つれづれぶらぶら

カセットテープミュージックで久々に「レインダンスが聞こえる」を聴いた。こんなカッコいい曲だったかな。懐かしいな。

『RRR』

観てきましたよッッッ!!!

何をかって、そりゃあもちろん、あの『バーフバリ』のS.S.ラージャマウリ監督の最新作『RRR』に決まっているではありませんかッッッ!!!


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新宿ピカデリーのシアター2は300人収容できる大きめのシアターだというのに、朝10時半の時点で既に初回と2回目の上映回のチケットはソールドアウト。私はかろうじて前日の夜に予約サイトで席を確保していたからいいけれど、当日劇場でチケットを買えばいいや~なんて思ったならアウトでしたね。でも前夜の時点でももうけっこう満席に近かったんだよな~。

 

あらすじは、ひとことで言えば、児童文学の『あらしのよるに』なんですね。心を打ち解け合った親友同士が、実は狩る者と狩られる者であったという悲劇。でも、『RRR』においては、お互いがそれぞれに命を賭けても守り抜くべき大義があって、最終的にはお互いの大義を果たすため、真の敵を打ち倒すため共闘する――という物語。

まぁ、こうやって大筋だけ説明しちゃうとシンプルなんですが、そこはラージャマウリ監督、ひとつひとつのエピソードにかける熱量が凄い。凄いっていうか、常軌を逸しているっていうか、なんかもう、えーっと、うーんと、しゅごい(語彙がなくなった)

 

舞台は1920年、イギリス植民地時代のインド。主人公は2人の男。

ひとりは、南インドの森林に暮らす少数民族、ゴーンド族の戦士・ビーム。心優しき純朴な男。傲慢かつ冷酷な英国領インド帝国総督・バクストン夫妻によって連れ去られた部族の娘・マッリを奪い返すため、アクタルという偽名を使って、デリーの都に潜入します。

もうひとりは、イギリス領インド帝国の警察官・ラーマ。自らもインド人でありながら、帝国の治安維持のため、総督の命を受けて、インド人の反乱分子を苛烈に追い詰めていく彼の姿は、まるで鬼人のようです。しかし、彼の心の奥にはある約束があって――という複雑な男です。

マッリを奪い返すため、総督を狙っている男がいる――という情報を受けて、総督夫妻は全警察官に指令を出します。その「謎の男」を生け捕りにした者を特別捜査官に昇進させる、と。その役目に立候補したのがラーマでした。しかし、その捜査の途中で、ラーマは事故に巻き込まれた少年を救うため、偶然そこに居合わせたアクタルと連携し、無事に少年を助け出すことに成功します。命懸けの救出劇を成し遂げた2人は一瞬で意気投合し、無二の親友となります。ですが、このとき、2人はまだ知りませんでした――自分たちが宿敵同士であることを。

 

前半、この2人が友情を深めていく中で、最も華やかなシーンが「ナートゥダンス」です。ネタバレにはなりますが、とても素敵なシーンなので是非観ていただきたいですね。


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このシーンは、アクタル(ビーム)が総督の姪・ジェニーと親しくなり、総督の家のパーティに呼ばれたものの、パーティに参加するイギリス人の「紳士」たちはそれが面白くなく、アクタルにわざと恥をかかせて、ろくにタンゴもスウィングも踊れやしないインド人風情が、と大衆の面前で馬鹿にします。そこへラーマが颯爽と現れ、俺たちには「ナートゥ」があるさ、と踊り出すシーンなのですね。彼らに苦々しい目を向ける「紳士」たちに対して、「淑女」たちはノリノリで2人をかばいます。この映画は終始「差別からの解放」を描き続けているのですが、彼らに味方するのが女性であるという点もまた、テーマ性を感じますね。常に貞淑で「紳士」たちに従順であることを強いられている「淑女」たちの、それはささやかな抵抗だったのでしょうか。

何にせよ、このダンス・シーンがこの映画における最も華やかで楽しいシーンであることは間違いありません。

っていうか、『バーフバリ』ファン、そして「インド映画」好きな皆さんに、最初に申しあげておきたいのが、この映画、3時間もありますけど、ダンス・シーンはこの「ナートゥ」と「エンディング」ぐらいしかありませんよー。

もうちょっとはっきり言っておくと、いわゆる男女の恋愛ロマンスのシーンが皆無に近いです。恋愛自体はありますけど、そこに焦点は合っていません。なので、『バーフバリ』の「マノハリ」のようなセクシー・ダンスや、空飛ぶ白鳥船のロマンチックなハネムーン・ダンスなどを期待されると、あれっ、無いじゃん、って思うかも。

さらに言えば、この映画では、女性があんまり目立ってないんですね。ジェニーやシータなどのヒロインはいますけど、登場シーン自体は短くて、彼女たちが積極的に何か行動をするというわけでもないです。『バーフバリ』ではシヴァガミやデーヴァセーナ、アヴァンティカという強い女たちが主役級に目立っていましたから、それに比べると今回はほとんど女性は目立っていません。

なので、今回はとにかくビームとラーマという2人の男にがっちりと焦点を合わせ、それぞれの心の奥底まで綿密に描き切ることに専念した、と言えるでしょう。とりわけラーマは、表面的に描いてしまうと、イギリス人の手先になってインド人を痛めつける悪の執行人、という印象になってしまいがちです。でも、ラーマにはちゃんとそうすべき理由、大きな目的があって、そして、彼自身の心は常に傷ついているのです。それをじっくり描き切るのに3時間もの時間が必要だった、と言えるのではないでしょうか。

神話的な趣があった『バーフバリ』に比べると、『RRR』は近世の物語であり、国家の独立闘争、人種差別への抵抗という、現代にも繋がる生々しいテーマを扱っているだけに、かなりハードな印象があります。血みどろの戦いの物語です。みんな仲良く楽しく暮らしました、チャンチャン、などという安直なオチで終わらない話です。

 

しかしながら、映像自体のスケール感は『バーフバリ』以上。息をつく暇などなく、次から次へとスペクタクルに展開する「まさか」の映像の連続に、3時間ずっと脳内はドーパミンどばどば、体温はブチ上がってなぜか汗だく、画面には「インターバル」って出てるけど、なぜか休憩は与えられず、日本の観客は3時間ずっとこのハイテンションの中に包まれたままなわけです。

まぁ、それでもやっぱりね、この映画は映画館で観るべき映画ですよ。映画館で観てこその映画ですよ。上映開始直後、画面が暗くなってすぐ音楽が流れ始めた時点で、ああ、これはもう、全人類は今すぐ映画館でこの音楽に包まれてほしい!と強烈に思いましたもんね。そう思っているうちに、画面にはでっかい「R」の文字がドーン。くわぁぁぁたまんねぇぇぇぇ~~~~。いちいちカッコ良すぎる~~~(≧∇≦)

あとね、キャラクター造形として、ラーマに炎の属性、ビームに水の属性を持たせるっていうのが、単純にカッコイイ。ポケモンじゃないけど、対立する2つの属性が相まみえるっていう構図が、ポスターなんかでもすごく映えるしね。

あとはもう、あれだ、わくわく動物ランドだ。炎のたいまつを持って動物を従えて登場するのって、『バーフバリ』でもあったじゃん、ラージャマウリ監督の好きなシチュエーションなのかな、でも本当に絵になるよねぇ。

エンディングにはラージャマウリ監督もいきなり登場するよ!お楽しみにwww

 

そんでもって、映画が終わって場内が明るくなったとき、隣の席に座っていた若い女性が「おなかすいた~!なんかめっちゃ疲れた~!」と言っていたのが、この映画の総評として最適かなと思いました。私も、早朝にパンを1枚食べて特急に飛び乗ってきて、上映中はトイレに行けないから3時間もの間、飲食を避けていたんだけど、なんせ映像を見ているだけで血沸き肉躍るじゃないですか、もう観終わった頃には皆さんへろへろなわけね。

でも、そんなへろへろの顔の皆さんが「めっちゃ面白かったね!最高!何か食べに行こう!」と元気いっぱいの足取りで劇場を後にされるのを見て、ああ、やっぱり観にきてよかった!と思ったのでした。

とにかく最ッ高だから、脳天ブチ上がるから、絶対に映画館に観にきてほしいです!ジャイホー!!!