つれづれぶらぶら

旅行記はちょっとずつ仕上げていきます。お楽しみに~。

自立と庇護の悩ましい匙加減

てなわけで、うちの息子もいよいよ高校デビューです。

sister-akiho.hatenablog.com

ホントもう、ここ2週間ぐらいの間に、お金がすさまじい勢いで飛んでいきましたよ。やれ教科書だのジャージだの制服だのカバンだの教材費だの、学年費だのPTA会費だの、スマホの新規契約だの通学定期券だの、そんでもって昨今は課題提出などがデジタルで行われるんだそうでタブレットを購入してくれだの、毎日毎日数万円単位でお金を支払っておりました。ついでに言うとその前の家族旅行の宿泊代や交通費や飲食費もまとめてクレジット一括にしてあるから、近いうちにごそっと引き落とされるんだろうし、あはははは、ふふふふふ、うん、うん、頑張って働こう。頑張って働いてこうな!(ノД`)・゜・。

まぁね、言うてまだ公立高校なんでね、金銭面では楽なほうだろうとは思いますよ。教育支援金の申請もしておいたしね。中学の卒業式の待ち時間に、他のお母さん方ともっぱらお金の話ばっかりしてたけど、甲子園常連の私立高校の野球部に息子さんを入れたおうちのお母さん、げっそりした顔してらっしゃったもの。きっとうちなんかとは桁が違うんでしょうねぇ( ̄▽ ̄;)

それに、お金はね、前々から覚悟してたし、息子が生まれた時から折々に親戚から頂戴したお祝い金なんかをこつこつ貯めておいたので、実際問題として家計にはほとんど響いてないんで、それはまぁ、いいんですよ。

問題は、義務教育が終わったこのタイミングで、どこまで「親離れ」させるか、言い換えればどこまで息子の自主性に委ねるかっていう、その匙加減の難しさです。

うちね、今までスマホ持たせてなかったんですよ。他のおうちのお子さんはスマホだのゲーム機だのパソコンだの、色々持っていらっしゃったようなんですが、そういうの一切持たせてこなかったんですね。ただもう単純に、うちの息子があまりにも勉強嫌いで、そんなん持たせた日にゃ絶対勉強せんやろうと確信していたからです。それと、小学校や中学校からも「スマホはなるべく持たせないように」って言われてましたからね。なんかね、毎年毎年何らかのトラブルが発生しちゃってその対応にてんてこ舞いするんですってよ。先生方も大変ね。

ところが、さすがに高校ともなると、言うことが変わりますな。オリエンテーションでのあれこれの説明も、生徒がスマホを持っている前提の話しぶりになっている。連絡網はスマホのアプリで行います、行事予定もアプリ内の共用スケジュール画面で確認させてください云々。さすがに授業中はスマホを没収するらしいんですが、登下校中やクラブ活動での使用については触れられなかった。生徒会自体がInstagramを活用しているらしいので、そこはもう、生徒の自主性に委ねているよということでしょう。

もちろん、私たち夫婦も前々から「高校に入ったらスマホ買ってやらんと」と話し合っていたわけで、そこはもう当たり前に受け止めていたんですが、よく分からんかったのが「フィルタリング」。テレビの教育番組などでは色々と話を聞くけれど、実際にはどんな感じなのか全然分かんないし、ここはもうお店の人に聞くしかないですな。

というわけで、家族3人でSoftbankのショップに行って、息子のスマホの新規契約の手続きについてあれこれ相談してみたんです。結果として「あんしんファミリースマホ」という初心者向けのスマホにして、高校生向けのフィルタリングを設定することにしました。スマホのスペック自体は普通のスマホとほとんど変わらないんですが、GoogleChromeなど一部のアプリを利用することができず、インターネットを利用する際には「あんしんフィルター」というアプリを経由しないといけないんですね。で、インターネットを閲覧している最中で、「ここから先はChromeにアクセスしちゃうからダメ」って感じで通せんぼされちゃったりするわけです。

そんで、いきなり息子に泣きつかれてしまったのが、マサチューセッツ工科大学がリリースしている学童向けプログラミング「scratch」。これ、息子は小学校高学年の頃から学校のパソコンなどを使ってたびたび利用していて(scratchが小学校の授業の教材だったのね)、いつかは自分自身の端末を手に入れて、アカウントを取って利用するんだーなんて夢を語ってました。scratch自体はすごく良い教材だし、私も息子に習っていくつかショートプログラムを作ったりしてその面白さと有用性は理解していたから、どうぞどうぞおやんなさい、と笑顔で勧めてたんだけどね、どうやら、そのアカウント作成のいくつかの場面でフィルタリングが通せんぼしてくるらしいんです。

具体的に言うと、メールアドレスを登録して、これをscratchアカウントと連携させることで、自分の作ったプログラムを全世界のユーザーと共有できるようになるんだけど、そのメールアドレスとアカウントの連携の作業の中で行うメールによる認証がうまくいかない。まず認証用のメールがうまく届かないことがある。やっと届いたと思っても、そのメールに指示された画面に飛ぼうとすると、フィルタリングに通せんぼされちゃう。ううう。息子もパスワードを変えてみたりとかあれこれ手を尽くしたっぽいんだけど、やっぱりダメ。どーしたらいいんじゃーい。

1時間ぐらい格闘して、いったんは「もう作品を共有させることは諦めなさい」と言い聞かせたんだけど、やっぱり息子のしょんぼりした顔を見ると気の毒になってくるわけですよ。だって、小学生の頃からずーっと楽しみにしてたんだもんねぇ。しかたなく、ここはもう最後の手段、scratchに登録したメールアドレスを私のものに切り替えて、私のスマホから認証手続きを行ったら、まぁ早い早い。あっという間に認証完了、めでたく息子はscratch世界デビューを果たしたというわけです。「お母さんありがとう!本当にありがとう!」とめっちゃ嬉しそうな息子の顔を見つつ、あー、うん、うーん、これが本当に最適解だったのかなぁ……と内心忸怩たるところはありましたけどね。

 

ま、scratchアカウントの件はひとつの例としてですね、おそらくこれから先、こういった「どこまで手を貸すべきなのか」が問われる場面がちょいちょい出てくるんでしょうねぇ。どうやって向き合うべきかがその都度問われることになるんでしょうねぇ。悩ましいなぁ……。

言うて、この問題はうちだけの問題じゃないもんね。おそらく諸先輩方も、そして全国あるいは全世界の保護者の皆さんが、今こうしている間にも、同じ悩みを抱えて溜息をついていらっしゃるのだと思います。いや、人間だけじゃなくて、子育てをする生き物はみんな同じ悩みを抱えているんじゃないのかなぁ。ライオンのお母さんも、きょうだいでじゃれ合ってる仔ライオンたちを見ながら「そろそろ狩りを教えなきゃなぁ……」なんて考えてるんだろうなぁ。

巣立ち、親離れ、独立。それは裏返せば、親自身にとっても「子離れ」なわけで、ある種の覚悟を要求されるところですよね。どんぐらいの力加減で我が子を谷底に突き落とすのか。這い上がってくる力があるのかないのかのタイミングの見極めって、野生動物はどうやって判断してるんだろ。ね。

 

うちの息子の高校デビューの話に戻すと、うちね、そもそも今まで「おこづかい」も与えていなかったんですよね。なので、自分の欲しいタイミングでジュースやお菓子を買おうと思ったら、今までに貰ってきた、お年玉や誕生日祝い、たまに祖父母に貰うおこづかい、親の家事を手伝ってもらうお駄賃などをやりくりするしかなかったんですね。もちろん、家では菓子や飲料の買い置きなどはしていましたけど、必ずしも息子の欲しいものばっかり用意していたわけじゃないからね。今日はどうしてもファンタが飲みたい!って日もあったんでしょうよ。

で、高校生になったことで、これからは毎朝、自分でお弁当を作りなさい、と言うてあるわけです。もちろん食材は晩御飯の買い物と一緒に家計費で買ってくるし、麦茶も作って冷蔵庫に冷やしてあるのを水筒かなにかに入れて持っていけばいいので、作る手間はかかるとしても、金銭的な負担はないわけですよ。

でもね、そうは言っても食べ盛りの男子高校生。弁当と麦茶だけで身体が持つはずもないし、ダチと一緒にファンタ飲みながらダベる時間も必要でしょうよ。そこを賄うための費用として、「おこづかい」を与えることにしました。ネットで調べてみると平均的な高校生のおこづかいは5千円程度らしいんですが、最初っから飛ばしていくと、あとは値上げする一方なので、まずは様子見として、月3千円にしました。もちろん、この金額の意図も最初にちゃんと伝えておきます。

いいかい、3千円なんてね、コンビニや駅の自販機で好きなものを買いまくったなら、あっという間に消えてしまうよ。そうなったとしても、補助はしてやらないよ。だから、自分でよくよく考えるんだよ。スーパーでお買い物の手伝いをするときに、どの商品がだいたいどれぐらいか、コンビニと比べてどれぐらい安いか、頭に入れておくんだよ。そうして、どうやったら一番安くあがるか、それを工夫してやりくりしてみなさい。

いいかい、お父さんやお母さんはね、決してケチでそういうことを言っているんじゃないんだよ。君にお金をあげるのが惜しいわけじゃない。だけど君に、そういうことを通じて、まともな金銭感覚を身に着けてほしいから、あえてこの金額に決めたんだ。最近はゲームの課金やら動画の投げ銭やらで、あっという間に大金を使ってしまう若者が増えているって、こないだニュースで言ってたよね。10連ガチャのボタンを押した一瞬で、3千円ぐらい軽く使っちゃう。でもその結果、求めているレアが手に入らなかったら……思わずもう一度同じボタンを押したくなるだろう。そうやって、気がついたら何万円もお金を使ってしまっている。そのお金でジュースが何本買えるか、購買のパンがいくつ買えるか。そういう計算を、常に頭の隅でできるようにしておいてほしいんだ。もちろん、無駄遣いが全部ダメってことはないよ。たまには友達とカフェでお茶する、そんな日もあっていいだろう。でもそのためには日頃からなるべく余分な出費を控えるようにしないといけないね。そういう判断も、親に頼らずに自分でできるようになってほしい。さあ、このお金は君のものだ。受け取りなさい。

 

子どもの成長って、危なっかしくてハラハラすることばかりだったけど、これからはなるべく先に手を出さないように気をつけて、……適度に失敗もさせて、少しずつ自立させなきゃいけないですね。いつか来る巣立ちの日を無事に迎えられるように、そして親も子離れをして、自分自身の残りの人生を自立して歩んでいけるように、日々あれこれ考えて悩んでいかなくちゃいけませんね。頑張ろ。

少なくとも、私はそろそろ、すぐにあれこれガミガミ言う癖を直さなきゃなぁ……(;^_^A