikkeller」とのコラボレーションで生まれたクリスマスのためのビール。というわけで、私もクリスマスイブの夜に飲みました。
ピルスナーよりも歴史が古いと言われるVienna Lager(ウインナーラガー)というスタイル。液色は赤褐色。最初に、焦がしたカラメルのような香りと苦みと甘みを同時に感じ、その後、しっかりとした豊かな麦芽の味が広がります。スコッチエールやバーレイワインを飲んだときのような、深く熟成された味わいを感じました。ハーゲンダッツのキャンディングアーモンドとペアリングしてみましたが、うんうん、合うねー。
3 In a daze Brewing「鹿塩ゴーゼ」
(ゴーゼ ABV4.0% IBU16)
長野県伊那市にあるイナデイズブルーイング。そこで「ゴーゼ」を作っていると聞いて、さっそく買ってきました。『こは酔い』の5巻で、塩と乳酸菌を使って作るケトルサワーだと聞いてから、めっちゃ面白そうやん、どっかで飲めないかなと探していたのですよ。
この鹿塩ゴーゼには、長野県下伊那郡大鹿村という南アルプスの山奥にある村で取れた山塩を使っているそうです。余談ですが「大鹿村中央構造線博物館」にいっぺん行ってみたいと思ってるんですけどね、何しろひたすら山道を走らんと行けれん場所にあるもんで、なかなか行く勇気が持てない。少なくとも冬の間は無理だな。
話がそれました。では、飲んでみますよ。グラスに注ぐと、液色は濁った黄土色です。おーっ!酸っっっっぱー!そして、塩っっっっぱー!苦みは全くないんだけど、何しろ単品で飲むとクセがすごいんじゃあ。
だがしかし、ふふ、ちゃんと用意してあるもんね、野沢菜漬け。これをつまみながら飲んでみたら、これが相性抜群、ベストマッチ!「長野県民が集まると、野沢菜とお茶で延々お喋りをし続ける」というのは長野県民あるあるですが、このゴーゼだったらさらにヤバいことになりそう。ゴーゼ野沢菜ゴーゼ野沢菜の永久運動が止まらなくなっちゃいそうだわ。ということで、このビールにはうちの旦那から「長野県民殺し」の二つ名が命名されました。しかし、野沢菜もいいけど、すんき漬け(木曽の伝統的な乳酸菌発酵の漬物)だったらもっと合うんだろうなー。
4 Far Yeast Brewing「もりともり」
(Free style Sake Yeast Beer(Rice Ale) ABV6.5% IBU15)
山梨をビールで盛り上げる「山梨応援プロジェクト」の一環として、山梨県北杜市産の米を副材料とし、清酒用の酵母で醸したライスエール。
液色は白に近い薄黄色。冷蔵庫から出したばかりの冷えたビールをクッと一口あおると、ガツンとしたパンチを喰らいました。苦みも鮮やかだけれども、それ以上にキリッとしたドライな強さが印象に残ります。確かに、よく冷えた辛口の吟醸酒をクイッとあおった時の、あの喉の奥にくる感覚に近いかな。他のビールとは少し違う味わいがあると感じるものの、私の貧弱な舌ではうまく表現できません。
水温が上がってくるにつれて、苦みが和らいでくると、次第に日本酒独特の甘い香りがふんわりと出てきます。ちょっとぬるいぐらいが美味しかったな。飲み終わってから、これを燗酒、すなわちホットビールにしたらどんな感じになったのかしらと思いました。ちょっと残しとけばよかったなぁ。
ちなみに、私がこのビールに対して最も「他のビールとは違う」と感じたのは、尾籠な話で恐縮ですが「げっぷ」。喉の奥から戻ってくるげっぷの匂いが、ビール特有のあのもったりした感じとは違って、穏やかな白米の匂いでした。おお。きちゃない話で申し訳ないっす。
(India Pale Ale ABV4.5% IBU35)
地ビール醸造所の先駆け、新潟県新潟市のエチゴビール。流通量が多く、スーパー等でも販売されていることが多いビールメーカーです。
まず目を惹くのがこの可愛いパッケージ!ハリネズミとゾウさんの可愛らしさに目を奪われ、む、紅茶のビールだって?どんな味がするんだろう?と気になったので購入しました。
缶を開けると、もこもこっと泡が膨らみます。液色は紅茶のような綺麗な赤褐色。冷蔵庫から出したばかりの冷えたビールに口をつけてみると、うん?紅茶の匂いはほとんど感じ取れません。そして、しっかり苦いです。IPAと呼ぶよりも、略さずにインディア・ペール・エールと呼びたい気分。ただ、飲んでいるうちに、その「苦み」が重層的であることに気づきます。前面にあるのはIPAらしいホップの苦みなんだけど、もう1段奥に違う苦み、渋みがある。これが紅茶の茶葉の味なのかな?
水温が上がって苦みが薄らいでいくと、次第に紅茶の香りや風味を感じ取れるようになってきます。飲み終わるあたりで、紅茶の上品な香りが鼻腔をふわっと抜けていきます。苦みも後を引かないので、後味はいいですね。
今回はこんな顔ぶれでした。って、意図したわけじゃないけど、結果的に山梨・長野・新潟のブルワリーばかり揃っちゃった。だからといって甲信越特集と銘打つには物足りない。もうちょっと経験を積んで、あらためて甲信越特集やりましょうかね、いつか。