つれづれぶらぶら

しまーちくんようやった!ああいう厳しい場面の火消し役ができるピッチャーは頼もしいわね。

諏訪神仏プロジェクト・佛法紹隆寺

今年、諏訪6市町村で「諏訪神仏プロジェクト」として、神仏習合の時代の諏訪信仰の姿を振り返る大規模なイベントが行われていることは、以前にお話ししたとおりです。

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そのメインイベントとなるのが「諏訪神仏一斉公開」。かつて諏訪大社の上社と下社それぞれにあった「神宮寺」が、明治時代の廃仏毀釈により破却され、そこに祀られていた仏像や仏具の数々は周辺の寺院に移されていたのですが、この令和の時代に、それらの諏訪大社ゆかりの仏像・仏具を各寺院が一斉に公開するというイベントなのです。

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その中でも、今回のイベントのポスターやリーフレットの表紙、公式ホームページのTOPに掲げられているのが「諏訪大明神本地普賢菩薩騎象像」。蓮華の上に座した普賢菩薩が象の上にいらっしゃる、とても美しい仏像です。前にもお話ししたとおり、諏訪大社・上社の本地仏(ほんじぶつ)は普賢菩薩とされており、この仏像は元々、上社の神宮寺の普賢堂にあったものです。

その仏像は、諏訪市四賀桑原にある佛法紹隆寺(ぶっぽうしょうりゅうじ)にあります。佛法紹隆寺は諏訪の神仏分離に際して大きな役割を負い、上社及び下社の神宮寺の貴重な仏像・仏具の多くを引き受けた寺院です。

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四賀桑原交差点、LCV本社とセブンイレブン諏訪四賀桑原店の間の道を、山のほうに向かって進んでいきます。道なりにずんずん上っていくと、だんだん道幅が狭くなってくるので、対向車が来たらちょっと怖いなぁとハラハラしつつ、車を走らせていくと、やがて道の右側に佛法紹隆寺の駐車場が現れます。既に多くの車が停まっていました。

着きました。山門から見える銀杏の木の大きさ、黄金色の美しさに、しばし目を奪われます。
山門に入って、本堂に一礼してから、右側にある「桜寮」で拝観受付をします。拝観料は大人500円、中学生以下は無料。もちろん檀家の方々は無料です。

拝観順路は、まず桜寮の奥の扉から出て、境内の右側の道を進み、宝物殿、そして普賢堂へと進みます。ここから内部の様子は撮影していないので、詳しくは先ほどの佛法紹隆寺公式ホームページをごらんください。

宝物殿には、長野県宝に指定されている、小さな普賢菩薩騎象像や運慶の作と伝えられている不動明王像など、貴重なものがずらりと並べられています。

注目の諏訪大明神本地普賢菩薩騎象像は、宝物殿の先にある普賢堂の中央に祀られていました。予想していたのよりも大きくて、黄金色の天蓋の下、静かに合掌しておられます。その合わせた掌には紐がかけられ、その紐の先は礼拝者の前まで長く伸びて、杖に結び付けられています。礼拝者がその杖に触れることで、紐を通じて普賢菩薩と繋がるということのようです。

その杖の横に、何やらボタンがありました。押してみると、スピーカーから重々しい男性の声が流れ……「よく来た、ワシは武田信玄じゃ」とのこと。おお、なんと、信玄公がこの普賢堂の解説をしてくれるというのですよ。なんと豪勢なwww

信玄公の解説によると、この諏訪大明神本地普賢菩薩騎象像は武田信玄を筆頭とする戦国武将に武運を授ける軍神「諏訪大明神」として信仰され、その力を恐れた織田信長によって、上の普賢菩薩像は破壊されたのだそうです。その後、普賢菩薩像を作り直し、破壊を免れた白象像の上に乗せ直したとのことで、白象像のほうが制作年代が古いのだそう。しかしながら、本当に美しい仏像です。

普賢堂を出て、再び桜寮に戻り、今度は回廊を通って、庫裏、本堂へと向かいます。庫裏の椅子に腰かけると、名勝に指定された美しい庭園が一望でき、穏やかな気持ちになります。

本堂にもたくさんの仏像が並んでいます。この佛法紹隆寺は諏訪高島藩の祈願寺でもあったことから、本堂内には殿様専用のお座敷もあります。参拝者も殿様のお座布団に座って記念撮影していいですよ、とのことで、座布団のそばには「ちょんまげ付きカチューシャ」まで置いてありましたwww

たくさんの仏像・仏具を鑑賞し、最後に境内に出ます。夫婦大銀杏のなんと色鮮やかなこと!

文化の日」の一日、秋晴れの美しい空の下、かつての諏訪信仰の姿にほんの少し触れることができて、とても有意義な時間を過ごさせていただきました。

この一斉公開は11月27日まで開催されています(公開日はそれぞれの寺院によって異なります)。神と仏が等しく信仰されていた時代の諏訪に、皆さんもタイムスリップしにいらしてみてはいかがでしょうか。

あ、でも大型車でお越しの方は、道幅にはちょっと気をつけてくださいね……(;^ω^)