6月ももう少しで終わり、いよいよ7月がやってきます。何が「いよいよ」かというと、今年度の「日本ビール検定(ビア検)」の受検申込み期間が始まる、という意味です。
上の記事でも書きましたけれども、去年、ビア検1級の恐ろしく高い壁にぶつかって玉砕した私は、今年こそはなんとか突破したいと本気で頑張っておるのです。テキストも改訂されまして、新たに覚えなきゃいけないことも増えましてね。3級や2級のときのように、ただ漫然とテキストを読んでいるだけではダメなんだということはね、痛いほど思い知らされましたから。
で、上の記事でせっせと作っていた「フラッシュカード」は、先日ついに完成いたしました。目標の200枚を少し超えて、総数213枚。中途半端な枚数だけど、輪ゴムの箱に入れられるギリギリの枚数なの(笑)

フラッシュカードは基本的に情報量の多い単語を扱っていて、人名、ビアスタイル名、銘柄名、ホップ名などなど。時代や国、他と区別するキーワードなどを整理して書き込んでいたので、けっこう時間がかかりました。今回改訂されたテキストは外国語表記が添えられたものが多いので、そういうものもちゃんと書き留めておきます。
で、現在は何をやっているかというと、情報量が比較的少ない単語を「単語カード」にまとめています。ダイソーで売っているちょっと大きめの単語カードを使っています。

この写真の単語カードの表面に書いてある言葉は、次のとおり。
1段目:「α-アミラーゼ」「クールシップ」
2段目:「アルファ酸」「クランツ」
3段目:「エール・ステイク」「ブレタノマイセス属」
それぞれのカードの下に小さく書いてあるのは、関連語や反対語などの「数珠つなぎワード」。単語カードの欠点は、覚えた言葉が「点の記憶」になってしまいがちなことだと考えたので、一部のカードにはこうした工夫をしています。さすがに全部のカードにこれやろうとすると作業量が増えてしまうので、特に必要なものだけね。
ところで、今回のテキスト改訂で最も大きな変更があったのは「ビアスタイル」の章。もちろん改訂前のテキストにもその章はあったんだけれども、どちらかといえば歴史的な側面を中心にした書きぶりで、それぞれのビアスタイルにまつわる人物や出来事をまとめた感じだったのね。
それが、今回のテキストではビール審査会などで用いられているビアスタイルガイドラインなどの公式の定義に従って、それぞれのスタイル名の外国語表記、ABV(アルコール度数)、IBU(国際苦味単位)、SRM(液色の濃さ)、味や香りや見た目の特徴、それぞれのビアスタイルを代表する銘柄名などがぎっちり書かれているのね。こんなん、もうなんぼでも難しい問題出したい放題じゃん。情報量大杉っスよ。勘弁してくだサイよ。
とはいえ、容赦なんかしてくれるはずもない。合格率1割の壁はそんなに低くはない。であるならば、受検者にできることはただひとつ、とにかく頑張って「理解」することだ。こつこつ基礎練を繰り返した者のみが壁を乗り越えることができる。だとしたら、真正面から立ち向かうしかないではないか。やったろうじゃないの。
ABV、IBU、SRMを数値化して出してきたということは、もちろん想定されるのは「次のビアスタイルを〇〇の順に並べよ」系の問題があるぞってことだろう。だとすれば、テキストを漫然と読んでたってダメだよね。こういうものはさっさとグラフにおこしてしまうに限ります。Excelで使えそうな機能あったっけな。単なる棒グラフじゃ意味ないんだよな。お、株価チャートのテンプレがある、これええやん。それぞれの値の最小値と最大値と、あと便宜的に平均値をデータベース化して、株価チャートのテンプレに流し込みます。平均値の値は非表示にして、見た目を整えたら、はい、できあがり。
図が小さくて読みにくかったら、随時拡大して見てみてくださいね。



皆さんがよくご存じの「いつものビール」は、左から6番目の「Pilsner(ピルスナー)」、あるいは右から3番目の「American-Style Lager(アメリカンラガー)」あたりかな。
こうやってグラフ化して見ると、ピルスナーやアメリカンラガーは比較的狭い範囲の中にいるビアスタイルであることがわかると思います。逆の言い方をすると、ビールという飲み物はきわめて多種多様なものであって、たいへん幅の広いものであると。しっかし、何度見ても「Bergian-Style Strong Dark Ale(ベルジャンストロングダークエール)」のIBU値の幅はバグってるよなぁ(^_^;)
でね、こうやってビアスタイルの個性をつらつら眺めておりますうちに、私、どうしてもやりたくなってきちゃったんですよ。「これ、ABVとIBUとSRMのそれぞれの値を、XYZ軸にそれぞれはめ込んでいったら、【ビアスタイル3Dマップ】作れんじゃね?」ってね(*^▽^*)
こういうことを考えるのは楽しいですな。で、なんか使えるアプリか何かないかね、とAIに相談してみたんですが、chatGPTは「それをグラフとして表現しようっていうのは、まぁ、無理ではないけど、キミの技能的には難しいんじゃないかな」っていう素っ気ない返答で、Copilotは「アナタがやろうとしているのはグラフというよりはCAD、空間デザインに近いものだと思います」ということで、初心者向けの無料CADソフトをいくつか紹介してくれました。さっそく触ってみたけど、操作を覚えるのが大変で、この受検前の時期にやるこっちゃねーわ、と我に返りまして、ビアスタイル3Dマップ作りはしばらくお預け。10月の受検が終わったらゆっくり学習してみよーっと。
とはいえ、ビアスタイルでマップが作りたいっていう野望は消えませんので、じゃあ、まずは手始めにABVを縦軸、IBUを横軸とした【2Dマップ】を作ってみましょうと。Excelのセルを方眼にして、そこにスケールを書き込み、いっこいっこ手作業で長方形を書き込んでいきます。長方形の左下にはスタイル名を記したテキストボックスをペタリ。当然のことながら、ABV5%前後のあたりに長方形が密集して大渋滞を起こしてしまうので、全てのビアスタイルを表現するのは諦めて、20ほどの主要なビアスタイルに絞りました。
それでもやっぱり白黒の線画だと何がなんだかわからない。なので、地域ごとに色わけした長方形の半透明の図形を上から貼り込んでいきました。テキストの分類にしたがって「ドイツ・チェコ・オーストリア発祥のビール」を黄色、「ベルギー発祥のビール」を緑、「イギリス・アイルランド発祥のビール」をピンク、「アメリカ発祥のビール」を水色で色分けしてみたら、こんな感じのマップができあがりました!(∩´∀`)∩

こうしてマップしてみると、単に数値を眺めていただけでは理解しづらかった部分が、「実感」として理解できますな。例えば、ドイツ・チェコ・オーストリア系のビールは左下の比較的狭い部分に固まって存在し、今日イメージされている「ビール」の基本を作ってきたんだなってことがわかります。
とはいえ、この顔ぶれの中では「Berliner Weisse(ベルリナーヴァイセ)」がかなり異端児です。一番左下にあるめっちゃ狭い黄色い縦棒のやつね。ベルリナーヴァイセは苦みがほとんどない酸っぱいビールで、発祥地のベルリンではカクテルみたいに甘いシロップを加えてストローで飲むっていうことで、初見では、本当にこれはビールと言っていいものなのかと首を傾げたくなるかもしれません。
緑色で表現したベルギービールは、マップ全体に広範囲に広がっていて、ベルギービール界の自由奔放さを表現しているかのようです。比較的アルコール度数が高い傾向にあるっていうのが特徴かな。「Belgian-Style Tripel(ベルジャントリペル)」はめっちゃ美味しくて大好きだけど、このアルコール度数の高さを見るとやっぱ怯んでしまうね。
ピンクで表現したイギリス・アイルランド系ビールは、マップ中央に上から下までまんべんなく網羅しています。アルコール度数の高いほうは、なんてったって「British-Style Imperial Stout(インペリアルスタウト)」と「Barleywine(バーレイワイン)」の2大巨頭が鎮座していらっしゃる。トリペルでビビっている私をあざ笑うかのごとしである。そのくせ、普段はお茶がわりに「Ordinary Bitter(ビター)」をちびちびやってるっていうんだから、英国紳士淑女のエール好きはたいしたもんである。
青のアメリカは、左下と右上に飛び離れていて、これは歴史的な背景を見ていくとわかりやすいです。前に禁酒法時代のアメリカについて記事にしたことがありましたね。新興国アメリカには、ドイツなどから多くの移民がやってきて、アルコール度数の低いビールを作り、これが全米に普及していったという歴史がまずあるわけです。だけど、大手ビール会社が中小のブルワリーを蹴散らしていった後に残ったのは、味わいが淡泊で画一化された「American-Style Lager」。バドワイザーとかあのあたりをイメージするとわかりやすいんじゃないでしょうか。
それに反発する形で、ホームブルーイング解禁後は独自の個性を追求しようとするクラフトブルワーたちが台頭してきて、ホップをありえないほど大量に使用した「American-Style Imperial or Double IPA(ダブルIPA)」などの過激なスタイルを作り出したわけです。ええ、ダブルIPAさえなければ、このマップはこんなに右にでっかく広がることはなかったんですけどね。まったくもう(;^ω^)
あとね、これはビア検に関係なく個人的な興味として言うんだけれども、これからまた新たなスタイルが出現するとしたなら、このマップの右下エリアに何かが登場してきてもよさそうだよね。低アルコールでホップマシマシ系。最近は健康志向で低アルコールビールが支持される傾向にあるから、既にクラフトビール界でそういう潮流が出てきていてもおかしくはない気がします。それが単なる一過性の限定ビールに留まらず、新たなビアスタイルとして確立していくかどうかはわからないけれども。
さーてと、単語カードの続きを作ってくるかぁ……。