つれづれぶらぶら

あと少しだけ頑張ったら静岡行くんだ。酔い蛍グループの皆さ~ん!現地で会いましょう。

ZOZOマリンスタジアム観戦記2021

ちょうど3週間前のことなんですが、千葉までカープの試合を観に行ってきました。

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うん、「なんで3週間前の話題を今ごろ?」と思うよね。いつもなら観戦記すぐ書くもんね私。

いや、まぁ、既に察している人もいるだろうけれども、千葉市は目下、まん延防止等重点措置の適用中で、この試合のあった5月29日(土)もその期間中だったのね。うーわ、どうしよう、やっべぇかな、やめとこかなってかなり悩みまくったんだけど、この試合のチケットは職場のカープファン仲間が必死で頑張ってなんとか取ってきてくれたものだったから(もちろんチケット入手時点ではまだ「まん防」は適用されていなかった)もったいなくて、やっぱ野球に飢えててどうしても見たくて、それじゃ徹底的に対策をして出掛けようということにしたのね。

ぼっち観戦。日帰り。飲食を含め、寄り道は一切しない。ガラガラに空いた特急あずさに乗り、まっすぐスタジアムに行って、試合が終わったらまっすぐ帰る。もちろんマスクと除菌スプレーは常備して、いつも以上にこまめに手を洗う。

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ロッテ球団のほうもそりゃあ厳重に対応しておられましたよ。入場時の体温測定と消毒、売店への入場人数制限、座席は1つ飛ばし、アルコールの販売は一切しない、あちこちに臨時手洗い場を設けるなど、本当に「ああ、ホントに興行やるのって大変な苦労なんだ」と実感しましたよ。この時期にスポーツを続ける難しさ。クラスターを出さないように細かいところまで目を配りつつ、お客さんを何とか楽しませようと頑張っているスタッフさん達の苦労が偲ばれて、本当にありがとう、と深く感じ入ったのでした。

ま、そういうことでね、これだけ注意したんだから大丈夫だろうとは思いつつも、そうは言っても万が一のことがあったら、チケットを確保してくれた職場のカープファン仲間までもあらぬことを言われてしまうやもしれぬ。そう思って、3週間ぐらい様子を見ていたのですね。はい、大丈夫ですよ、私も私の周囲にも何の異常もございません。良かった~(;^ω^)

 

前置きが長くなったけど、そんなわけで、2年ぶりの野球観戦です。うわぉ。いつ以来じゃったろうか……(ブログを遡る)、2019年の由宇の2軍戦以来か。そりゃー野球に飢えるはずじゃわぃ……。

ZOZOマリンスタジアムは2018年に一度来たことがあって、今回が2度目。

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今回のコーディネートは、先日購入した栗林初セーブTシャツの上に、いつもの永川20番ユニという「新旧・背番号20守護神コーデ」なのであります。ま、永川さんもコーチとしてこの球場内におるわけだし、かめへんかめへん。 

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さて、マリンスタジアムと言えば「飯うま球場」としてプロ野球ファンには評価の高い球場なのです。もちろん、名物のモツ煮と、前回食べ損ねたホンビノス貝の酒蒸しは必ずおさえておきたいところ。

そんなわけで、毎回恒例でUPしている「今日はここから!」の記念写真も、今回はアルコールではなく、モツ煮でパシャリ(ピンぼけ)。

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ホンビノス貝は本来は外来種なんだけど、今じゃすっかり千葉県の名産品。大きくて身がふっくらしていてとっても美味しい~(*´ω`*)

アルコールがダメってことで、ノンアルコールのオリジナルドリンクもいくつか飲んでみたけど、面白かったのは「岩下の新生姜レモネード」。その名のとおり、生姜味の甘いレモネードに、串にささった岩下の新生姜がマドラー代わりに入っているという一品で(岩下食品さんはマリーンズのオフィシャルスポンサーだそうです)、甘くて酸っぱいドリンクを、塩気のある新生姜を時々ガリガリ齧りながら飲むのは、蒸し暑い日にはうってつけでした。

 

当日は「キシリトールDay」ということで、来場者全員に1つずつ、ロッテのキシリトールガムが配られました。キシリトールガムは小粒であんまり甘ったるくなくていいよね。気分転換によく使わせてもらってます。

それから、当日は「謎の魚・初CD発売イベント」とかで、スタジアム外の売店の横で握手会をやってたらしい。CDを買ったら握手券がついてるとかなんとか。いやA●Bかよwww

そんで、5回裏の後にもグラウンドに「謎の魚」が出現して、歌ったり踊ったりしてましたわ。スラィリーも大型ビジョンの向こうで一緒に踊ってた。ってかCD出すんだ、謎の魚。avex所属なんだ、謎の魚……(;^ω^)


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そろそろ試合の話をせい、と言われてしまいそうなんだけど、えーっとね、うん、まぁご存知のとおり、カープ負けました(´;ω;`)

とはいえ、見どころがまるでなかったわけじゃないのよ。良かったところを思い出しながら書いてみましょうかね。

 

カープの先発投手は、プロ2年目、20歳の玉村くん。初々しくて、かなり緊張しているようにも見えたけど、ランナーを出してピンチを背負っても一生懸命腕を振って投げている姿に好感が持てました。結果的に5回3失点で降板してしまったけれど、もうちょっと度胸がつけば良えピッチャーになりそうじゃと思いますよ。

(とか何とか言ってたら、昨日(6月18日)のベイスターズ戦で7回2失点でプロ初勝利を掴み取ったよ。おめでとう。このままローテを担っておくれ。)

 

それから、この試合の一番の見どころは、林晃汰くんのホームランでしたね。

林くんはプロ3年目の、やっぱり20歳の若鯉で、「ポスト鈴木誠也」とも噂されている期待の大砲。豪快なスイングが魅力。コロナで誠也やキクといった主力が欠けた状態を好機と見るや、猛烈に打ちまくり、現状、最もカープで期待値の高い野手としてアピールしまくっている。

何しろ、このロッテ戦のスタメン発表時、観客がざわついたのが、スコアボードに表示された林くんの打率。えーと、試合開始時点で確か0.750とかそんぐらいの異常値で、おいおいバケモノがおるで、と笑っていたら、2回表で先制ホームランかまして8割超えたもんね。おいおいホンマもんのバケモンじゃったで、と更に球場全体をざわつかせるのでありました。

 

あとは、松ちゃんのホームランと広輔のタイムリー、守備で言えば、メヒアの謎の激走(1塁から3塁までボール持ったまんま猛ダッシュしてきたwww)。んーと、記憶にあるのはそんぐらいかね。

悪いことはあんまり書きたくないんだけど、うーん、中田廉はいったいどうしてしもうたんじゃろうか。ストライクが全く入らんで、試合のリズムが一気にダレた。私も何年も野球を観てきているから、野球の神様がどういう有り様を嫌うかは何となく分かってきているつもりなんだけど、この試合に関しては、あのあたりから試合が壊れ始めたと思うのね。そしてその次を受けたコルニエルもまた酷かったというね(;´・ω・)

コルニエルに関してはまだあまり良く知らないから何とも言えないけど、廉に関しては、うーん、すごく好きな選手なのよ。やっぱり2014年と2017年が良すぎたのかな。中田廉といえば「火消しの廉」と呼ばれるほどで、先発投手がノーアウト満塁とかの大ピンチの事態を招いて降板したあとで、そのヒリヒリする局面を華麗に処理してマウンドを降りていく、あの姿が印象に残っちゃってるから、どうしてもそれと比べてしまうのね。だからこそこの試合では本気でイライラしてしまった。あんなしんどそうな顔の廉は見とぅない。2軍でじっくり調整して、後半戦のしんどい場面でまた華麗に戻ってきてください。気長に待っとるけぇね(^-^)

 

さて、まん防下の野球観戦でしたが、やっぱ、いつもの試合観戦と比べると色々と勝手が違いましたね。

声を出して応援することができないし、トランペットも応援団のリードもないから、拍手やカンフーバットでリズムを取るぐらいしかできない。カープ名物のスクワット応援もなければ、マリーンズ名物のジャンプ応援もない。得点が入っても「宮島さん」も歌えず、周囲の人々とハイタッチをすることもできない。

そんなわけで、なんとなく気分的にはオープン戦っぽい感じで、淡々と試合の成り行きを見守っておりました。でもそういえば子供の頃の市民球場ってこんな感じだったっけなぁ。スクワット応援やチャンステーマなんかなかった(コンバットマーチぐらいか)し、ユニフォームを着ている人も少なかったから、普段着で球場に来て、てんでに弁当を開いて食べて、良いプレイがあると拍手するぐらいで、割とまったりしながら試合を観よったような気がする。あ、あの頃はむしろヤジのほうが大きかったか(;^ω^)

そりゃまぁ、本当はビールあおりながら大声を出して、脳内にアドレナリンを大量に噴出させながらカープを応援したいですよ。そっちのほうがやっぱ楽しいもん。でも、それはもうしばらく我慢じゃね。大丈夫、またその日は戻ってくるから。今はただ、全ての野球関係者の皆さんの頑張りに敬意を。ありがとう。ありがとう。

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やっぱり私はスタジアムが好きなんだ。勝っても負けても、球場で野球が観たいんだ。

たーちんたーぺいたいうーほんこいはー

やーれの。ようやっとカープ勝ったわい。(「やーれの」は広島弁で「やれやれ」の意。)


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今日の分岐点は、やっぱり菊池の好プレーじゃったと思うんですよ。あそこで野球の神様がこっち向いてくれた気がしたよぉね。あれで守備からのリズムに乗って、林くんと宇草くんのバッティングに勢いがついたように思うんですよ。

はー、ほいでも、嬉しいゆぅよりかは、ホッとしたのが正直な気持ちじゃわぃね。

最近は「RCCカープナイター」聴きよっても、だいたい7回ぐらいで呆れて消しよりましたけぇね。8連敗ですよ8連敗。なんしょんなら。その間ずーっとスポーツニュース見れんかったけん知らんかったんですが、今年の交流戦セ・リーグが勝ち越ししたんですと。今日のカープの勝利でそうなったんですと。ほほー。

そんなん聞いても、カープは足を引っ張っとった立場(最下位)ですけぇ、タイガースさんやベイスターズさんはよう頑張りんさったんじゃのう、と思うだけですよ。まぁ、よそを見てもしんどいだけですけぇ、今年は若い子の活躍に目を細めて見ておりましょうかねぇ。いやホンマ、カープは若い子はぶち良ぇんですよ。世代交代の時期がついに来たんかのう、と思う今日この頃です。とはいえ、菊池の守備力は未だに追いつける人がおらんように思いますけどね。守備はやっぱり経験がものを言いますけぇね。

はー、まぁ、今日は久々に歯ぎしりせんと寝れそうですわい。

しかし、大型連敗のストップと言ったら、やっぱりエルドレッドのことを思い出しますなぁ。2014年6月15日、千葉のマリンスタジアムでの、9連敗を止めた起死回生の逆転満塁ホームラン。あれはラジオ聴きながら泣いたよぉね。近所の公園で四つ葉のクローバーを握りしめて泣きべそかきながら祈っとった。そしたら、よ。


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ブラッドありがとう大好きー!(ノД`)・゜・。

クロンもね、今はまだ慣れとってんないようじゃけども、あのエルドレッドが最初に選んで自信をもって送り込んでくれた選手じゃけぇ、真面目で人柄もええ選手じゃけぇ、きっと今に活躍してくれるゆーて信じちょります。ほいじゃけぇ、まぁ気長に待ちよりましょうかいねぇ。

 

そりゃあそうと、今日は火曜日ですけぇ、『おしゃべり唐あげ あげ太くん』の話をしますけども、なんかね、あげ太と山田がラジオをやりたがっとるようなんですよ。


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まぁホンマ、ぐだぐだぐだぐだ喋りょーりますよ。ラジオというより、居酒屋で隣のおっさんグループの客がでかい声で話しよるけぇ丸聴こえになっとる雰囲気ですね。ほぼ役柄を無視してますしね。いや、そりゃ普段のアニメからそうですが(;^ω^)

ほいで、ホンマにYouTubeチャンネルで今週土曜日(19日)22時にやるらしいですよ。そのタイトル名が『あげ太・山田のターチンターペイタイウーホンコイハー』。何じゃこのタイトル。意味わからないわ、言いにくいわ、覚えにくいわ。どう呼びゃぁええんなら。

ほんじゃが、このガチャガチャしたノリのまんまやってほしいわー。企画とかコーナーとかなくてええけん、このテキトーな喋りがええわ。ラジオはブログ書いたりしながらでも聴けるけんええよね。聴く聴くー。皆さんもよかったら聴いてみてやってつかぁさいねぇ。

しかし山田、いや佐藤さん、こんなに私情をバラされてええんじゃろか……(;^ω^)

横内「天白」散歩

郷土研究家の今井野菊さんが、全国に分布するミシャグジ信仰について『御社宮司の踏査集成』という資料にまとめ上げたことは、以前書いた。 

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さて、この今井野菊さんは、ミシャグジの研究をしていくうち、ミシャグジの信仰分布圏と重なり合う形で「天白(てんぱく)」というもうひとつの信仰があることに気づき、その分布についても膨大な手間と時間をかけて『大天白神』という資料にまとめ上げた。それによると、長野県を最多として、次いで静岡県三重県に多く見られ、埼玉、愛知、山梨、神奈川、新潟、岩手にまで広がっているという。

天白といえば、すぐに思いつくのは名古屋市の天白区の地名であるが、その由来はその地域を流れる天白川から来ており、さらに天白川の名の由来はかつてその流域にあったとされる「天白明神」の社からだという。しかし、その天白明神とは何なのかは未だ謎であり、ミシャグジ同様、多くの研究家を悩ませている。

私も現在、天白に関するいくつかの論文(※)を読んでいるところだが、

※古部族研究会編『古諏訪の祭祀と氏族』(今井野菊「諏訪の大天白神」・野本三吉「天白論ノート」を収録)、山田宗睦『天白紀行 増補改訂版』、三渡俊一郎『天白信仰の研究』

あまりにも複雑で、どうにも歯が立たない。どうやら伊勢と信州を結ぶ重要な線がここにあるようだが、まぁ、まだ読みかけだし、半可通ぶって私が口を出すのもみっともない。しょせん、このブログは平凡な私の日常に関するお気楽な雑記だし、本格的に勉強なさる方は専門のサイトにお行きになるだろう。

というわけで今回の記事は、それらの資料の中で注目されている茅野市の「横内」という地区をぶらぶらと歩きながら、天白やミシャグジがどのように祀られているかを眺めていこうと思う。いくつか写真を撮ってきたので、一緒に散歩している気分になっていただけたら幸いだ。

 

茅野市の「横内」という地区は、茅野駅のすぐ西側にある地域だ。住所表示上の区域は「ちの」、学区は「永明」で、諏訪大社の御頭郷は「栗林郷」に属する。茅野市の中では利便性に優れ、日当たりの良い開けた場所であることから、住宅が多く立ち並ぶ。

茅野駅の西口から、散歩を開始しよう。2階の連絡通路を通って、向かいのベルビアという商業ビルに入り、エスカレーターを下って西側の出口から出る。すると、目の前に大きな鳥居が立っている。その隣には小さな郵便局があり、それと軒を連ねるように、道路沿いには住宅や商店が立ち並んでいる。それらの建物は平屋か2階建ての、とりたてて珍しくもない建物ばかりだ。

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ところが、この鳥居をくぐり、ぐぅっと大きく右に曲がっていく下り坂を歩き始めると、それらの建物は、実は3階建て又は4階建てであることに気づく。つまり、この鳥居や建物らは、切り立った崖の上に建っているのである。

 

坂を下り始めてすぐに、道の右わきに小さな小路が現れる。

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この小さな標識に気づかなければ、その小路の存在にも気づかないであろうほどに、人ひとり通るのがやっとの小路だ。こちらを下っていこう。

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しばらく歩くと、開けた場所に出る。そこに、こんな看板が立っている。

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上蟹河原遺跡
上蟹河原遺跡は、国鉄中央線茅野駅西三〇〇メートル地点で大塚古墳・姥塚古墳などが立地する上川の沖積台地の西端崖下にある。崖の高さは十メートルで、標高は七六九メートルです。春は崖の日溜りに菜の花が咲き、付近には湧き水による清流が流れており、遺跡前面には沖積地が広がり水稲耕作には最適な地であった。遺跡付近には弥生時代から平安時代にわたる土器等が散布していた。

ここには、かつて八ヶ岳山麓の権力を一手に握っていた「矢塚雄神(ヤツカオノカミ)」が住んでいて、通称「蟹河原(ガニガワラ)長者」と呼ばれていたらしい。タケミナカタが諏訪を征服するとき、洩矢神服従したが矢塚雄神は最後まで抵抗した。しかし流れ矢に当たって倒れ、娘をタケミナカタに奉ると言い残して死んだ、という伝承があるそうだ。

この遺跡から見上げると、上の道路からの高低差がよく分かる。

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右上にあるのは、上の道路沿いにある矢嶋内科医院の駐車場の基礎部分だ。崖の上にせり出すような形で駐車場が作られているのが分かる。少し下がった場所から全体を眺めてみると、こんな感じである。

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上蟹河原遺跡の前を通り過ぎて、さらに北に進む。先ほどの看板にもあったとおり、このあたりは地下水が豊富と見えて、小路に沿って綺麗な小川が流れている。

しばらく進むと、「うとう坂」と呼ばれている細い階段状の道の中腹に出る。その坂を少し下ってすぐ右に曲がると、そこにお社がある。

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大矢嶋氏の祝神(一族の守り神)の「大天白社」である。このあたりは「矢島・矢嶋」という家が多いが、矢塚雄神の末裔であり、代々、栗林郷の領主を務めてきた家柄であるらしい。とても立派なお社だ。

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この大天白社の前を通り過ぎるとすぐに、左に曲がる道があり、その少し先にも右に曲がる道がある。まずは右に曲がる道のほうへ向かってみよう。

 

真新しいアパートの角を曲がると、がらんとした空き地に出る。

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一見、ただの崖下の空き地のようだが、よく注意して観察してほしい。ここには3つの祠があるのだ。

 

まずは一番右、木の陰になって見えづらいが、横向きの小さな鳥居があるのが分かるだろうか。この鳥居をくぐると、上の道に繋がる非常に細い階段があって、その中ほどの脇に小さな祠がある。『天白紀行』によると、矢崎氏の祝神を祀る「大天白社」であるようだ。

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この崖にはこのような、人ひとり通るのがやっとという、家々に挟まれた細い階段がいくつも存在する。知らなければそこにこんな階段が存在することすら気づくまい。しかし、この撮影の間、地元の中学生と思しき少年がこの階段をトトトッと駆け下りてきて、訝し気な視線を私に向けて去って行った。地元の人にとっては日常的な通路なのね。不審者と思われなかったかしら(;^_^A

 

お次は、この鳥居の近くの樹の下にある小さな祠。

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あまりにも小さいので、なかなか気づきにくいが、こちらが「天白七五三社」であるようだ。七五三と書いて「しめ」と読む。祭神は矢塚雄神(蟹河原長者)。ここはかつての屋敷跡であるそうだ。

 

左側にある鳥居は割と目立つので気づきやすい。こちらは四軒矢島氏の祝神を祀る「大天白社」だそうだ。

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さて、これらの天白がすべて崖の下もしくは崖の中ほどにあることに意味があるように見える。というのも(まだ勉強中なので大声では言えないが)、天白のお社は、崖崩れのおそれのある場所や、水害のあった場所に建てられることが多いようなのだ。私が前々から関心を寄せていた「なぜ神社は断層の上に建っていることが多いのか?」という疑問に繋がっているような気がする。やはり先人たちが子孫に向けて残していった何らかのメッセージなのだろうか。うーん。

 

アパートの角まで戻って、あたりを見回すと、おや、すぐ近くにこれまたお社があるではないか。

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こちらは、同じく横内に多い「小川」一族の祝神。こちらは「御社宮司社」とはっきり書いてあるからミシャグジを祀っているのだと分かる。こちらも大変立派なお社だ。

さらに見回すと、この隣の建設会社の裏にもまた鳥居が見えた。が、そちらは完全に民家の敷地内だったので控える。こんなふうに、あちこちの家の敷地内に祝神の祠らしきものが垣間見えるのだった。

 

先ほどの曲がり道を、今度は左に曲がってみよう。

すると、そのすぐ先にあるのが「達屋酢蔵(たつやすくら)神社」である。

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こちらは、横内地区を統べる小宮(その地区の中核的な神社)であり、素晴らしく太い御柱に囲まれた、威風堂々とした神社である。右隣に見える建物は横内公民館であり、古来からこの地区の人々はこの場所に集っていたのであろう。

御柱が素晴らしいのには理由がある。この神社は、諏訪に数多ある小宮の中で唯一、本宮と同じ八ヶ岳御小屋神林から御柱となる御用材を伐り出しているのだ。なぜ達屋酢蔵神社だけにそのような特権が与えられているのかは分からなかった。

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達屋酢蔵神社、という奇妙な長い名前は、実のところは「達屋神社」と「酢蔵神社」という2つの神社が合わさったものである。オオナムチ(オオクニヌシ)などが祭神とされているが、この説明にあるように、それらは明治以降に定められたものであって、本来の祭神は天白神、そして五龍女神である。おっと、この説明では天白神の横にしれっとミシャグジの名が添えられているではないか、えー。またややこしくなってきた……。

と思ったら、本殿の裏に小さな祠が2つ並んでいる。

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気になって調べてみたら、よく参考にさせていただいている「from八ヶ岳原人」さんのサイトで詳しい解説が記載されていた。いつもありがとうございます。

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from八ヶ岳原人さんの研究結果によれば、これがどうやら御社宮司社(ミシャグジ)と山之神であるようだ。小川氏の祝神を移したものであるとも。ふむふむ。

よく分からなかったのは、鳥居の近くにあるこちら。梅の紋がついている。これもまた、どこかの一族の祝神であろうか。

【追記】再度訪問した際に確認したところ、天神社でした。あ、だから梅紋か、そっかそっか。

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境内には、蟹河原の小川から流れ込む水路があり、鯉が泳いでいた。樹木がどれも大きくて風格がある。近所の子供たちだろうか、熱心に鯉の泳ぐさまを見ていた。

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さて、先ほどの説明看板の中にあった五龍女神はどうなったのかと言うと、ここから直線距離で700メートルほどの先、上川を挟んだ対岸にある、宮川の「中河原」という場所にある「姫宮社」に遷座されたらしいことが伝わっている。

この「姫宮社」は、私の旦那の生まれた宮川安国寺地区の小宮であるとのことで、以前、旦那に案内してもらったことがある。

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この中河原は古くから度重なる水害に悩まされていた地域だという。そこで、仲の良い横内から、水神・産土神として五龍女神(伍竜女宮大明神)をお迎えしたらしい。

「水害」というキーワードが出たことでピンときた方もいらっしゃるかと思うが、そう、ここにも天白が祀られている。この撮影時にはまだ天白にさほど関心がなかったので、お社の写真はないが、その横にあった御柱の写真があった。「天白天神御柱」と書かれている。こちらの天白は「川天白」と呼ばれ、波間(はま:浜)氏の祝神であるようだ。

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さらに、この川天白には言い伝えがある。「この土地の人は、この天白様の下流からでなければ魚はとらない。天白社より上流で魚をとると祟りがある」ということらしい。そして正月にはとってきた魚をこの川天白に捧げる風習があるのだそうだ。

 

さて、そろそろこの散歩を終わりにしよう。

謎めいた神・天白については、どうやら水や崖に関わりがある存在であることが、地形を見ながら歩くことで理解できた。しかしながら本を読むと、他の地域ではまた別の属性を与えられているらしく……ふー。やっぱり諏訪の神々はややこしい!そこが面白い!

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