つれづれぶらぶら

ありゃりゃ九里くんバファローズかいね。てっきりお父さんの後を追ってアメリカ行くもんだと思うとったが。うーん。ローテ厳しくなるのう。

『カラオケ行こ!』

TOHOシネマズ甲府で、映画『カラオケ行こ!』を観てきました。


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合唱部部長の岡聡実(おかさとみ)はヤクザの成田狂児(なりたきょうじ)に突然カラオケに誘われ、歌のレッスンを頼まれる。組のカラオケ大会で最下位になった者に待ち受ける“恐怖”を回避するため、何が何でも上達しなければならないというのだ。狂児の勝負曲はX JAPAN「紅」。聡実は、狂児に嫌々ながらも歌唱指導を行うのだが、いつしかふたりの関係には変化が・・・。聡実の運命や如何に?そして狂児は最下位を免れることができるのか?(映画公式サイトより転載)

 

原作は「和山やま」さんのコミック。


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和山さんの漫画は『女の園の星』がめっちゃ好きで(エターナルカオルあたりで息が苦しくて死ぬかと思ったぐらい、息子と一緒になって笑い転げた)、この『カラオケ行こ!』の原作も読みたいなと思っていたところです。今度『ファミレス行こ!』と一緒に買ってこよーっと。

 

公開されたばかりの作品なので、内容にはあまり触れないでおこうと思うんですが、総評としてはめっちゃ良かったです。

原作が「ヤクザと中学生がカラオケ特訓」という奇想天外な内容なので、笑える映画だということは分かっていたんですが、ちょいちょいエモい——青春のほろ苦さをしみじみと味わうようなシーンがあって、じーんとしました。とりわけ、聡実くんが「紅」を歌うシーンは思わず目頭がうるっと。いやー、魂の熱唱だったねぇ。

もちろん、笑えるシーンはたくさんあって、狂児の「紅だぁーーーーっ」とか、傘の柄とか、ヤクザへのダメ出しとか、もう劇場内も笑い声がどっかんどっかん上がってたんだけど、特に我慢できなかったのが「愛とは、分け与えること」だと知った直後に聡実くんが両親のある行動から目が離せなくなってしまったシーン。「俺の心の中で光ってるで……ピカピカや……」っていうエモいフレーズは、このシーンのためのフリやったんかッとツッコミたくなるぐらいにピカピカに光ってましたな、アレが(笑)

 

主演は、狂児役の綾野剛さんと、聡実役の齋藤潤くん。

とはいえ、パンフレット内で山下監督も語っているように、この映画の実質的な主役は聡実であって、これは思春期の男子中学生の成長を描く物語なんですね。なので、狂児は表には感情をほとんど出さず、聡実からのフィルターを通した「幻のような男」として描かれています。

それにしても、綾野剛さんはこういった役どころを演るとホンマにハマりますね。人懐っこく甘えたような笑みを浮かべたかと思うと、ちらっと狂気じみた暴力的な目つきもする。映画を観ながらふと思い出したのは、竹中直人さんの若い頃の持ちネタの「笑いながら怒る男」なんですが、綾野剛さんがあのネタやったら面白いだろうなぁ(笑)

しかしながら、やっぱりこの映画の肝は齋藤潤くんの瑞々しい演技ですよ。すっごくいいですね、この子。原作漫画ではモノローグがいっぱい書かれているから、聡実くんが何を考えているのかが難なく分かるんだけど、この映画では一切モノローグを使っていないんですね。齋藤潤くんが表情やしぐさで感情を表現しないといけないわけなんですよ。それがね、ホントにものすごーく上手かったです。

狂児に最初にカラオケに連れてこられた時の、怯えて身体をすくめている感じからの、なんで僕がこんな目に遭わんといけんのやといううんざりした感じ、狂児の歌を聴いてビックリしつつも、次第に開き直ってチャーハンをふてぶてしく食べているところとか、モノローグがなくてもちゃんと心の動きが伝わってくるんですよね。そしてトドメの「終始裏声が気持ち悪い」(笑)

学校生活や家庭でのパートは原作にない部分がかなり追加されているらしく、あの「映画を見る部」は映画オリジナルだそうです。聡実くんが唯一本音を話せる場所って感じで、ああいうフラットな友人関係っていいですよね。上映されている映画もまた渋いものばっかりで、死んだ天本先生の趣味なんだろうなぁって思ったりね。

 

観終わってから、映画パンフレットを見てようやく気づいたんですが、この映画を撮った山下監督って、『1秒先の彼』の監督さんだったんですね。そういえばあの映画もTOHOシネマズ甲府で観たんだったっけな。

sister-akiho.hatenablog.com

あの映画も、さんざん笑える映画だけどエモい、という印象だったので、この監督さんの持ち味なのかもしれませんね。今後注目してみたい監督さんですね。

 

そんでもって、エンドロールの途中で驚いたのが、ロケ地に「甲府市」とあったこと。お話の舞台が大阪なので、てっきり関西方面で撮影したのかと思いきや、撮影自体は横浜や千葉などの関東で行われたとのこと。そしてこの甲府ではどのシーンを撮影したのかというと、ヤクザの事務所やスナックなどがあるアンダーグラウンドな地域「ミナミ銀座」のシーン。その名もずばりの「南銀座」と呼ばれる一帯が甲府市街地にあると知り、すぐにグーグルマップで検索してみたところ、おやおや、ちょうど今から行こうとしていた「Hops&Herbs」のすぐ近くじゃないの。「Hops&Herbs」は、このブログでも何度かご紹介したとおり、私の大好きなアウトサイダーブルーイングさんのブルーパブです。ちょうどいいやということで、甲府市街地に戻ってから、ロケ地となった南銀座に立ち寄ってきました。

おー、このゲートなんかは、映画で見たそのまんまですね。通りの入口の右手、映画では壊れかけた「ミナミ銀座」という看板がはめ込まれていたところもあります。スナックやソープランドなどが並ぶあたりで、さすがに中学生が1人でうろうろする場所ではないかな。甲府の市街地はこういった細い路地がたくさんあるみたいですね。ここに綾野剛さんたちが来てたんかーっ。撮影してるの見てみたかったなー。

ロケ地の聖地巡礼した後は、徒歩1分ほどの近くにある「Hops&Herbs」で美味しいビールを堪能しました。そのビールについてはまた今後の記事でご紹介しますね。

 

ともあれ、なかなか良い映画でした。エンディングで流れる、Little Glee Monsterと府中第四中学校合唱部の合唱による「紅」も感動的でした。是非でっかいスクリーンでご堪能ください。


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