つれづれぶらぶら

例のアレの実写版ってどんななん?不安しかないんだが。

『パプリカ』(映画)

そうか、今どきは『パプリカ』って単独ワードで検索したら晴れた空に種をまくアレばっかり出てきちゃうのか。でなきゃカラフルなピーマンのアレ。

 

違います。故・今敏監督の遺作となったアニメ映画『パプリカ』(2006年)の話です。

原作はSF小説の巨匠・筒井康隆。  キャッチコピーは「夢が犯されていく―」。

パプリカ [Blu-ray]

パプリカ [Blu-ray]

  • 発売日: 2007/05/23
  • メディア: Blu-ray
 

他人の夢を共有する画期的な装置「DCミニ」。セラピストの千葉敦子はそれを用いて「夢探偵パプリカ」という少女の姿でクライアントの夢に侵入し、極秘の治療を行っていた。ところがある時、そのDCミニが何者かによって盗み出されてしまう。その日から夢は夢を飲み込んで肥大化し続け、ついに現実世界をも浸食していく――!

 

「夢」をテーマにしたSFサイコホラー。

作中で何度も繰り返される「悪夢のパレード」は、膨大な数の人形や家電製品が楽しそうに狂った笑い声をあげながら往来を練り歩くというキ●ガイじみた映像で、しかもそのシーンに使われる平沢進の楽曲がまた素晴らしく脳内にこびりつく魔性のシロモノ。

でも、その悪夢の中を縦横無尽かつ勇敢に駆け巡るヒロイン・パプリカの明るい笑顔が、なんともいえず愛らしいのです!

現実の敦子は冷静沈着で高飛車なクールビューティなのに対して、架空人格であるパプリカは好奇心旺盛でいたずらっぽくチャーミング。次々と変貌する夢の世界の中で、ある時は孫悟空に、またある時はティンカーベルにと、次々と姿を変えて「悪夢世界」に立ち向かっていきます。

この、次から次へと入れ替わる世界や、強烈な色彩に彩られた人形たちのパレード、現実世界を飲み込んでいく悪夢の正体などの映像は、アニメーションならではの強烈なセンス・オブ・ワンダー。恐ろしさと同時にワクワクする楽しみをもたらします。それはまるで最高の遊園地のように。

 

で、私はこの映画を封切当時に劇場で観ているのだけれども、ステイホームで映画館にも行けず、Netflixをごそごそ漁っていたら、これに再会したというわけ。

この映画を劇場で観たときの興奮はよく覚えている。カラフルで、悪趣味で、冒険活劇で、グロテスクで、エキサイティングで、エンターテインメント性に溢れた素晴らしい映画を観た、と思った。それで、劇場を出てすぐに本屋に立ち寄り、筒井康隆の原作小説を購入した――筒井康隆はもともと兄貴がよく読んでいて私も好きだったから。

それですぐに本通りの(広島時代の話です)小さな喫茶店に入ってカレーを食べながら読みふけったのだけれども、ところが、驚いたことに「原作のほうが面白くなかった」。

私はかなり偏狭な「原作厨」気質なのだけれども、このときばかりは映画のほうに軍配を上げたものです。筒井康隆作品の魅力である実験性・悪趣味・エンターテイメント性という部分を上手に取り込みつつ、そのエンターテイメントの部分をアニメーションの持つ特性を最大限に活用して素晴らしく膨らませていたと思うのです。

(加えて言うと、原作は中盤から退廃性やエロスの要素が強く現れすぎて読後感があまりよろしくなかったのです。もちろん、あくまで私個人の感想ですが。)

 

14年前の映画だというのに今観てもまったく古びた印象を受けず、昔観たときのあのゾワゾワ&ワクワクする感覚がまた蘇ってきました。

今こそ青空に向かって凱旋だ!絢爛たる紙吹雪は鳥居をくぐり、周波数を同じくするポストと冷蔵庫は先鋒をつかさどれ!進め!集まれ!私こそが!お代官様!!!