昨日(11月8日)は、私の誕生日でした。
というわけで、年末までの有給休暇の消化を兼ねて、1日お休みをいただいたんですね。いつもは早朝に起きてバタバタしながら家族よりも先に家を出るので、朝のんびりパジャマ姿で過ごせるだけでも超ハッピーなんですけどね。家族を送り出して、ゴミ捨てとか洗濯とかの家事をさっさと終わらせて、っと。
さーてと、今日は何をしようかな。市営温泉のサウナに行くか、いや、たまには上諏訪温泉の岩盤浴もいいな、待て待て、近隣の映画館は何を上映しているのかな、松本や甲府あたりでショッピングとか、ちょっと足を伸ばしてどこかのブルワリーかビアパブを訪問しようか、それとも、天気がいいから久しぶりに神社巡りとか…………。
うーーーーーん。なんかイマイチどれにも乗り切れないぞ。
っていうかね、やっぱちょっとお疲れモードなんですよね。夏の間にがっつりスケジュールを埋めまくって、あれこれ遊んだり勉強したりしてきた反動が、ここにきて身体に来てる。サウナや岩盤浴でまったりしてもいいけど、お風呂に入るのって体力けっこう使うもんなぁ。なんかもう単純におうちから出たくないモードだぞ今日は。
とはいえ、平日のテレビはワイドショーとテレビショッピングばっかりで見る気がしないしなぁ。……お、そうだそうだ、普段忘れがちだけど、 私ってばNetflixに入ってたんじゃんよ。そうだ、そうだよ、こんな日は、今めっちゃ話題になってる「アレ」を一気見するっきゃないじゃない?!(*^▽^*)
『地面師たち』!!!
監督・脚本が大根仁ってだけでも気になるのに、キャストが私の好きな俳優さんばっかり揃ってる。トヨエツと綾野剛のW主演なんて色気ダダもれ確定だし、ピエール瀧とリリー・フランキーの定番コンビ、クセの強いサブキャラを演じさせたらピカイチの染谷将太、そんでもって騙される側が山本耕史。うっわ、もうキャスト表を見ているだけでワクワクしかないじゃん。
そんでもって決定打がコレですよ、「音楽:石野卓球」。
なんでえなんでえ、大根監督と電気グルーヴの組み合わせだなんて、絶対スルーできるわけないじゃんか。面白くないわけないじゃんか。約束された勝利の剣!
全7話。でもさ、どうせ1話を観たら止めらんなくなるやつっしょ。6時間ぐらいの長い映画を観るんだぐらいの気持ちでいればいいんでしょ。分かってまっせ大根監督。
そして、その読みは裏切られることなく、文字どおりノンストップ、昼ご飯を食べるのすら忘れて、ずーーーーーーっと引き込まれてました。いやぁ面白い!!!
いわゆるノワールものというか、クライムサスペンスドラマですね。犯罪者側の視点から、詐欺や殺人の過程を描くもの。犯罪者側が悪いのはもちろんなんだけど、被害者側もそれなりに後ろ暗い連中ばっかり。あ、珍しくリリーさんが完全な善人だ。リリーさんと瀧さんは、作品によって白黒どっちもあるから油断できない。死の淵に追い詰められたリリーさんが、いつ狂ったように笑い出すかとヒヤヒヤしていたわ(笑)
トヨエツ演じる地面師のリーダー「ハリソン山中」が、マジキチのシリアルキラーで、とにかくすぐ誰か死ぬ。血しぶきぶっしゃぶっしゃ、潰れた肉片まみれの壮絶な画面がちょいちょい挟まりますけど、あまりにもPOPに人が死んでいくので全然怖くない。あ、コイツ死ぬわと思ったら死ぬ。『RRR』で貨物運搬車から猛獣たちが飛び出した時ぐらいの「あー来た来た」ってな感覚で観てられる(笑)
それに対して、綾野剛くんが演じる「辻本拓海」は、過去に平和な家庭を持っていたのに自分が地面師に騙されたせいで家も家族も失い、無気力になっていたところをハリソンに拾われたという、被害者と犯罪者の両方の側面を持つ複雑な役どころ。綾野剛くんの持つ、いつもどこか潤んだような、憂いを持つ目の力が最大限に発揮されていて、いやー、もうたまらんかったですね。健全で活気に満ち溢れた目、無気力で自暴自棄になった目、地面師の「仕事」に愉悦を感じる目、おどおどとした負け犬の目などなど、綾野剛くんの見本市かなって感じで演技の振れ幅がすごかったです。
そんでもって、地面師チームの顔ぶれがまた濃い濃い。ピエール瀧さんの「もぉええでしょう」は今年の流行語大賞にノミネートされてましたね。瀧さんのあの圧の強い顔と声だからいいんだな。で、小池栄子がガラ悪い。やたら殺すぞ殺せよとわめき散らすヒステリック姉さんだけど、なりきり演技がたいへんお上手で、仲居さんスタイルがとってもよくお似合い。「ルイヴィトオオオオン」の北村一輝、初っ端から死亡フラグが猛烈に立っているけれど、まさかあんなふうに死ぬとは思ってなかったです。染谷将太くんの僕はあくまでも趣味の一環としてやってるんだもんねー的な飄々とした雰囲気も良かったし、アントニーはもう見るからにって感じで、キャスティングがびしばしハマってました。チームだっつってんのに仲は険悪で、ちょっとでも後ろを向いたらすぐ仲間に刺されそうな緊張感が、最高にスリリングでいいのよこれが。
山本耕史くんは、どんなにシリアスな演技をしていても、どこかにユーモラスな雰囲気をまとっているというか、けれんみがあって大好き。『シン・ウルトラマン』のメフィラスさんとかね。被害者側と言いつつも、コイツもコイツで色々とアレなヤツで、やたら立ちションとか金玉握ってるとかそういうシモ系の演出が多かったのはどういう意図なんですか大根監督。どこかで見た「他人の駐車場を見ながら嬉しそうに立ちバックしてた男」というコメントが頭にこびりついて離れませんわ(笑)
あ、あと、地上げ屋の役で出てきたマキタスポーツさんも、小汚くてすごく良かったですね。ずーっと水虫の薬を塗ってんの。不動産業界の表にも裏にも精通している「知りすぎていた男」。初っ端から死亡フラグがビンビンに立っていた男。マキタさんってホントこういう役が多いなぁ。『ゴールデンカムイ』の後藤竹千代とかもねぇ。
あと、吉村界人くんが演じていたナンバーワンホストも、偉そうに振舞っているわりにはちょいちょい自信なさげな小物感を醸し出していて良かったですねぇ。もったいぶって菜摘を抱かないのは、実は女を悦ばせるのがヘタクソだからじゃないのかなぁと推測させるあの感じ。拓海が菜摘を悦ばせているのを見た時の、不安に満ち溢れた表情なんか特に良かったです。ヘタクソのロリコンだから素人娘を買うことしかできないんだな。ざぁこざぁこ(笑)
こんなふうに挙げていたらキリがないんだけど、とにかくどのキャラクターも生々しくて、どこか伊丹十三監督作品を思い出しました。人間のどうしようもなさというか、隠しておきたい恥部にカメラを容赦なく向けていく感じ、すごく好きですね。
そういう意味では、ひとつだけちょっと物足りなかったのが、池田エライザさん扮する女刑事の動かし方ですね。あのキャラクターは原作には存在しないんだそうですが、ちょっとカッコ良すぎないかっていうか、後半、彼女があまりにも効率よく真相に辿り着いていくスーパーウーマン的存在になっちゃってたのが、少し異質な感じしました。っていうか、『SCOOP!』もそうだったけど、くたびれたベテランと元気な新人女子のバディもので、最終的には新人女子がベテランの遺志を継いで物事を成し遂げる、っていう展開、大根監督の好きなパターンなんですかね。っていうか、あの女刑事、あれだけ隙がガバガバにあったのに、なんでハリソンの包囲網に引っかからなかったんだろう。ちょいとチートキャラすぎんか。
しかし、やっぱり石野卓球の音楽は最高すぎた……!!!
なんと卓球さん、劇伴を担当するのは初めてなんですってね。あれだけのキャリアだし、映画やゲームのテーマ曲なんかはよく手掛けているから意外。かっこいいなぁ。オープニングのタイトルが出る直前の「ズンチャ、ズンチャ……」ってリズムが流れ出すとこなんかワクワクしちゃいますよ。円盤化しないかなぁサントラ。ちなみにこのサントラ、マスタリングしたのは、まりん(砂原良徳)なんですってよ。
他にも色々と言いたいことはたくさんあるけど、あとひとつだけ。
この作品のプロモーションビデオ、Netflixがたくさん作って公開してるんだけど、特に面白かったのが「なりすましトーク」。トヨエツと綾野剛になりすまして喋っているのが、私も大好きなお笑いコンビのレインボー。池ちゃんの綾野剛はまぁそこそこ見えるけど、ジャンボのトヨエツはどうなんだ。全然ルックス似てないのに、堂々となりすますもんだから笑いが止まらない。それを見ているトヨエツが瞬時にそのボケに乗っかっていくあたり、さすが大阪人ですねトヨエツ。ちっちゃなムチ可愛い(笑)