つれづれぶらぶら

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『戦争は女の顔をしていない』

1月27日、BuzzFeedの新着記事を眺めていたら、「その本は、長く出版禁止だった。語られなかった〈女たちの戦争〉を今マンガで届ける理由――『戦争は女の顔をしていない』インタビュー」というタイトルが目に入って、思わず「あっ」と声が出てしまった。 

戦争は女の顔をしていない 1 (単行本コミックス)

戦争は女の顔をしていない 1 (単行本コミックス)

 

 

原作は、2015年ノーベル文学賞を受賞した『戦争は女の顔をしていない』。

実のところ、不勉強なもので、このBuzzFeedの記事を読むまで、この作品がノーベル賞を受賞していたことも、その出版に至る背景も、知らなかった。

ただ、そのタイトルだけは聞き覚えがあった。コミックの帯に推薦文を書かれた富野由悠季さん、そう、あのガンダムの原作者である富野監督が、以前『この世界の片隅に』について片渕監督と対談した際に、この作品に触れていたのを思い出したのだ。  ddnavi.com

ソ連赤軍にいた女性狙撃兵とすずさんは全く同じだったという感触を僕は持ちました。まさか、自分がそういう見立てをするとは思っていなかったのです。でも映画を観た後で手に入れた本があります。2015年にノーベル文学賞も授与されたスヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチさんが書かれた『戦争は女の顔をしていない』というタイトルの本です。 

 

しかも、BuzzFeedの記事によると、今回のコミカライズの企画は『この世界の片隅に』のヒットを受けてのものであったらしく、そういう点でも、この2作品は密接な関わりを持っていることが分かる。

この記事の中にも多く引用されているが、この漫画の絵柄はとても可愛らしく、一見すると、いわゆる流行りの「萌えミリ系」の漫画かと思ってしまうのだけれども、とりあえず第1話を試し読み(公式Twitter上で全話無料公開されている)した段階で「これは紙で読まねば!」と強烈に思い、その足で本屋に駆け込んで購入。

もう、なんというか………言葉が出ない。

絵柄が可愛らしいだけに余計に、そこで描かれている事柄のあまりの苛烈さに、言葉を失う。

「絵柄が可愛すぎるんじゃないか」という批評も見かけた。「萌えミリ系」として消費されてしまうのではないかと危惧する声。

そりゃまぁ、そう感じる人も、萌え系として消費する人もいるかもしれないけど、でも、ここに描かれている少女たちが可愛らしいことは、決して非現実的な話じゃない。

私はこの漫画を電車の中で読んでいたのだけれども、ふと目を上げたとき、目の前にいる女子中高生たち――綺麗に髪を整え、通学カバンに可愛らしいぬいぐるみをぶら下げた健康的な女の子たち――と、この作品に描かれている少女たちがほぼ同い年であることに気付いた。

これは、特別な技能や強靭な肉体を持ったスーパーガールの話ではない。

ごく普通の――愛国心と責任感を持ち、理想を信じ、正義のために行動せずにいられなかった、ごくごく普通の、健康的な14歳や16歳の少女たちの話なんだと。

 

その少女たちは、戦争で何を見たか。何をしたか。

そして、彼女たちは勝利国の兵士たちであったにもかかわらず、戦後に勲章や軍服を隠して生きていかなければならなかった。それはなぜか。

 

コミックを読み終えてすぐ、やっぱり我慢できなくなって、今度は原作本を買いに本屋へ走った。 

戦争は女の顔をしていない (岩波現代文庫)
 

 そして今、毎日の通勤電車で読んでいる。

2駅分ほど読んでは、本を閉じ、2駅分ほど休んでから、また読む、という感じで読んでいるのでなかなか進まない。とても一気には読めないのだ。何とも言えない気持ちになる。とても言葉では言い表せない。いや、言葉にすると嘘っぽくなる。「せんそうはしてはいけないとおもいました」、いや、そりゃ勿論そうなんだけど、そんな言葉で片付けちゃいけない本である、と思うのだ。