小正月の行事の中で、今日でも割とよく見られるのが「ドンド焼き」。大きな焚き火で、注連縄などの正月飾りや書初めなどを焼き、その神聖な火で歳神を送り返す神事です。
地方によって呼び名や行事内容はけっこう違うようで、トンド、サギチョウ、サイト焼きなどと呼ぶ地方もあります。同じ長野県中信地方でも、松本市では「三九郎(さんくろう)」と呼ばれてたり。
で、諏訪地方では、このドンド焼きの日に「厄投げ」という珍しい行事が行われます。これは、その年の厄年の人が、お菓子や小銭などに「厄」を移して、それを投げて他人に拾ってもらう風習だそう。
私が茅野に嫁いできてから毎年、子供会のどんど焼きの案内は読んでいたんだけど、まだ子供も小さいし、夜だし、火を使う行事だからと、遠慮してたんですね。
でももう子供も小学2年生だし、まぁ大丈夫かなーと、初めて参加してみました。
子供会からのチラシには、夜の6時に○○の道祖神で行います、って書いてあって。
あれ、○○っていつも通る道だけど、あんなとこに焚き火ができるような広場あったかなぁ、って思ってたら、ふっつーに民家の玄関先の道にダルマや注連縄を高く積み上げて燃やしてた。
もちろんすぐそばに消防車も待機させてるんですけどね。それにしても民家と民家の間の狭い路上で平然と行われるのには驚いた。まぁ、田舎ならではのおおらかさってやつですかね。
で、その火でまゆ玉(小さくてカラフルなお団子を枝の先につけた縁起物)を炙って食べている人達や、お酒のふるまいをしている人達もいて。
私は隅っこのほうでこっそり七夕の短冊を燃やしてました。そう、「カープ優勝」という祈願を書いた短冊をですよ。ありがとうございました天の神様。今年もよろしくです。
しばらくすると、ドドン!と太鼓の合図があって、6年生の役員の子達が坂道の上から「○○さんが厄を投げてくださいまーす」と大声で叫ぶと、ドッと子供達が坂の下に群がる。
最初は勝手がわからなくて、とりあえず息子と一緒にいたんだけど、ふと気づくと親は後ろのほうに下がって、下級生をなるべく前のほうに行かせてたのね。
あ、そういうことか、と思って、息子に「前に行きな」と指示して、私も後方へ。すると、今年が厄年に当たる人が坂の上からバラバラっとお菓子などを投げる。
すると、その投げた先に向かって子供達が一斉にワーッと群がる。また次を投げる。またワーッと小さな大群が動く。まるで鯉に餌をやっているかのごとく。
しかし、さっきから子供達がやたらと叫んでいるな。何だろう?
「マネー!」「マネー!こっちに!」
えらい即物的な願望やなオイ、と内心ツッコんでいると、その声に応えるように、今度は何か小さなものがばらまかれる。
コロコロっと転がって、私の足元にもやってきたので拾い上げてみると、10円玉とかを半紙の切れ端でくるんだものでした。
もうね、子供達の目の色がハンパない。まさに“現金”としか言いようのない感じで、子供達がその半紙の包みを争奪していくのですよ。
で、そんな感じで1時間ほど経過。
厄投げが一段落したっぽい雰囲気を見計らって、息子に声をかけて帰る。なんせ1月中旬の諏訪地域ったら寒くて寒くてたまんねぇもん。
それでも袋の中には戦利品がけっこうたくさん。
家に帰って広げてみたら、うまい棒が6本、袋菓子が6袋、板チョコ1枚、カップワンタン1個、タオル1枚、そしてマネーは計704円でした(∩´∀`)∩
厄投げで拾ったお金はなるべく早く使い切ってしまうのが良いらしく(他人の厄を溜めこむことになるからね)、翌日、さっそく息子は本屋に行って、好きな漫画を買ってきました。小学校低学年の男子ってコ○コ○コミック好きだよなぁ。
諏訪の小正月はこんな感じでーす。あなたのお住まいの地域にも何か面白い習俗がありますか?(^o^)/