つれづれぶらぶら

旅行記はちょっとずつ仕上げていきます。お楽しみに~。

新井貴浩さんの1年目を労いたい

我らが広島東洋カープの2023年が終わりました。

ペナントレース2位フィニッシュ、クライマックスシリーズ・ファーストステージ突破ときて、勢いに乗って甲子園に乗り込んだファイナルステージだったわけですが、いやー、やっぱり今年のタイガースさんはマジめちゃくちゃ強かったっす、はい。

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まぁね、ペナントレースで2位のカープに11.5ゲーム差をつけてのぶっちぎり優勝だったわけで、しかも我らがカープはもっぱら虎のカモにされてた感もあって、最初から勝ち目はほとんどなかったんですが、せめて1勝ぐらいはできればいいなぁと思ってました。しかしながら、そんな甘い夢も見させてくれんかった。タイガースさん、ホンマに強かったっす。投手力も層が厚くて、打線に切れ目はなく、しかも守備もガチガチに堅いって、こりゃもう素直に脱帽です。今日の8回表の末包くんのライナー、抜けたかと思うたけど、中野くんの好守備に阻まれましたな。悔しいけど素晴らしかったです。

というわけで、3タテされてストレート負けしたんですけどね、でも不思議なぐらいスッキリしてますよ。いやホンマ負け惜しみとかじゃなくてね。カープもようやっとったでしょう、3戦とも先制点を挙げたし、今日の試合なんて、ガタガタッと崩れてしまいそうなところを何度も踏ん張って、よう粘っとりました。やれることをやって、それで負けたという感覚が伝わってきましたよ。

ファーストステージでの羽月くんの3盗からのスクイズ(↓の動画参照)みたいな、度肝を抜くような果敢な挑戦はできなかったけれど、それはやっぱり岡田監督がそれをやらせてくれんかったということでね、相手が一枚も二枚も上手じゃったということでしょう。


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※ちなみに、この動画のタイトルの「羽月がスタートしている!」の元ネタは、言わずもがな2013年のWBC第2ラウンド台湾戦における鳥谷敬選手の伝説の盗塁、通称「鳥谷がスタートしている!」のパロディであります。なんてすごいんだ……(恍惚)。

 

いやー、それにしても、予想以上に楽しいシーズンになりましたね。

なんせ開幕前の下馬評が酷すぎたんだもん。評論家の皆さんのほとんどがカープを最下位か5位と予想していましたけど、その予想を跳ね返す好成績で、まさかこの10月下旬までワクワクさせてもらえるとは、嬉しい誤算ってヤツじゃないですか?

まぁね、何度も同じことを言っていますが、その嬉しい誤算の最大の理由は、なんてったって「新井さん」ですよ。うん、やっぱりこの期に及んでもまだ「新井監督」という呼び方はしっくりこんね。選手みんなの良き兄貴分にして、ベンチ最前列に座っている熱烈なるカープファン、サヨナラ勝ちのタイミングには誰よりも真っ先にベンチを飛び出してぴょんぴょん跳ね回って大喜びする、それが愛すべきカープの新監督・新井貴浩さんなわけですよ。


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コーチ経験もない1年目の監督で、実際には色々と苦しいことも悩むこともいっぱいあっただろうと思うんですよ。お疲れ様でした。よう1年間頑張りんさったねぇ。

でも、新井さんの偉いところは、絶対にネガティブな発言をしないこと。ミスをした選手に対しても、何かに挑戦した結果のミスであったならばその挑戦する姿勢を褒める。大事な場面で委縮してしまいがちな若手選手には、責任は監督である自分が全部取るから躊躇せずにやってこいと力強く背中を押す。監督の言葉に勇気をもらって、若手はのびのびグラウンドを駆け回ることができる。

マスコミに対しても、ひたすらポジティブな発言を繰り返すのが新井さん。負けた日だって、今日の試合の良かった点をコメントして、まずかった点は自分のミスだとして、選手のミスを責めず、変わらず期待していることを公言していましたね。

そんな新井さんの姿勢を、楽観的だ、厳しさが足りない、選手を甘やかしているなどと批判する人もたくさんいました。でも、そういう意見は聞こえていないふりをするのが新井さん。いつものようにへらへらっと笑って、冗談を言ってはぐらかしたりして。実際には、聞こえてないはずがないんだけどね。そういうところが、ブレていないというか、芯が強いというかね。

そもそも、新井さん自身が「ミスしてばかりの選手だった」っていうことが大きいんでしょうね。学生時代にもパッとせず、野村謙二郎さんなどに必死でアピールして、なんとかドラフト6位でカープに入団するも、入団当初はコーチ陣も呆れかえったというほどの「へたくそ」。早朝から深夜まで大下軍曹のシゴキを受けまくりボロボロになる毎日。エラーをすれば市民球場の厳しいファンにヤジられ、FA宣言をしてタイガースに移籍したら裏切り者と罵られ、何でもかんでも「新井が悪い」と揶揄され、選手会会長に就任すれば東日本大震災に端を発するストライキ論争の調整に奔走し、うーん、なんかもう、苦労人とかそういう言葉じゃおさまらないぐらい苦労してきてんだよなぁ。

はだしのゲン』の主人公・ゲンの「踏まれても踏まれても立ち上がる麦のような強さ」に憧れ、護摩行の炎に炙られて火ぶくれになりながら、新井さんは常に「弱い人」の気持ちに立って物事を考え続けてきた。エラーをした選手に向ける眼差しの優しさは、そこにきっと過去の自分自身を投影しているからなのでしょう。

監督としての采配が上手いかどうか、なんてのは、野球の素人である私にゃ全然分かりません。おそらくは隣で支えている藤井男前ヘッドの裁量が大きいんだろうなぁって気もします。でもね、それでもこの1年のカープの大躍進は、新井さんじゃなきゃできなかったこと。それは間違いなくそうだと思うんですよ。Bクラスに低迷して、自信を失いかけていた選手たちを鼓舞し、ベテランも若手も分け隔てなく、柔軟に活躍の場を与えた。その象徴となる今期の印象的なシーンといえば、やっぱり「上本タカシの4番起用」でしょう。


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4番は長距離バッターだという固定観念を吹き飛ばす「繋ぎの4番」としての起用。とはいえ、監督にそれだけ期待を寄せられたら、そりゃタカシも奮い立つでしょうとも。

それ以外にも、「昨日ミスした選手に、翌日すぐにチャンスの場を与える」といったシーンもちょくちょく見かけましたよね。すぐに汚名返上させることで、くよくよ悩ませる時間をなるべく短くさせる。そういった配慮が本当に上手だったと思います。

本当に楽しいシーズンでしたよ。大満足です。2013年から2014年にかけての、あの「何か素敵なことが始まりそうな予感」を思い出させてくれる1年でしたね。このクライマックスシリーズでも、末包くんや韮澤くんなどの若い選手に活躍の場を与え、その結果として失敗してしまったりもしたんですが、その「大一番で失敗した」という経験こそが次に進む大事なカギになってくるはずです。いいよいいよ、いっぱい失敗しんさい。いっぱい泣いて悔しがりんさい。それが君の力になる。乗り越えた壁はいつか自分を守る盾となるって言葉もあるじゃない、ねぇ?

そういえばね、クライマックスシリーズのファーストステージの2戦目は、長野県ではテレビで視聴できない(J-SPORTSには加入していない)ので、『春画先生』の映画を観た後で、吉祥寺のお好み焼き屋「恋鯉」さんに行って観戦させてもらったんですが、点を取ったり追いつかれたりハラハラする試合展開でした。めっちゃ熱い展開で、お店に集まったカープファンも大盛り上がりでした。楽しかったー!

というわけで、我らがカープの2023年の戦いはこれでひとまず終了。この後はドラフトとか秋キャンプとかファン感とかがあるけど、野球の試合を楽しむのは来年の2月までお休みということになります。私としては、今年は結局3試合しか現地観戦できなかったんで、来年はもうちょっと多くスタジアムに行きたいと思うところです。

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今年購入した羽月くんのユニフォームにもまだ袖を通していないので、来年こそはこれを着て現地で声を張り上げたいものですね。ああ、そんなことを考えていたら、もう来年が待ちきれなくなっちゃいそう。来年は誰が活躍するかな?

若鯉たちよ、来年はもっともっと暴れておくれ!ベンチの最前列で拳を突き上げて喜ぶ、新井さんのひまわりのような明るい笑顔を、もっともっとたくさん見せておくれ!