「ねぇ、【ナスの守備位置】って、どこだと思う?」
晩ごはんの途中で、不意にそう呼びかけてみた。
「ふぇっ?何?」母親がいきなり何を言い出したのか分かっていない息子。
その横で、旦那は少しも慌てず騒がず、「うーん、サードかな」と即座に答える。さすがは20年以上の付き合いだ。いつも私の無茶ぶりに付き合わされているだけあって、妻が何を言わんとしているのか、説明せずとも理解してくれる。愛だねぇ。
しかしながら、このブログをご覧の方々は、ここまで読んでも何が何だか分からない、という方がほとんどであろう。そして、タイトルを読んだ時点で理解できている方は「なんJ民」もしくは「おんJ民」であろう。
この「〇〇で打線を組んだ」というのは、2ちゃんねる系の野球板では定番の、スレッドのお題。野球に全く関係のない物事をむりやり野球選手に見立てて、スターティングメンバーを組んでみたらどうなる?というネタスレなのである。そして、他人が書いたスタメン表に対し「〇〇がない。無能。やり直し」などとケチをつけ合って楽しむ、罪もなければ内容もない、極めて平和な遊びなのだ。
そんでもって、ナスだ。ナスは本当に有能な野菜だ。今夜の晩ごはんはズッキーニとナスのトマトソーススパゲティだったのだ。油を吸ったナスがトマトとニンニクのソースと絡み合って、実に美味しい。焼いて良し、揚げて良し、お漬物にも良し、和洋中どんな味にでも合わせられる。それってまるで、打って良し、守って良し、走って良しのプロ野球選手のようではありませんか(ごり押し)。
ナスは絶対に3番サードよね、広角に打てるし3割打てるし球際も強そう、と夫婦の意見が一致したところで(息子はずっとポカーンとした顔)、そんじゃ打線を組んでみようぜ、とホワイトボードの前で2人うんうん唸りながら作った打線が、こちらです。千葉ロッテマリーンズの名物ウグイス嬢、谷保恵美さんの声で読んでみてね。
【現観夢幻が作成した打線】
1 右 ホウレンソウ
2 遊 キャベツ
3 三 ナス
4 DH ピーマン
5 補 タマネギ
6 中 ジャガイモ
7 一 ニンジン
8 左 ネギ
9 二 ハクサイ
投 トマト
監督 ダイズ
ヘッド ショウガ
解説:現観夢幻
やっぱりね、『ポパイ』からのホウレンソウ神話は健在だと思うんだよ。肩が強そうってことで、俺はイチローをイメージしてる。バター炒めとかおひたしとかで、だいたい献立に入ってるあたりも、出塁率が高そうだと思うんだよね。
キャベツは応用範囲が広くて、ランチの添え物にもなれる万能選手。タマネギ、ジャガイモ、ニンジンは、カレーや肉じゃがのメンバーね。重量打線って感じするじゃん?
ピーマンは、子供のウケが悪いって意味で、守備は任せたくないかなって。
ネギは、俺は白ネギだけど、鍋物にも餃子にも何にでもなれる。ハクサイもそうだね。
で、ピッチャーはトマトでしょう。生でサラダにもなるし、焼いても味噌汁に入れてもいいし、トマトソースやケチャップにもなる技巧派。しかも華があるじゃん。子供にもウケがいいしさ、花形選手って感じするでしょ?
監督はダイズだね。あれこそ真の万能選手でしょ。往年の名選手。名球会メンバーの貫禄があると思うんだよねぇ。でも現場をあれこれ仕切ってるのはショウガ。ダイズはじっと戦況を見守ってて、ここぞという場面で動くんだよね。
【小泉秋歩が作成した打線】
1 右 トマト
2 二 ネギ
3 三 ナス
4 中 キャベツ
5 遊 ニンジン
6 DH ダイコン
7 左 ブロッコリー
8 一 コマツナ
9 補 カボチャ
投 トウモロコシ
監督 ニンニク
ヘッド シイタケ
解説:小泉秋歩
主力はやっぱ、どうしても似かよってきちゃうね。トマト、ネギ、ナス、キャベツ、ニンジンはどれも外せないな。ナスに関しては3番サードは動かせないわね。
イチローのイメージは、私ならトマトね。子供に人気があってルックスも良くて、きっと肩も強いわよ。トマトのレーザービーム、かっこよくない?
それと、私はやっぱりセンターラインはお好み焼き・焼きそば勢で固めたいのよ。あ、ネギは青ネギのほうね。セカンドが青ネギでセンターがキャベツ。キクマルコンビのイメージよ。キャベツはアベレージも高いけどホームランも打つ。なんたってお好み焼きの主役じゃけぇ。
ニンジンは千切りにすればキャベツの代わりに添え物にもサラダにもなるし、甘く炊けばグラッセにもなれる。打席ではキャベツの残したランナーもちゃんと返すし、ショートストップとしても守備範囲がかなり広くて有能よ。
ダイコンは、ほら、おでんでは最強だから。あと、おろしとして薬味にもなるし。
ブロッコリーはね、外国人選手なんだけど、もう来日してから長くて、そろそろ外国人枠から外れるんじゃないかなって感じ。元々はパワーヒッターとして呼ばれたんだけど、4番に置くと力んでしまうから、下位のほうが合ってるの。ちなみに三兄弟で、兄がカリフラワー、弟がロマネスコ。
コマツナは地味だけど堅実で、どこでも守れる便利なユーティリティープレーヤー。
カボチャは、いぶし銀の老獪なキャッチャー。元カープの石原慶幸のイメージ。下半身どっしり。打率はそんなに高くなくて、しょせん煮物か天ぷらかほうとうの具だろ、って地味な印象を持たれてるんだけど、ポタージュスープとかパンプキンパイとか、予想外のお洒落な一面を見せてくるあたりがインチキなのよね。
ピッチャーは、トマトを迎え撃つんならトウモロコシかなって。主食にもなるし、子供から大人までみんな好きでしょう。バター炒めも美味しいし。ポップコーンなんて意外性のある一面もあるから、きっとナックルボールも投げられると思うのね。
監督はニンニク。現役時代はものすごく人気のあるサードだったんだけど、とにかくクセが強かったのね。新庄みたいな変態打ちをしたりとか、試合以外でも話題にはこと欠かなくて、良くも悪くも「鼻につく」選手だったのね。で、監督になってからも派手なジェスチャーとか奇策とかで試合を盛り上げるんだけど、監督が暴走しそうになると隣のシイタケがちゃんと手綱を締めてくれる。シイタケは往年の名捕手で、おじいちゃんなんだけど、試合全体の流れを見てて、守りが少し薄いなと感じたら適切に調整してくれるのよ。
おまけ。
「昨年のドラフト1位選手は誰?」
⇒現観:ズッキーニ。3球団競合の末勝ち取った。ちなみにハーフ。
⇒小泉:山ウド。社会人からの単独指名。中継ぎ投手としての活躍を期待。
「昨年の育成指名選手は誰?」
⇒現観:リュバーブ。高卒。お菓子への応用範囲の広さに期待。こちらもハーフ。
⇒小泉:山茶茸(茶色エノキ)。独立リーグで長く燻っていたところを、シイタケヘッドコーチの強い要請により育成指名。30代子持ち。
「昨年、惜しまれつつ引退した選手は誰?」
⇒現観:フキ。「僕がいると、リュバーブ君の枠がなくなってしまう。彼はジャムにもなれるけど、僕は煮物しかできないからね」と微笑んで引退を決意した。
⇒小泉:ゼンマイ。「もう歳ですわ、アク抜きがしんどなりましてん」と、苦労人らしく冗談交じりに語った。
ま、こんな感じで。
「〇〇が入ってない、やり直し!」というご意見は、お約束として受け止めさせていただきますwww