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図書館の本を早く読み切らねば……(°∇°;)アセル

マルス駒ヶ岳蒸溜所祭り2026

先週の日曜日(17日)は、長野県上伊那郡宮田村にあります「マルス駒ヶ岳蒸溜所」に行ってきました。1949年に始まったジャパニーズウイスキーの老舗蒸溜所です。そこで年に一度開催される蒸溜所祭りに行ってみたらどうだい、と知人からチラシを渡されたのがきっかけです。

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ふーん、ウイスキーか、とチラシに目を落としたところ、あっ、ここって「南信州ビール」さんの醸造所もあるところじゃん。親会社の「本坊酒造」さんはウイスキー以外にも焼酎やワイン、みりんなど幅広くお酒を作っていらっしゃる会社で、南信州ビールさんもその系列会社なのです。その歴史は古く、平成8年に長野県第1号の地ビール醸造所として設立され、今年で創業30年になります。

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もらったチラシを読んでみると、「南信州ビール30年のあゆみ」と題する特別セミナーがあると知り、それは是非とも聴いてみたい、と思ったのでした。しかしチラシをもらった時点では既に聴講の募集期間は終了。でも、当日の状況次第で「立ち見」の受付もあるかもしれないとのことだったので、とりあえず行ってみよう!

上諏訪駅から飯田線にがたんごとんと揺られることおよそ1時間半、やっと目指す「宮田駅」に到着しました。小さな無人駅です。駅前から蒸留所祭り送迎用のマイクロバスに乗りこみました。

マイクロバスは初夏の陽射しを浴びる田園風景の中を走り、15分ほどで蒸溜所に到着しました。既にたくさんのお客さんがいて、外国の方々の姿も見えました。

ウエルカムドリンクが、ウイスキー、ワイン、ビール、ジュースの中から1杯選べます。ここはもちろんビールですよね。何度か飲んだことのある「Ogna SPRING SESSION」でした。すっきり爽やかで軽やかな味わいが、今日のこの暑いぐらいの陽気にぴったりです!

ステージではジャズバンドが賑やかに会場を沸かせ、フードやグッズを扱うブースやキッチンカーもたくさん来ていて、子どもたちも大はしゃぎで駆け回っています。地域のマスコットキャラクターの着ぐるみも愛嬌を振りまいていましたよ。

ウイスキー蒸溜所(ディスティラリー)のガイド付き見学ツアーには間に合いませんでしたが、ご自由にご覧くださいと解放されているエリアもあって、ウイスキーに詳しくない私も楽しめましたよ。

木樽はビールでも使うからわかってらい、「バレル」って言うんだもんね、と自信満々で覗き込んだら、木樽にも大きさや材質の違いでたくさんの種類があって、バレルはそのひとつの種類の名称であるそうな。木樽全般を指す用語は「カスク」なんだそうで。ううむ、勉強になるなあ。

木樽を見た後だけに、木樽熟成ビールが飲みたいな。というわけで、南信州ビールさんのブースへ行って「カスクIPA」を注文して飲んでみました。その名のとおり、ウイスキー作りに使われた樽を使用して熟成させたビールです。アルコール度数は9%とかなり高め。

口に含むと、ウイスキーの濃密な香りが口の中から鼻腔まで一気に広がってきます。喉を刺す刺激とハイアルコールの陶酔感。それらが駆け抜けていった後で、ホップの香りと苦みが遅れてやってくる感じです。飲み始めはウイスキーで後味はIPAというハイブリッド感がとっても面白いです!

ちょうどお昼の時間だったので、フードのブースをうろうろ見て歩いておりますと、伊那谷のご当地グルメ「ローメン」がありました。焼きそばに似ているんだけど、決定的な違いは「マトン(羊肉)」を使用していること。伊那から飯田にかけての南信(長野県南部)の人々はとにかくマトンが好きで、ジンギスカン料理の店などもとても多いそうです。そんな愛すべきマトンの入ったローメンは、モチモチとした麺と自己流の味付けが特徴的。ブースのお姉さんに「どの味付けがいいかな」と尋ねたところ、「私は酢とソースを1対1で、あと七味唐辛子をちょい多めにかけるのが好き!」と教えてくれたので、真似してやってみました。酢のさっぱり感がマトンの臭みを消して美味しい。

さてと、せっかくウイスキー蒸溜所に来ているのだ、ここはやっぱりウイスキーも飲むべきだろうと思いまして、マルスウイスキーのブースのお兄さんに薦められた「シングルモルト駒ヶ岳2026」を一口買ってみました。今回の蒸溜所祭りのために作られた数量限定のウイスキーで、伊那谷の二条大麦で作られているんですって。水割りやハイボールなど飲み方が選べましたが、ここは、オン・ザ・ロックで飲んでみましょう。

口に含むと、アルコールの刺激が脳天まで一気にカーッとのぼってきます。普段ビールばかり飲んでいるから、余計に強烈だと感じるのかな。ほんの少しずつ口に含んで、ゆっくりと口の中で転がしていくと、体温で温められるうちに、クリアで上質なウイスキーの香りが鼻腔に広がっていきます。舌の上がじわじわと痺れて、ふぅっと吐き出す吐息の向こうに、楽しそうに歓談する人々の姿が見えます。ああ、長野県ってなんと豊かな県なんだろう、と改めて実感します。

と、酔いに浸っているうちに、セミナーの受付時間がやってきました。急いで受付を済ませたおかげで、無事に立見席は確保できました。「90分間立ちっぱなしですよ、いいですね」と念を押されて覚悟していたものの、セミナーの会場に行くと、立ち見客用に簡易な椅子がちゃんと用意されていたのでした。やったあ。

講師は、南信州ビール株式会社の常務取締役にしてヘッドブルワーの竹平考輝さん。馴染み客から「タケちゃん!」と声をかけられて、恥ずかしそうに微笑んでいらっしゃったのが印象的でした。

「ボクのセミナーは、他のセミナーとは違って、勉強にはならないですからね。ただただ、ボクの思い出話をお話しするだけなんで、そういうつもりで聴いてね」と、冒頭から客を笑わせます。年表形式のスライドをたくさん使って、それぞれの年度に作ったものや、その年の日本全体のビールに関するトピックスなどを並行してお話ししてくださいました。

先に述べたとおり、南信州ビールさんは長野県では最も古い歴史を持つ地ビール醸造所です。酒税法改正により小規模醸造所、いわゆる「地ビール」が解禁されたのが平成6年ですから、かなり早い段階で開業したことになりますね。

ここまでの30年の間にはいろいろな出来事がありました。敷地内にクマが出て大騒ぎになったこととか(麻酔でぐっすり眠らせたクマにビール瓶を持たせて写真を撮るなどのお茶目な一面も!)、人気ドラマ『獣になれない私たち』で当社の定番商品「アップルホップ」が紹介されたこととか(ただし「北信州ビール」と名前を変えて)、コロナ禍ではどうやったら人々に喜んでもらえるだろうと考えさせられたこととか、ミズノと組んでスポーツ後に飲むノンアルビールを開発したこととか。

そして最後に、現時点の取り組みとして、新たなタップルームの開業を6月に控えていることが発表されました。新たなお店の名前は「Dining&Ogna Taproom"an go"」というらしいです。オープンが待ち遠しいですね。

ここでセミナーは終わり……のはずだったんですが、竹平さんから「えーっと、持ち時間があと20分ぐらい余っているので、もし興味がある方がいらっしゃるなら、ビール工場のほうにご案内しましょうか?」と素敵な提案が。もっちろん、行っきまーす!!!

竹平さんの後について、ビール醸造所の中へ。

設備の説明や、いろいろな麦芽の種類の食べ比べ、マイシェ(麦のお粥)をどのようにかき混ぜるかの実演など、短い時間ながらも充実した内容でした。

説明後は質問時間も設けられたのですが、今回はウイスキーファンが多く集まっていることもあって、「ウイスキーとビールの違い」に関する質問が多く寄せられていました。

例えば、「ウイスキー用の麦芽とビール用の麦芽って同じもの?」という質問。これに対しては、「ウイスキー用の麦芽は大麦種子の中のデンプンを極限まで糖にする。どれだけアルコールを多く生成できるかにかかっているから。以前、ウイスキー用の麦芽でビールを作ったらどうなるか実験してみたんだけど、キレが良すぎて、ビールとしてはまったく美味しくないものができあがってしまった。ビール用の麦芽はそこまで糖化させていない」とのこと。へーっ。理屈としてはわからなくもないけど、本当にやってみた、というのが説得力ありますね。なるほどなぁ……。

他にも、商売としてのウイスキーとビールの違いについて。ウイスキーは仕込んでから商品になるまで3年以上かかるため、初期の資金繰りがすごく大変。そりゃそうだよね、最初の2年はお金が出ていくだけで、まったく入ってこないんだもんね。それに対してビール、とりわけクラフトビールに多い「エール」は、仕込んでから3週間程度で完成するので、資金の回転が速い。だからウイスキーとビールでは、ビールのほうが商売がやりやすい、というシビアなお話。

「他に質問はありますか」と最後に尋ねられたので、エイヤッ!と手を挙げてみました。「この先、手掛けてみたいと思うビアスタイルはありますか?」

すると竹平さんは、わずかに苦笑して、「実は、今まではもっぱらボクひとりでビールのレシピを書いてきたんだけど、これからは若い社員にも少しずつ任せてみようかと考えているところなんだ。だから……」とのこと。南信州ビールに新たな時代が到来する予感を感じたところで、終了。

すごく充実した1日になりました!ウイスキーのことを勉強できただけでなく、セミナーも聴けて、なおかつビールの醸造所まで見学させてもらえるとは嬉しい驚きでした!ありがとうございました!ヾ(*´∀`*)ノ