つれづれぶらぶら

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祝日ビア旅行【カマドブリュワリー(岐阜県瑞浪市)】

23日は「勤労感謝の日」で祝日でしたね。

せっかくのお休みなので、私は岐阜県まで日帰り旅行してきました。その目的はもちろん、クラフトビール醸造所巡りです。というのも、私がどうしても一度訪ねてみたいと切望していたブルワリーが岐阜県にあるのですよ。

それが、瑞浪市釜戸町にある「カマドブリュワリー」です。

camado.jp

そもそも、なんでカマドブリュワリーさんに行きたいと思ったかというと、そのきっかけは今年の2月まで遡ります。私が、山梨県甲府市にある「OUTSIDER BREWING」さんでビールの仕込みを見学したことを覚えていらっしゃいますでしょうか。

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初めてクラフトビール醸造の様子を拝見させていただいて、何も知らないド素人の私のビール作りの基礎知識に関する質問に対して、醸造長の小林桃子さんはひとつひとつ丁寧に答えてくださったのでした。私にとってはとても好奇心が満たされた素敵な経験となり、あの経験があったからこそ今もなおクラフトビールに対する好奇心が長続きしていると言っても過言ではありません。

そして、その小林桃子さんの師匠にして、初代OUTSIDER BREWING醸造長が丹羽智さん。日本クラフトビール界のレジェンドブルワーで、全国の醸造家志望の方々に対して積極的に研修の場を設けて惜しみなくその技術を伝承した偉大なブルワーさんなのです。丹羽さんはOUTSIDER BREWINGを小林さんに引き継いだ後、静岡市のWest Coast Brewingの立ち上げに招かれて初代醸造長に就任した後、故郷の岐阜県に戻ってカマドブリュワリーの立ち上げに参加し、現在に至る、という経歴をお持ちです。

そんな日本クラフトビール界の「師匠」の仕事ぶりを拝見してみたい、と私が思うのは自然な流れじゃありませんか。そう思っていると、カマドブリュワリーでは毎週水・土・日・祝に「見学ツアー」が開催されているということで、この機会を逃す手はない!と思い、申し込んでみました(なお、ツアーは参加者が2名以上ある場合にのみ催行されます)

ちなみに、今年の12月13日まで、瑞浪市観光協会の「めっちゃお得に!ご当地体験13」というクーポンを利用すれば、格安でツアーに参加することもできますよ(詳しくは下のリンク先をご覧ください)!私は1500円引きクーポンを利用したので、通常のツアー参加料金3500円のところ2000円で参加できました!めっちゃラッキー!ヾ(*´∀`*)ノ

www.jalan.net

 

というわけで、待ちに待った23日です。

長野県茅野市から岐阜県瑞浪市にJRで行くとすると「中央本線」を利用することになるわけですが、実のところ、この「中央本線」という名称がクセモノで、東京から塩尻までがJR東日本の「中央東線」、塩尻から名古屋までがJR東海の「中央西線」。同じ名称だけど会社が違い、いったん塩尻で乗り換えなきゃいけないし、中央西線内ではSuicaも利用できないんですね(中央西線で使えるICカードは「TOICA」)。たまーに、東京方面からの観光客が、中央西線内の駅の改札で「えっ、Suica使えないの!」と焦っている様子を見かけます。ご注意を(・_・;)

ま、そんな話はさておき、塩尻からのんびりのんびり普通列車に揺られて2時間、終点は「中津川駅」です。目的地の「釜戸駅」はさらにこの先なんですが、時間に余裕があるので、せっかくだからちょこっと中津川の町を歩いてみましょ。

津川駅のプラットホームには、実は、過去に一度だけ降りたことがあります。それは今から16年前、広島から茅野に嫁いできた夏の日のことでした。名古屋まで新幹線で来たものの、その日は台風の進路に当たるおそれがあるとのことで、特急しなのが運休になってしまったのでした。名古屋駅で待機していても埒があかず、引っ越し業者のトラックを先に行かせていたため、少しでも前に進もうと思って、名古屋から鈍行列車で中津川まで来て、このプラットホームで塩尻行きの電車の運行再開をひたすら待っていた、という記憶があるのです。あのときは焦ったなぁ。いつ再開するかも分からなかったため、駅の外に出るわけにもいかず、観光する余裕もなかったのでした。

そんなわけで、初めて中津川駅の改札を出ますよ。

すると、駅のすぐ隣にある「にぎわい特産館」の外壁にかけられた垂れ幕が、私の目に飛び込んできました。

おお!今年のカープのドラフト5位指名の赤塚健利投手は、中京学院大学の子であったか。そうかそうかー!菊池選手や池ノ内投手の後輩に当たるんじゃなー!ウェルカム赤塚くん!応援しとるけん頑張ってね!

あはははは。いきなりカープの文字が目に飛び込んできたけん興奮してしもうた。

さてさて、この中津川の名物と言えば、なんといっても「栗きんとん」。駅前には「栗きんとん発祥の地」なる石碑も立っているので、間違いないです。

でね、栗きんとんを扱っている和菓子屋さんもたくさんあるんですが、先日の『マツコの知らない世界』で取り上げられていた「すや」の栗きんとんがめっちゃ美味しそうでね、いっぺん食べてみたかったんです。駅前から歩いて5分ほど、すや本店に行ってみました。

外国人を含む観光客が多く訪れていました。店内飲食はできないとのことだったので、栗きんとんを買って、駅のベンチでいただきました。

丁寧に裏ごしした栗に砂糖を加えてぎゅっと固めただけの、極めてシンプルかつ上品なお菓子。口の中でほろっとほどける栗の味。砂糖は、栗本来の風味を邪魔しない程度に加えられているので、栗の旨みがそのまんま口の中に広がります。美味しい~( *´艸`)

さてと、そろそろ本日の目的地、釜戸駅に移動しましょうかね。中津川駅からは普通電車で4駅先、20分ほどで到着しました。無人駅です。

釜戸は「白虎と河童と竜の里」だそうです。へー。

駅前から右方向にてくてく歩いて行くと、3分ほどで道路下にカマドブリュワリーのロゴが見えました。飲んでいる人たちがいるということは、あそこが醸造所併設ブルーパブの「CAMADO BEER BAR HAKOFUNE」だな、うふふ。

道路の下に降りていく細い坂道があります。誰が命名したのか、GoogleMapでは「ヒューコロガルデン坂」という名前がつけられています。ビールファンにはお分かりでしょうが、ベルギーの小麦ビールヒューガルデン(Hoegaarden)のパロディですね。けっこう傾斜がキツいので、うっかり酔っぱらっちゃうとヒューッと転がっちゃうかもしれません。気をつけなくちゃね。

はい、到着しました。

ツアーに参加するのは、私を含めて女性ばかり4人です。受付を終えたら、さっそく醸造所の中に入ります。醸造所の中を案内してくれるのは、もちろん日本クラフトビール界の「師匠」、丹羽智さんです。お許しをいただいてお写真をパチリ。笑顔が素敵な、物腰の穏やかな方でした。

まずはビール製造の流れを説明してくださいました。

最初に、粉砕した麦芽とお湯を仕込槽に入れて、60度程度の温度でじっくりと糖を引き出します。カマドブリュワリーでは、1回の仕込みで麦芽は120キログラム前後、水は500リットル使用します。

続いて、隣の煮沸釜に移して、ホップを投入しながらさらにことこと煮ていきます。ホップは目的によって投入するタイミングが違い、煮沸の序盤に入れるのは苦みを出す目的のビタリングホップ。終盤に入れるのは香りを出すためのアロマホップとなります。

出来た麦汁を、発酵タンクに移して酵母を投入します。酵母が糖を食べて、アルコールと二酸化炭素ガスを出すのです。それぞれの発酵タンクには商品名とスタイル名を書いた名札がぶら下がっています。発酵は3日目あたりが最も活発になるということで、上の写真の丹羽さんの足元にあるバケツの中では、二酸化炭素のガスをボコボコと盛んに噴出しているホースが突っ込まれています。「鼻を近づけたら酵母エステル香がするよ」と言われてクンクン嗅いでみましたが、「でも、今朝加えた八角のスパイス香が強烈だから分かりにくいかもなぁ」と苦笑していらっしゃいました(笑)

発酵が完了したら、隣の部屋のタンクに移して、1ヶ月程度かけて熟成させます。その後、瓶や樽に充填したら、完成です。

「何か質問があったらお答えしますよ」と言われたので、せっかくの機会だから、私もずっと気になっていたことを聞いてみました。

私は、OUTSIDER BREWINGさんの「Drunk Monk Triple」が大好きなんですが……と切り出しておいてから、あのトリペルに使用した「桃から取れた酵母」は丹羽さんが見つけられたとお聞きしたのですが、どのようにして発見されたのですか?とお尋ねしました。すると、「酵母はどこにでも存在するんですよ。桃に限らず、ブドウでも林檎でも、実にも皮にも酵母はついているので、水に浸けておけば酵母は出てきます」と言われた上で、「でも、そうやって見つけた酵母がビール作りに向いているかどうかは別問題なんですね。それはもう、実際に発酵させてみないと分からないんです」と苦笑しながら仰いました。ということは、あの甘美なトリペルの誕生の裏側には、たくさんの失敗があったんだろうなぁ……。

地元の瑞浪市からお越しの方の、どうしてこの釜戸でブルワリーをやろうと思われたのですか?という質問には、丹羽さんが元々岐阜県中津川市のご出身であることを挙げられた上で、それとは別の現実的な問題として「ある程度の規模でブルワリーをやろうと思うと、それなりの土地の広さが必要になります。都会だとどうしても広さの点がネックになりますね。それに、今どきはクール宅配便が普及しているから、田舎で醸造することに問題はないんですよ」と仰いました。

その他にもいくつかの質問にお答えになって、醸造所見学は終了。丹羽さん、お忙しい中、丁寧に教えてくださって本当にありがとうございました!


その後は、隣のBEER BAR HAKOFUNEに場所を移して、いよいよお楽しみのテイスティングタイムです。ヒゲのマスター「おかちゃん」さんが、愉快なトークを交えながらビールの解説をしてくれます。

本日のテイスティングは4種類。

一番左にあるのが「竜吟の恵み(りゅうぎんのめぐみ)」。釜戸町産の新米を使用したライスエールです。ビールは通常「単行複発酵」(原料に含まれるデンプンを糖化し、その後で糖を発酵させる手法)で作られますが、このビールの画期的なところは、日本酒と同じ「並行複発酵」(糖化と発酵の工程を1つのタンクの中で同時に行う手法)で作っていることなのだそうです。飲み口は極めてライトで、すっきりと澄んだドライな味わいです。ほのかな甘さもあります。ですが、4種類の中でアルコール度数は最も高い6.5%です。

「お米を使うビールって珍しいんですか?」という質問に、おかちゃんさんは「いやいや」と首を振って、「米を副材料に使用するビールは、実は全然珍しくなくて、日本の大手のビール、例えばキリンラガーなどにも米が使われているんですよ。スターチ(でんぷん)の代わりとして使っているんです。米を使うとね、やっぱり日本食に合うビールに仕上がるんですね。アメリカなどではトウモロコシのコーンスターチが使われることが多いです。こういう副材料にも国ごとの特色が出るので、何が使われているのかを気にしてみると面白いかもしれませんよ」と教えてくださいました。

左から二番目の、濃い目の色合いのビールが「Campagne Ale(カンパーニュ・エール)」。「パン屋塩見」さんのカンパーニュを原材料に使用したペールエールです。言われてみれば、パンのような香ばしさがほのかに感じられますが、それ以上にホップの香りと鮮やかな苦みが、一気に口の中で弾けるようなビールです。

その隣、右から二番目にあるのが「組曲 窯焚物語 着火の儀(ちゃっかのぎ)」。グレープフルーツのようなフルーティさを感じるウエストコーストIPAです。香りも良くて華やかで、苦みも弱めでたいへん飲みやすいです。

最後、一番右にあるのが、カマドブリュワリーの定番ビールのひとつ「Fond de White (ほんでホワイト)」。グラスに鼻を近づけるとバナナのようなエステル香がふわっと漂う、王道のベルジャンホワイトエール。甘さがあってマイルドで、ビールが苦手な人にも飲みやすそうな、とっても美味しいビールです。

どれも美味しかったー!全部違うアプローチのビールで、それぞれの違いを楽しみながら、ちびちびと飲み比べてみました。でも本当にどれも質が高くてすごく美味しいです!

 

飲み比べを楽しみながら、がやがや楽しく雑談タイム。やっぱりこういうツアーに参加するぐらいだから、4人ともクラフトビールが大好きで、いきなりマニアックなトーク全開でめっちゃ盛り上がりました。うーっ、ビールがはかどるぜぃっ!

先ほどの、地元から単独で参加された女性は、「私は下戸なんであまり飲めないんですが、クラフトビールの漫画を読んでハマってしまいまして……」と仰っていたので、「その漫画ってもしかして『琥珀の夢で酔いましょう』ですかっ?!」と前のめりで尋ねてみると、まさしくそのとおり。わーっ、「こは酔い」ファンに出会うの初めてだーっ。嬉しくなって思わず握手しちゃいました!(笑)

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その方から、「地元・瑞浪市の特産豚『ボーノポーク』が美味しいので食べてみて!」と力強くプッシュされ、全員でボーノポーク入りのカレーを注文することに。キーマカレーとポークビンダルーがあったので、私が注文したのはポークビンダルー。美味かった!


東京と名古屋からいらした2人組の女性は、どうやら丹羽醸造長のお知り合いみたい。東京からいらした方がビール通で、お友達の名古屋の方を誘って、あちこちビールを飲みに旅行するのが楽しみなんだとか。中央本線沿いや名古屋近郊のブルワリーの情報をいっぱい教えてもらっちゃいました。東京の方は、近々奥多摩のバテレに行く予定だそうで、「私もこないだバテレ行ってきたとこなんですよ!」と言うと、「バテレ美味いよね~!」ときゃあきゃあ意気投合しちゃいました。しっかし、目の前にブルワリーの方がいるというのに、他のビールメーカーの話で盛り上がっちゃっていいのかしらん。でも、おかちゃんさんもやっぱりビール好きなもんだから、「じゃあ〇〇は知ってる?いっぺん飲んでみてごらんよ、美味いよ~」なんて感じで、オススメをあれこれ紹介してくださいました。うふふ。

私はと言えば、いつものように「サワーが好きなんですがッ!カマドさんはサワーはリリースされないのですかッ?」と猛烈にサワーをリクエスト。「1年じゅうサワーが飲みたいのに、冬はあんまりサワーが出回らなくて寂しいんですゥゥ……」と、いつものように泣きついておりました。

おかちゃんさんによると、うちでも夏にはサワーを1本仕込んでいますよ、とのことですが、やっぱり「サワーは温度管理が難しくて、ブルワーが三日三晩つきっきりで管理しなきゃいけないので、うちのような小規模醸造所ではなかなかできないんですよねぇ……」とのこと。それと、やっぱりというべきか、もう一つの問題は、サワーがまだ一般的には認識されていないことがネック。「ちゃんとビールの特徴をお客さんに説明できる都会のビアバーや酒屋なら問題はないけれど、田舎の農産物直売所のようなところにポンと置いておくと、知らずに買った人から酸っぱいと苦情が出たりするんですよ」と。ううー、やっぱりね……。とはいえ、おかちゃんさんは「でも、僕もサワーは大好きなんですよ。だから、僕らがもっと布教して、市場を広げていかなきゃね」と勇気づけられるお言葉を仰いました。

ついでに、私が「酸っぱいサワーにペアリングするなら、木曽の『すんき漬け』がオススメ!」と長野県の特産品をここぞとばかりにアピールしたところ、「それどんなもの?」と他の3人の方々も前のめりに。「カブの葉を塩で漬け込まずに乳酸発酵させただけの珍しい漬物で、これがめちゃくちゃ酸っぱくて最初はビックリするんだけど、食べ慣れると美味しいの~!」と力説しときました。

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そんな感じで、食べたり飲んだりお喋りしたりして、気がついたら帰りの電車の時刻が迫ってきてしまいました。一足お先に帰ることにします。このツアーでは、参加者には「おみやげ」として瓶ビール1本を帰りにいただけます。それをいただいて、でもせっかくここまで来たんだから他のビールも2本ほど購入して、参加者の皆さんとスタッフさんにお礼を言って、ブルワリーを後にして駅に向かいました。

 

2時間ほどの滞在でしたが、とても楽しい時間を過ごさせていただきました。ビールはもちろん、カレーも美味しかったし、名古屋方面に行くことがあったら、また釜戸駅に途中下車してみたいな、なんて思いました。醸造所のタンク内には面白そうな新作ビールがいくつかあったし、バーレイワインもリリース予定だそうだし…(じゅるり)。

今回は本当にお世話になりました!またきっと伺いますね!カマドブリュワリーさん、どうもありがとうございましたー!!!