昨日(7月5日)、息子と一緒に映画を観てきました。出かけた先は、下北沢。と言ったらやっぱり「下北沢トリウッド」。黄色い椅子がちょこんと並んだ、ちっちゃなちっちゃな映画館です。


ここで今回観た『君は映画』は、下北沢トリウッド以外にも全国東宝系映画館で上映中なんだけど、いや、いや、いや、でもやっぱり、絶対に下北沢トリウッドで観たほうがより面白さが倍増するんですから、この映画は!
というのも、この映画のロケ地がまさにこの下北沢トリウッドだから。そして、下北沢トリウッドで観ることで「私も映画」になれちゃう不思議な映画だから!
東京・下北沢で劇作家をしているマドカと、隣町・三軒茶屋でバンドをしているカズマ。
二人はそれぞれ映画を観にいくと、スクリーンにお互いが映し出されて混乱。
どうやら、マドカにとってはカズマが、カズマにとってはマドカが「映画」らしい。
そんなあり得ない構造の中、まるで映画のように、互いの物語の中で事件が起きていく。
カズマとマドカはスクリーンごしに会話しつつ解決に奔走するが…。(公式サイトより引用)
あらすじを読んでも「?」ってなると思うんで、予告編を観ていただいたほうがわかりやすいんじゃないかしら。
それぞれに問題を抱えている男女2人が、気分転換にと映画館に立ち寄ったところ、お互いがそれぞれが観ている「映画」の中の登場人物であることを知るわけです。マドカが「主人公」の映画は『下北沢エクソダス』、カズマが「主人公」の映画は『三軒茶屋エスケープ』という映画であることを、2人は映画館のスクリーン越しの会話で知るんですね。最初は2人とも半信半疑だったものの、それぞれの「映画」のフライヤーに書かれた「あらすじ」を双方が読み上げることで、どうやら本当らしいとわかる。しかし、その「あらすじ」の続きはとんでもなく悲惨なもので、2人は、自分たちの物語の展開をなんとかして変えていこうと決意して協力し合うことにします。
いわゆる「双(複数)視点もの」のサスペンス劇に似ていますが、この映画のギミックはそれらとは少し違います。「双視点もの」は2人の主人公がそれぞれに見ている物語が互い違いに展開するものですが、それだと、主人公が見ていないものは表に現れないことになりますよね。
でも、この作品はあくまでも「マドカ/カズマが主人公である映画」なので、彼らが知り得ない光景がカットインしてきたり、彼らが注意を向けていないものに対してカメラが意味深にズームしたりするわけです。なので、映画の「観客側」の人物はその事柄に気づく。そして、それをスクリーン越しに「映画側」の登場人物に教えてあげることができる。ミステリーとしてはアンフェアすぎる話ですが、切羽詰まっている2人にとってはかまったこっちゃありません。
こんな前代未聞・奇想天外な仕掛けを作り出したのは、そうです、ヨーロッパ企画の上田誠さんです。これまでに『四畳半タイムマシンブルース』や『ドロステのはてで僕ら』、『リバー、流れないでよ』、『時をかけるな、恋人たち』など、「時間のズレ」を巧みに利用したドタバタ劇の脚本を多く手掛けてきた上田さんが、満を持して監督に挑戦した初めての映画でもあります。
上田さんが手掛ける作品には特徴がいくつもあって、そのうちのひとつが「極めて狭い範囲で物語が進んでいく」ということ。予算的な問題もあるのかもしれませんが、それ以前に、やっぱり「舞台演劇」的だなと思うんです。登場人物たちが狭いステージの上を行ったり来たりしながら物語が進んでいく感覚。
というわけで、今回の映画はそのほとんどのシーンが「シェルポ下北沢」というビルの中を行ったり来たりしながら進むのです。そう、最初の写真に映っていた看板のビルです。映画館「下北沢トリウッド」を真ん中にして、その両側に「GOOD HEAVENS!」というパブと、「三日月ロック」という居酒屋があります。そして、「GOOD HEAVENS!」ではマドカの『下北沢エクソダス』の映画が、「三日月ロック」ではカズマの『三軒茶屋エスケープ』の映画が進んでいき、「下北沢トリウッド」はその2つの映画が交錯し、さらにこの事態を解決するカギが1階の古着屋「CHICAGO」に……おっと、これ以上はネタバレになりますね( ̄b ̄)シー
しかし、───実は、ここまでの感想はこの映画の半分の要素しか語っていません。
この映画の中盤から、物語はとんでもなく斜め上にぶっ飛んでいきます。上田誠的といえば極めて上田誠的というか。「えっ?」が畳みかけてくるというか、奇想天外がてんこ盛りされてくるというか。もうね、笑うっきゃない。トリウッドの狭い劇場の中は、大爆笑の連続でした。これはもう実際に観て楽しんでくださいね。
映画が終わって、トリウッドから外に出ると、目の前にあるのは三日月ロックやGOOD HEAVENS!。皆さんやっぱりニヤニヤしていました。ごくありふれたエレベーターの写真を撮っている人もいたりして、ああ、皆さん「映画」の中に入っちゃってたんだな、と。最初に申し上げたとおり、この映画は全国東宝系映画館で上映中なのですが、もし都合がつくようでしたら、是非とも下北沢トリウッドで観てみてください。きっと不思議な体験ができますよ~ヾ(*´∀`*)ノ






