私の音楽の趣味はわりと偏っていて、プログレッシヴ・ロックから古めのテクノミュージックあたりが好みではあるのだが、実際にはそれほどこだわってない。たまたま耳に入って気に入ったものをひたすら何度も何度も飽きずに繰り返し聴き続けるという感じなので、最新のヒットチューンとかほとんど知らない。
ヒップホップというジャンルにはほとんど縁がなく、普段はまるっきり無関心なのだが、しかし、なぜだか、女の子2人組のヒップホップアーティストには妙に惹かれてしまう。
んで、ただいま注目しているのは、人気急上昇中のchelmico(チェルミコ)。
言わずもがな、湯浅政明監督の新作アニメ『映像研には手を出すな!』のオープニング曲を担当している女性ユニットです。
chelmico「Easy Breezy」【Official Music Video】
この『Easy Breezy』もいいけど、Apple WatchのCMソングになった『Player』もノリノリで楽しいし、大人っぽい雰囲気の『ラビリンス’97』も好きで、最近もっぱらヘビロテしてる。
他にも、Eテレの『デザインあ』で知った、ニューヨークを拠点に活動している日本人ユニットCibo Matto(チボマット:現在は活動終了)もたまに聴く。めちゃくちゃかっこいい。
Cibo Matto - Sugar Water (Video)
だが、女の子2人組のヒップホップユニットと言えば、私にとってはとにもかくにもHALCALI(ハルカリ)なのだ。
もう20年近くも昔のことになる。当時ちょっとしたブームになった『スキージャンプ・ペア』というCGアニメに、HALCALIが登場したことがある。競技中のスキー選手を押しのけて乱入してくるお調子乗りの女子中学生コンビという役割であったと思う。
それでHALCALIを知り、代表曲の『タンデム』や『エレクトリック先生』あたりをちょっと聴いてみた。とても可愛い。あんまり上手くもないけど、元気いっぱいの女子中学生が勢いだけでウェイウェイやってまーすって感じがとても初々しくて可愛いのだ。
その後、活動を進めていくにつれて、交響詩篇エウレカセブンのエンディング曲となった『Tip Taps Tip』や、CMソングの『今日の私はキゲンがいい』など、色々な曲を発表して、どんどん上手くなっていくんだけど、やはり私個人としては初期のあの初々しい雰囲気がたまらなく好きなのだ。
そして、何よりも好きなのが、名曲の呼び声高い『ストロベリーチップス』。
HALCALI - Strawberry Chips (ストロベリーチップス)
これはもう、女子中学生だからこそ歌える曲。なにげにクリスマスソングでもある。
好きな男性(おそらくはオトナ)との、ドラマみたいな素敵なクリスマスの夜を夢見ている女の子が、あっけなく振られてしょんぼりしている失恋ソング。いや、そもそも実際には恋ですらなくて、思春期にありがちの恋に恋する状態ってやつ。それを、学芸会の「ツリー役」みたいなダッサい格好のハルカとユカリが、ゆるいダンスにのせてゆる~く歌う。
何回聴いても、記憶のどこかに忘れてきた思春期の頃の自分の心が反応してしまう。友達と恋愛漫画を回し読みしてドキドキしたりとか、女友達が先輩に告白するのに無理やり付き合わされたりとか、修学旅行のスキーのインストラクターが妙にかっこよく見えたりとか、ああいう頃の、何にでもいちいち心が震えていた頃の自分が。
HALCALIは海外でも話題になったりしたものの、結局は中途半端な成績のまま、10年ほど活動して解散してしまった。時代が早すぎたんだと悔やむ人もいる。でも運も実力のうちというから、仕方ないのかもしれない。もしかしたら今の若い子たちが聴いたら案外ウケるのかもしれない。またいつか火が付くのかもしれない。だったらいいな。