つれづれぶらぶら

旅行記まとめ中。情報量が多いけん思い出すんが大変じゃわ。

『リバー、流れないでよ』

最近、なにかと「時間系SF」の映画を観ているような気がしますが、流行りなんですかね?

ざっと思い返しただけでも、

『四畳半タイムマシンブルース』や、

sister-akiho.hatenablog.com

『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』や、

sister-akiho.hatenablog.com

『1秒先の彼』などが思い出されます。sister-akiho.hatenablog.comどれも楽しい映画だったなぁ。

で、その中の『四畳半タイムマシンブルース』で脚本を手がけたのが上田誠さん。京都を拠点に活動する劇団「ヨーロッパ企画」の主宰者である劇作家です。

で、そのヨーロッパ企画がタイムループものの映画を作ったとのことで、あまり大きな話題にはなっていないものの、観た人からは高い評価を受けているらしいと聞き、かなり気になっていたのです。その映画のタイトルは『リバー、流れないでよ』。


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www.europe-kikaku.com

舞台は、京都・貴船の老舗料理旅館「ふじや」。
静かな冬の貴船。ふじやで働く仲居のミコトは、別館裏の貴船川のほとりに佇んでいたところを女将に呼ばれ仕事へと戻る。
だが2分後、なぜか再び先ほどと同じく貴船川を前にしている。
「・・・・?」

ミコトだけではない、番頭や仲居、料理人、宿泊客たちはみな異変を感じ始めた。
ずっと熱くならない熱燗。なくならない〆の雑炊。永遠に出られない風呂場。自分たちが「ループ」しているのだ。しかもちょうど2分間!

2分経つと時間が巻き戻り、全員元にいた場所に戻ってしまう。
そして、それぞれの“記憶“だけは引き継がれ、連続している。
そのループから抜け出したい人、とどまりたい人、それぞれの感情は乱れ始め、それに合わせるように雪が降ったりやんだり、貴船世界線が少しずつバグを起こす。
力を合わせ原因究明に臨む皆を見つつ、ミコトは一人複雑な思いを抱えていた――。

(公式サイトより転載)

いやー、あらすじを読んだだけでもワクワクしちゃうじゃないですか!

同じ時間を繰り返す「タイムループ」からの脱出劇という筋立ては『MONDAYS』と同じ。でも『MONDAYS』が1週間だったのに対し、こちらはなんとたったの2分間!カップラーメンさえも作れない忙しさ!

これはもう観るっきゃないっしょ、と思ったのだけれども、近場の上映館はタイムスケジュールがいまいち合わなかったりして、やっぱり東京に出るしかないかぁ、と。

そこで都内の上映館を調べていたところ、下北沢にあるミニシアター「下北沢トリウッド」でロングラン上映していて、しかもヨーロッパ企画の前作映画『ドロステのはてで僕ら』も上映しているという。へええ、いいじゃんいいじゃん。っていうか、よくよく見たら、下北沢トリウッド自体が『リバー、流れないでよ』と『ドロステのはてで僕ら』の配給会社なんですね。なーるほど。じゃあ、下北沢に行ってみるかー!

そんでもって、予告編を観た感じ、これはうちの息子にも絶対にウケるヤツだと確信したので、息子も誘って行くことにしました。まぁ、夏休みだし、受験生だってたまには遊んだっていいよね。映画は心の栄養剤だし。

というわけで、8月6日の日曜日、日帰りで東京へ。映画は午後3時からなので、それまでの時間は、久しぶりに吉祥寺の「井の頭自然文化園」で鳥や魚や動物や彫刻を眺めて過ごしていました。2時半過ぎに下北沢へ到着。

さて、下北沢トリウッドは下北沢駅から下北沢南口商店街を抜けて徒歩5分ほど、大きな6差路に面したビルの2階にあります。1階の看板は小さいので、注意していないとうっかり通り過ぎてしまいそうなほど、小さな小さな映画館です。

シアター内も本当に小さくて、座席は45席しかありません。スクリーンも小さめで、ホームシアターのような雰囲気も漂っています。床に段差がないので前に背の高い人が座っちゃうとちょっと見えにくいかも。

窓口でチケットを買うと、その時点でほぼ満席に近い状態でした。なんとか前のほうの2つ並んだ席をゲット(あとちょっと来るのが遅れてたらチケット取れなかったかも、ヤバかったー)!

 

で、肝心の映画というと、もう!めっちゃくちゃ!面白かった

京都の奥座敷と呼ばれる貴船の冬、清らかな貴船川のほとりに立つ老舗旅館「ふじや」を舞台に、突然起こった2分間のタイムループ現象。最初のうちは単なるデジャヴかなと首を傾げていた人たちも、やがて自分たちを取り巻くとんでもない状況に気づき、どったんばったんの大騒ぎ。パニックに陥る者、あっさり順応する者、いつまでもタイムループが続くことを願う者、原因解明に奔走する者、めったにない機会だからと思い切った行動を取ってしまう者など、それぞれの人物が2分ごとにさまざまな行動を起こします。なんせ記憶はそのまま残っているので、前の「ターン」で起きた揉め事をその次の「ターン」で防ぐことができるわけです。とはいえ、1つの問題が解決したかと思えばまた次の問題が起こり、まったく気が休まることがないのですが。

端的に言えば、この映画は「コント」です。きっかり2分間のタイムループを36周(!)、長回しで撮って繋いだ映画なのです。このあたりはさすが劇団というか、全員の息がぴったり合ってて、観ていてとても痛快です。

もちろん、物語の中ではタイムループしているという設定ですが、映画の撮影においては当然ながら違う時間が流れています。とりわけ今回の撮影は記録的な豪雪に見舞われるというトラブルもあったため、タイムループするたびに雪の降り方が違っています。ある「ターン」では小雪がちらほらと舞う程度だったのが、次の「ターン」では一面の深い積雪、その次の「ターン」では雪は全然ない、というように、景色はバラバラだったりします。それを「世界線がズレていってる」ということにして、力技でエイヤッと片付けちゃってるのが楽しい。

とにかく脚本が最高に面白いんですよね。台詞がいちいち可笑しくて、シアター内も爆笑に次ぐ爆笑でした。ホントに皆ゲラゲラ声をあげて大笑いしてましたよ。「私、初期位置その下のあたりなんで」とか「雑炊、奥深いですよ?」とか「ループとリープなんてどっちでもいいですから!」とか、もう一言一言でどっかんどっかん笑いが起きてました。ちなみに、公式パンフレットに撮影稿のシナリオが全て掲載されています。実際の映画とはほんのちょっとだけ違うんですが、まぁだいたい一緒ですかね。いやー読んでるだけでもホント楽しいっすわ。

そして、そのループの原因となったのは———それはヒミツ!ほらね、気になってきたでしょ?彼らがどのようにこの2分間の時の牢獄から脱出したのかは、観てのお楽しみということにしておきますね。2分間の繰り返しの中で深まっていく人間模様と合わせて、どうぞ腹を抱えてお楽しみください!

 

主題歌は、くるり「Smile」。おっとりとしたおおらかな歌声が、このドタバタ劇のラストを柔らかく〆てくれます。


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さて、上映終了後は、いったんシアターの外に出て、次の『ドロステのはてで僕ら』までしばらく待ちます。この隙にすぐ近くのクラフトビール専門店でビールを買い込む、抜け目のない私なのでありました。うふ。

 

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