つれづれぶらぶら

「予告先発」という単語を見て胸がトゥンク。ついに始まるのね……!

石を祀る

茅野駅のすぐ近くに、前々から気になっていたものがある。

それが、これ

すごくおっきな丸い石が、茅野ステーションホテルの敷地の横に、いかにも由緒ありげな雰囲気で祀られている。その横に看板があって、この巨石について説明しているので読んでみる。

要約すると、「なんかよう分からねぇんだけんど、掘ったら、へぇ、でけぇ丸い石が出てきたで、とりあえず祀っとくじゃ」という意味。

 

由緒ないんかーいヾ(-ω-;)

 

この巨石については、過去にYahoo!ニュースなどにも取り上げられたことがあって、日本中の総ツッコミを受けていた。

j-town.net

でもねぇ、ホント私、こういうの好き。ニュース記事にも書いてあるけど、なんというか、とても「ああ、諏訪だなぁ……」という気がする。石を神として祀る信仰は全国(あるいは全世界)にあって、原初のアニミズム(精霊信仰)の名残りだと言われているけれども、それを非常に率直な形で表現するのが諏訪人の気質だと思う。おっきくて綺麗な石を見ると反射的に「祀っとくじゃ」となる。

よその人だったら、まず「でも邪魔だし捨てちゃおうぜ」あるいは「売るか」ってなると思う。でも、仮に「祀ろう」ってなったとしても、そこに何らかの物語性を付与しがちだと思うのね。これを掘り出す際に不思議なことがありました云々、誰かの夢にお告げがありました云々。そうやって神秘性を担保しようとすると思うのね。

でも、諏訪の人は率直だから、そして石を祀ることに何の疑問も抱いていないから、何のてらいもなくストレートに「分かんないけど粗末にしたらいけねぇで、祀っとくじゃ」と公言しちゃう。この素朴さがいいよねぇ。ホント好き。

 

で、石を祀るといったら、そういえばあの神社をまだブログでご紹介していなかったわと思い出したのだった。そんなわけで、ダイエットも兼ねて、今日はお散歩がてら神社巡りをすることにしたのだった。

茅野市で「石」のつく神社といえば、真っ先に思いつくのは「御座石(ございし)神社」だろう。

御座石神社は、茅野市本町東の「鬼場橋(おにばばし)」という交差点の角にある。鬼場橋は茅野市の交通の要衝のひとつで、ビーナスラインとメルヘン街道という2つの幹線道路を含む、主要な道路の合流点になっている。鬼場というのはちょっとギョッとする怖い字面だが、元は神様にお食事をお供えする「御贄(おにえ)場」だったのではないかとする説もある。

さて、この御座石神社は、諏訪大社に祀られる神・タケミナカタの母神であるヌナカワヒメ主祭神とし、地元では「どぶろく祭の神社」として親しまれている。詳しくはこちらの看板をお読みいただきたい。

また、この神社は「御柱を建てない神社」としても知られている。「祀られているのが女神なので御柱を建てない」ということらしいが、詳しいことは分からない。何か他の事情があるのかもしれず。

ただ、御柱を建てない代わりに、鳥居を建て替えるらしい。この木の鳥居のそばにいくつか丸太が積んであったのは、おそらくそれに関係しているのだろう。

境内には、いくつも石が並んでいる。

その中でも特に重要なものが、最初に渡った入口の橋の横にある、ヌナカワヒメが履物を履き替えた跡が残っているとされる「御沓(おくつ)石」と、

拝殿の前にある「御座石」である。

 

他にも、拝殿横にも巨石がある。横の看板によると「穂掛石」というらしい。

矢ヶ崎村七石のひとつ、と言っているということは、他にもこういう巨石がこの近隣にたくさん祀ってあるということなんだろうな。

ね、だから諏訪の人が「とりあえず祀っとくじゃ」って考えちゃいがちなの、だいたい分かるでしょ。こういう「祀られた石」があっちにもこっちにもたくさんあるんだもの。そもそも「御座石」自体が、昔の諏訪大社の神事において重要な場所とされた「諏訪七石」のひとつなのだから(ただ、諏訪七石の御座石は、御座石神社の御座石とは別物だとする説もあって、そのへんはよく分からないのだけど)。

 

ところで、御座石神社は今年になって説明看板をリニューアルしたらしく、真新しい案内板がたくさんあった。こういうの助かる~。鹿に乗ったヌナカワヒメの可愛いイラストも添えてあるよ(*´ω`*)

どぶろく祭(矢ヶ崎祭)は4月27日。境内にある濁酒醸造蔵で作られ、近隣住民にふるまわれるという。どぶろくとは言っても密造ではなく、ちゃんと醸造免許を受けて作られているのだそう。

 

なお、ここで作られたどぶろくは、その後、茅野駅のすぐ近くにある犬射原神社と大年神社という2つの神社にも奉納される。昔は御座石神社から行列を作ってこの2つの神社に運んだということだが、今は車で運んでいるらしい。

 

こちらが犬射原神社。

茅野駅東口の前にある交差点の少し先(JAビルの隣)にある。今はご覧のとおり小さな祠がぽつんとあるだけだが、茅野駅周辺の再開発の前まではもっと広かったと知り合いから聞いたことがある。この看板によると、どぶろく祭の日には犬追物が行われていたようだ。そういえば、漫画『逃げ上手の若君』の中で諏訪大社の犬追物のシーンがあったなぁ。もしかしたらその舞台は此処だったかもしれない。

 

大年神社は、茅野駅西口を出て、線路沿いに右手に歩いていったところにある。地元民なら「割烹『森の家』の横」と言えば分かるところ。

こちらは御座石神社と同じく、御柱を建てない代わりに鳥居を建て替える神社。昔はこちらも大きな神社だったろうと思うけれども、現在は小さな公園のような佇まいである。

 

今日はぐるっと市街地を歩き回って、けっこういい運動になった(13497歩)。ちょっとはダイエットになったかしら。

そして、今回は説明看板が充実していたのでブログを書くのに調べる手間が省けて楽だったわ、というのが個人的な感想ではある(*^▽^*)テヘペロ