つれづれぶらぶら

図書館で『フラガール』借りて観てました。やっぱ何度観ても感動するね。いやー、いい映画だわ。

『ゴジラ-1.0』

先日、松本市美術館で『映画監督 山崎貴の世界』を息子と一緒に鑑賞して、VFXすごかったね、『ゴジラ-1.0』はなかなか面白そうだね、観に行きたいね、なんて話してたんですね。sister-akiho.hatenablog.com

というわけで、今日、息子を連れて、岡谷スカラ座に観に行ってきました。もうご覧になった方も多いとは思いますが、まずは予告編からご覧くださいまし。


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物語の舞台は、第二次世界大戦末期の昭和20年(1945年)から、敗戦の傷がまだ色濃く残る昭和22年(1947年)にかけて。なんと、初代ゴジラ(1954年)よりも前の時代を描くというのがこの作品の最大の特徴であります。

主人公は、特攻隊の生き残りの敷島少尉。特攻に向かう途中、乗っていた零戦が不具合を起こしたとして、大戸島の守備隊基地に緊急着陸したが、そこで島の住民が「呉爾羅」と呼んでいる謎の巨大生物の襲撃に遭う。

敗戦後、東京に戻ってきた敷島は、東京が一面の焦土と化し、自分の帰りを待っているはずの両親も亡くなったことを知る。そんな中、敷島は、赤ん坊(明子)を抱いた一人の女性・典子と出会い、成り行きで共に生活することになる。

やがて、敷島は生活費を稼ぐため、危険な機雷除去の仕事を行う掃海艇「新生丸」で働くことになり、秋津、野田、水島という仲間を得た。生活は少しずつ豊かになり、典子・明子とも家族のように暮らしていく。しかし、敷島の心の中では依然として戦争は終わっておらず、毎夜、自分が見殺しにしてきた人々のこと、そしてあの恐るべき「呉爾羅」の記憶にうなされ続けるのだった。

その頃、ビキニ環礁では米軍による核実験が行われていた。そしてそれ以降、太平洋で謎の超大型怪獣の目撃情報が相次ぐこととなる。そして、その謎の怪獣は、ようやく復興を始めたばかりの東京に向かって、移動を開始したのだった────!

 

あらすじを見ただけでも、なかなかに興味をそそられる内容ではあります。敗戦で何もかも失った「零」の状態の日本を、さらにゴジラが蹂躙していく。これはもはやゼロではなくマイナスだ、という意味を込めたタイトルが秀逸ですね。

ただ、ですね。私個人としては、少しだけ躊躇するところもあったんですよ。同じ山崎貴監督の『STAND BY ME ドラえもん』を過去に劇場で観た経験があって、お好きな方には申し訳ないんだけれども、どうにも私には合わなかった。映像はね、すごく良かったんですよ。ただ、脚本がね、なんかこう、「泣けるでしょ?」ってドヤ顔で差し出された気がして、私の苦手なタイプだったんです。だもんで、公開直後はちょっとだけ様子を窺ってたんですけど、シネフィルの方々にもおおむね評判が良いのを確認して、ほんじゃ行こうかねと。私も用心深いなー(;^ω^)

 

で、観た感想なんですけど、いや、なかなかに面白かったです。

何と言っても、やっぱり映像が半端なく凄いですよね。これはCG合成だと分かっていても、ものすごくリアルに見えて、爆風や砂煙、水しぶきなどの臨場感がものすっごい。松本市美術館で事前に映像作りの裏側を見せてもらっていたにもかかわらず、実際に映画を観ると本物としか思えない。とりわけ、あの波打つ海の表現にはビックリですよ。あれ全部CGなんですってさ。はえ~すっごい……。

そして、スクリーンいっぱいに襲い掛かってくるゴジラの大迫力ったら、ホント恐怖の化身ですよ。あの背中のトゲみたいなのが青く光ってガシャンガシャンって動き始めると、うわっ、来るぞ来るぞ!ってドキドキしちゃう。ちょっと傷を負わせたぐらいじゃすぐに皮膚がむにゅむにゅって増殖してあっという間に再生しちゃうってんだから、こんなんどないして倒せっちゅーねん。しかもこっちには満足な武器も軍隊もないっちゅーねん。もうね、前半パートは、ひたすら「やめてぇぇ」って言いたくなる感じ。もうやめて!日本のライフはとっくにマイナスよ!

なんせね、大戸島の「呉爾羅」(特撮ヲタの息子によると、あれはゴジラザウルスという「生き物」なのだそうです)の時点で既に恐ろしい。大きさも12メートル程度で口から熱線も吐かないんだけど、逃げまどう守備隊を次々と頭っからマミってはポイ、マミってはポイするあたりがタチ悪い。そんなただでさえ恐ろしいジュラシックパークの生き残りみたいなやつが、放射能を全身に浴びてさらに巨大化、体内に原子炉もってて熱線も吐くぞ!みたいな悪趣味な進化を遂げたわけですから、もうホントにどないせえと。ってか、これ70年前に作られた初代「ゴジラ」の設定に忠実なんですね。よくこんなの思いついたよね。すごいな。

 

個人的に、これは特に良かったと思ったのは、劇伴音楽です。

ゴジラと言ったら、そりゃもう伊福部昭先生の「ゴジラのテーマ」なわけですよ。今回の映画でも、劇中でゴジラが現れるシーンでは効果的に鳴り響いていました。改めて聴くと、本当にこの曲の完成度はものすごく高いなぁと感服してしまいます。少ない音数で展開もミニマル、なのにどこまでも重厚で、何か恐ろしく禍々しい雰囲気を否応にも高めてくれます。そもそもゴジラは戦争の象徴として作られた存在ですが、このゴジラのテーマも、まるで軍隊が足並みを揃えて進んでいくようなザッザッザッザッというリズム、戦艦や戦車のような重々しい音の迫力があって、まさしくゴジラそのものという感じです。

そんなゴジラのテーマを中心に据えたサウンドトラック作りというミッションは、相当に難易度が高いものと思われます。そんなところに今どきの歌手の甘ったるい歌声やら、泣け泣けと言わんばかりのお涙頂戴メロディなんぞを乗せられたら、そりゃもう全部が台無しになってしまっていたでありましょうよ。でも、今回、ゴジラのテーマを最大限にリスペクトしつつ、クールでドライな感じで、劇伴音楽が自己主張しすぎていないのが効果的だったと思います。エンドロールの曲も良かったですね。

 

で、懸念していた「脚本」については。

うーん…………。やっぱりね、ちょいちょい気になるところは、正直ありましたよ。っていうか、あまりにも台詞が直截的すぎる。序盤の安藤サクラさんのシーンなんか「ああ、もったいない。サクラさんなら、こんな露骨な台詞を言わなくても、演技力で充分にこれ以上の感情を表現できるだろうに」って思ったぐらいです。いや、ホントにね、せっかく演技力に定評のある俳優さんをこれだけキャスティングしたんだから、もうちょっと俳優さんの力を信頼してほしかったな。っていうか、おそらく、台詞で全部説明しちゃいがちなのが山崎監督の脚本のクセなんでしょうね。そこは賛否両論あるところだと思うんですけどね。「はっきり台詞にして説明してほしい」っていう観客もいるでしょうし、私のように「皆まで言うなよダセーな」って感じる人もいるでしょう。いや、感じ方は人それぞれあっていいんだけど。いいんだけどさ。あくまでも個人の感想です。

 

あと、山田裕貴くんが唯一の元気キャラで、なんかホッとしますね。山田裕貴くんは個人的に贔屓にしている俳優さんで、役ごとに表情から何から全部変えてくるカメレオン俳優ぶりが素晴らしいなと思うところなんですが、今回は、戦争にちょっと憧れる無邪気キャラで、ちょいちょい失言もするけど、最終的には美味しいところを持っていく愛されキャラです。彼の明るさが映画の中の光になっていましたね。

それと、吉岡秀隆さんは子役の頃から見ているけれども、最近はめっきり「ぼさぼさ白髪の先生キャラ」に落ち着いちゃった感がありますね(;^ω^)

 

さてさて、今回、岡谷市の中心部にある映画館・岡谷スカラ座で観たわけなんですけれども、なんと、この映画館の近くには、今回の映画のロケ地があるのです!

それが「旧岡谷市役所庁舎」。国登録有形文化財に指定されている歴史的建造物です。

せっかくなので建物の前を通りかかってみましたが、表札が「第二復員局」になってる~( *´艸`)

普段は一般公開されていないのですが、この週末は、事前に抽選で選ばれた人々限定で特別に内部が公開されていたようです。映画の中でも重要なシーンに使われていた建物なので、中に入れなくとも、外観からその雰囲気を楽しんでほしいですね。

そんなわけで、ロケ地となった岡谷市は、現在、街を挙げての「ゴジラブーム」が真っ盛り。ショッピングモール「レイクウォークおかや」では歴代のゴジラの映画ポスターが展示されていたり、スタンプラリーや謎解きゲームなどの企画も行われています。

もちろん、期間限定のコラボ商品もありますよー。唐揚げのテイクアウト店「マンモウ万博」さんの大鶏排(ダージーパイ)、その名も「ゴジラチョップ」は、まるでゴジラから剥がれ落ちた皮膚みたいに真っ黒け!LCVの地域情報バラエティ番組で取り上げられたのを見ていて、これは是非とも食べてみなくては!と買いに走ったのでした。

1枚がとんでもなくでっかいので、晩御飯のおかずに、油淋鶏タレをかけて食べました。パリパリの黒い皮が美味しかったです。ああ、これでうちの家族も全員ゴジラ細胞に感染してしまったわー(;^ω^)

 

ともあれ、純粋に面白かったし、やっぱあの映像の素晴らしさは是非とも大きなスクリーンで満喫してもらいたいと思うので、皆さんも映画館に足を運んでみてくださいねー!ヾ(*´∀`*)ノ