つれづれぶらぶら

5月の反射炉ビヤ行きますよー!酔い蛍グループの皆さんにまた会えるかな?

『劇場版 きのう何食べた?』

今日は祝日、そんでもって待ちに待った『劇場版 きのう何食べた?』の公開日。

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この日のためにあらかじめ、ネットフリックスで連続ドラマ版+お正月スペシャル版を見返したりして、期待値をじゃんじゃん上げておきました。どんだけハードルを上げても絶対に裏切られない自信があるのは、ドラマ版の出来が良かったせい。同じ監督、同じ脚本家、同じキャストで作るっていう時点で、面白くならないわけないもん。

そんでもって、2人きりの京都旅行とか、そらもうケンジじゃなくても乙女のハートきゅんきゅんでしょーよ!( *´艸`)


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というわけで、岡谷スカラ座にて鑑賞してまいりました。

尊い………!!

もうこれ以外の感想があろうかしら。ほのぼのと温かく、時にクスッと笑え、時に現実の厳しさに打ちのめされつつも、人々の心の支え合いに癒される。これだよこれ、原作の『何食べ』のテーマと雰囲気を一切損なわず、さらに奥行きを与える実写化。尊い

テレビ版同様、原作のエピソードをあちこち継ぎ合わせ、実際には時系列がけっこうぐちゃぐちゃだったりするんだけど、鑑賞している間はそのことに気付かされないのがすごい。とりあえずメインのストーリーは、コミックス8巻から9巻あたりを軸としているんだけど、ちょいちょいそれ以外のエピソードも挟まってます。ファン待望のあのエピソードも入ってます、実は……って、言いたいけど、これはネタバレしないでおくね。観てのお楽しみってことで。うふふ。

ひとつだけネタバレしておくと、SixTONES松村北斗くんが演じている今回初登場の田渕くん。原作どおりのズケズケ言いたい放題の、歯に衣どころか素っ裸状態のド率直青年ですけれども、今回の映画に登場する「彼女」は、原作8巻(#62)に登場する「前カノ」です。私は、9巻(#70)から登場する「今カノ」が原作の中でもかなり好きなキャラクターなんだけれども、彼女は今回の映画には登場いたしません。真面目で几帳面なのに料理の味付けがなんとなく残念なあのヒトね。これはもう、シーズン2に期待するしかないわよね。テレ東さんお願いしまーす!

新キャラというと、鷲尾真知子さん演じるケンジの母ちゃんも初登場。これもまぁ、原作のイメージぴったりそのまんま。役者さんってすごい。姉ちゃんたちの雑な佇まいもそれっぽくて、本当にキャスティングが一切ハズしてないんだよなぁ……。

 

映画は、のっけから京都の美しい風景と、その中でキャッキャウフフしているケンジとシロさんの姿で始まるんですが、あまりにも幸せ過ぎてケンジの妄想が暴走してメンタルおかしくなっちゃうのが冒頭の10分。めちゃくちゃ面白くて、客席からしょっちゅう笑い声が上がってました。

ところが、この京都のストーリーが、単なるおもしろエピソードでは終わらなくて、後半の伏線になってたりするのでご注意を。ケンジもシロさんもお互いを思いやり過ぎて、時々ちょっと嚙み合わなくなっちゃうのが切ない。でも、時々こうやってぶつかり合いながら、本音をちょっとずつさらけ出しながら、それでもお互いの気持ちに寄り添っていこうとする2人の姿が尊いのよねぇ……。

今回の映画のテーマは「家族」。親と子と孫、夫婦、パートナー、色んな家族の形があって、考え方もそれぞれに違う。何を一番に大切にしたいか、それもまた人それぞれ。今回の映画の中で、シロさんとケンジもまた、さまざまな出来事を経て、自分にとって相手がどれほど大切な存在であるかを見つめ直し、単なる「恋愛関係」を越えた「家族」としての関係性が少しずつ見えてきます。

 

ところで、今日、映画館に行く途中の道で、そういえば何故この漫画のタイトルは「きのう何食べた?」という過去形なんだろう、と考えていたんですが、そうしたら映画パンフレットでもよしなが先生がその点に触れておられましたね。

編集者さんと話し合ったとき、未来にします?過去にします?となって、二人とも「過去かな?」って。「きょう何食べる?」という未来形だと前向きすぎるね、って。

初めてドラマの冒頭を観たとき、ちょっとせつなくて、過去形でよかったんだなと思えました。

(映画パンフレット よしながふみインタビューより抜粋)

私はこのように解釈します。すなわち、生き物は全て何かを食べることで生き抜いてきて、その食べたものがその生物の血となり肉となる。とりわけホモ・サピエンスにおいては「食べる」という行為はほぼ「分け合う」という行為を含むものだから、そのヒトが今ここに存在するということは、これまでの生涯にたくさんのものをたくさんの人々から分け与えられてきて、その無数の積み重なりの上に存在しているということ。その膨大な過去を内包するヒトが、自分とは異なる別のヒトにまた何かを分け与えようとする、その「今日」は、たくさんの「昨日」に裏打ちされている、ということ。

それをこの映画で端的に示すシーンが、シロさんが母親から肉団子を習うシーンだと思うんですね。そしてその肉団子をケンジに分け与え、ケンジはそれを愛おしそうに口にする。シロさんの過去のかけらが、新しい家族となるケンジの血肉となる。いや、もう本当に「尊い」以外の語彙がないんですけどね、よしなが先生……。

ま、とりあえず観てちょうだい、ですよ。ネタバレしないで喋ろうと思うとしんどいわ。だって素敵なシーンいっぱいあり過ぎるんだもん。あ、チャンカワイさん扮する修先生が、今回ちょっとカッコイイです。かなり重要な台詞を発します。修先生ファンの人、こうご期待。

 

そんでもって、『何食べ』の魅力といえば、何より忘れちゃいけないのが「ごはん」!今回の映画の中にも、美味しそうな料理がたくさん作られていきますよー!

キャラメルリンゴのトースト、なんちゃってローストビーフ、キンキのアクアパッツァ、黒豆、ぶり大根、などなど……。

その中で、今夜は「厚揚げの味噌はさみ焼き」を作ってみました。実はこの料理自体は、コミックスの2巻(#10)、割と初期のエピソードに登場するレシピ。2008年(平成20年)に描かれた漫画で、ちょうどうちの息子が産まれたばかりで私がてんてこ舞いしていた頃で、ごはん作りは旦那が受け持ってくれることが多かったんですね。それで、旦那は『何食べ』を読みながら色々作ってくれてて、この厚揚げもその頃によく食べました。懐かしいなぁ。今日は私が作ります。

シロさんのレシピに、あと冷蔵庫の中にあった溶けるチーズを追加して、オーブントースターでじりじり焼いていきます。

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できたー。良い色。ちょっとお味噌の量が少なかったのか薄味になっちゃったけど、まぁ、いいでしょ。チーズもとろけて美味しい美味しい。

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いやー、本当に良い映画でした。原作ファンもドラマ版のファンも、その両方のファンの方々にも、そしてまだ『何食べ』をご存じない方々にも、「是非!」と勧めたい作品でございます。是非!是非!