こちらの記事の続き。弥彦駅に到着したあたりから話が始まります。
弥彦駅のコインロッカーに荷物を預けてから、さてと、まっすぐ「弥彦ブリューイング」へ行くか、それともまずは彌彦神社にお参りしてこようか、と考えながら歩き出しました。駅を出た時点では雪は降っていなかったのですが、歩いているうちに、ちらん、ちらん、と雪が舞い始め、冷たい風が吹いてきました。うう、寒。あ、この角を左に曲がったらすぐそこにタップルームがあるみたいね。先に飲みに行こ、そうしよそうしよ。
最初に醸造所が目に入ったのですが、タップルームはどうやらこちらの建物ではないようで───、

その隣にある「有限会社弥生商店」という看板のかかったお店のほうがタップルームでした。

ところで、今回、なぜ弥彦ブリューイングに来たのかというと、私が魔法のiらんどで創作活動をしていた時代から仲良くしていただいている、作家のヤマダマコトさんが「にいがた観光ナビ」に寄稿したこの記事を読んだからなのでした。
燕三条行きの新幹線チケットが当たった時点では、そのまま新潟まで乗り越そうと考えていたのですが、いや待て、新潟の周辺にもブルワリーがあるかも?と思って検索していたら懐かしいヤマダさんの文体に触れたということで、あ、これはもう、ヤマダさんに呼ばれているんだな、と思いまして、ね。
ともあれ、お店の中に入ってみます。お邪魔しまーす。
あまり広くないお店の中には、L字形のカウンターと、椅子が6~7個ぐらい。近所の常連さんとおぼしきお客さんたちで賑やかに盛り上がっています。私がお店に入ったタイミングで1組のお客さんたちが抜けたので、その空いた席に座ります。
えーっと、何にしよっかな。

タップは6つで、全てオリジナルビール。日本酒やワインも豊富です。店のあちこちに、招き猫や福助人形といった昔ながらの置物があって、なんとなくほっこり。

気になるものがたくさんあるので、ここは「ハーフ3杯飲み比べ」が最適かな。「弥彦桜酵母IPA」と「三条ももエール」、そして変態ビール愛好家の好奇心を刺激してやまない「もとまちきゅうりきゅうり」の三種を選びました。支払いは注文ごとに支払うキャッシュオンデリバリー方式で、現金のみ対応です。

おつまみは何にしよう?と考えていたところ、「イカメンチは?この弥彦のソウルフードなの、美味しいわよ」と。じゃあそれを1本くださいな。

イカメンチを肴に、ビールをいただきます。
「桜酵母IPA」は、ふわっと優しい甘さで酵母由来と思われる香りが口の中に溢れる感じ。「桃エール」は、口当たりは甘酸っぱいけど割とドライで味わいがやや強い。
そして、最も気になる「もとまちきゅうりきゅうり」は───、グラスを持ち上げた瞬間からきゅうりの香りがして、口に含むと、口の中がきゅうりきゅうり。もはや、ビール入りきゅうりドリンクかってぐらいに。これまでたくさん変わったビールを味わってきた変態ビール愛好家の私だけど、これにはさすがに驚かされました。すんごいな。
「どうして、ビールにきゅうりを入れようと考えたのですか?」とお尋ねすると、お店の方(醸造責任者の羽生久美子さん)は「知らないよ。社長がある日いきなりきゅうりを入れよう!って言い出したんだよ」と笑っておっしゃいましたが、すぐに「このあたりはね、きゅうりの産地なの。でもね、農家さんには、曲がったりして売り物にならないきゅうりがたくさん余っちゃうでしょう。そういうものをね、なんとか使えないかって考えて、ビールを作るんだよ」と、優しい声で説明してくれました。
それにしても、きゅうりは英断だなぁと思っていると、そばの席に座っていた常連さんが「海外ではきゅうり入りドリンクは珍しくないよ。きゅうりジュースとか、きゅうりカクテルなんてのもけっこうあるんだよ」と。そういえば昔、ペプシにキューカンバー味があったっけなぁ……、なるほどね。
お店の雰囲気がとても温かく、常連さんたちがスッと迎え入れてくれた感じで、初めて訪れた私もあっという間にお店の空気に溶け込んでしまったのでした。「どこから来たの?」「長野県の諏訪です」「あー、湖が凍るとこね。御神渡りって言うんでしょう。テレビで観たよ」などと、わいわいお喋りを楽しみました。店内の小さなテレビでは大河ドラマの再放送が流れていて、「この時代にこんな言い方しないだろぉ」なんて皆でツッコミを入れたりしているのも、まるで親戚の家に遊びにきたような雰囲気。あ、イカメンチおかわりくださーい。このイカメンチ、玉ねぎシャクシャクで美味しいのねん。
そういえば、ヤマダさんの記事で気になったことがあったんだった。
「こちらでは石見式醸造法(島根県の石見麦酒が開発した小規模醸造所向けの小ロット醸造方法。発酵の工程でビニール袋と冷蔵庫を使用するのが特徴)を使っておられるんですよね?設備を見ることはできますか」とお尋ねすると、「石見式は使っているけど、この隣にある工場の奥にあるからね、外からはちょっと見えないと思うよ」とのこと。そっかー。
弥彦ブリューイングさんがこれまでに培ってきた実力は、店内に飾られた賞状やメダルの数々でも明らかです。「うちのビールは苦くないでしょう。苦いビールが飲めない人にも飲めるようにしてあるの」という点が、弥彦ブリューイングさんのこだわりポイント。そして先ほども言われていた、地域の農家との繋がりも大事にしていらっしゃるそうです。

ちなみに、こちらのタップルームではボトル販売はしていません。ボトルを購入する場合は、彌彦神社の鳥居の前にある「酒屋やよい」を利用してください、とのことでしたので付け加えておきますね。
さて、名残惜しいけど、そろそろ行きますかね。ご馳走様でした───、っと、あ、すみません、最後にひとつだけお願いしたいんですが、……ダウンジャケット着るの手伝ってください……(;^ω^)新潟の人は優しいナァ……