つれづれぶらぶら

旅行記はちょっとずつ仕上げていきます。お楽しみに~。

クラフトビールを飲んでみた・その16(八ヶ岳エリア特集)

「飲んだクラフトビールの感想をブログの下書きに書き溜めておこうシリーズ」の第16回目です。前回はこちら。sister-akiho.hatenablog.com

こないだね、『クラフトビールを語らおう!』っていう雑誌を買ったんですよ。

クラフトビールについてさまざまな切り口から取り上げた特集記事がいくつもあって、なかなか読み応えのあるムックなんですけど、その巻末の記事がね、八ヶ岳+αのビールを巡る旅。」だったんですよ。そのページを見た瞬間、あああ先にやられちゃったか!と後悔しましてね(天下のマガジンハウスに嫉妬してどうするって話ではあるんですが)

なお、その記事の中身はこちら↓でも読めます。

brutus.jp

長野県と山梨県にまたがる八ヶ岳連峰。私が住む茅野市もその八ヶ岳の裾野にあるわけですが、このエリアって、けっこうクラフトビール醸造所が多いんですよね。このブログでも何度も取り上げている山梨県北杜市の「うちゅうブルーイング」さんは全国的にも大人気のブルワリーさんですが、そのほかにも魅力的なブルワリーさんがたくさんあるんですよ~(*´ω`*)

…………だったら、もっと早よ特集を組んどけや。ハイ。すみません。

どうしてもね、地元は後回しにしがちなんですよね。近所のスーパーや酒屋で容易に手に入るから、いつでも飲めるわ、なんて思っていると、ついつい入手しにくい遠方のビールを先に選んでしまいがち。そんなわけで「いつかは八ヶ岳特集を組みたいなぁ」と思い続けていたけれど、結局こんなに遅くなっちゃったというね(;´・ω・)

 

前置き(というか言い訳)が長くなっちゃいました。本題に入りましょう。

クラフトビールを語らおう!』でも紹介されていましたが、山梨県北杜市は、日本のホップ栽培発祥の地。長坂にその石碑があると聞いたので、まずはその地を訪れてみようと考えました。

ホップは従来、其の大部分を国外よりの輸入に頼りつゝあったが、昭和十四年(一九三九)当時内外の状勢は緊迫の度を加え、これが需給の悪化が予想されたため、国内における生産の確保と本県農業資源の開発および当地方の特産作物として、これを導入することは誠に時宜を得た事業であることを認め、時の郡農会長、後の初代ホップ組合長井出和重氏は、キリンビール株式会社との契約栽培により、ホップの生産企図推進した。以後急速に増殖が進み広く県下にわたり栽培されるに至った。栽培開始以来五十五年目を迎えるに当り、其の発祥地として碑に刻み此の地に建立し、以って後世に伝えんとするものである。平成六年九月吉日(碑文裏面)

調べたところによると、この長坂町では国産ホップの第1号品種「カイコガネ」を開発するなど栽培が盛んであったようですが、その後、大手ビールメーカーが輸入ホップに切り替えたことで山梨県内のホップ栽培は一時衰退。しかし近年、若い世代の農家を中心にまた八ヶ岳エリアでもホップ栽培が行われるようになったのだそうです。

 

さて、車をさらに南へ、北杜市明野町に向かってみましょう。BRUTUSの記事にも登場した「MANGOSTEEN HOKUTO」は、昨年11月に、カメラの三脚工場だった巨大な元工場を自分たちの手で改装して作られた複合施設です。

この建物の中には、「万珍醸造(MANGOSTEEN BREWING LAB)」と「万珍酒店」、「万珍包」の3つの施設が入っています。「万珍」と書いてマンゴスチンと読み、「万(よろず)珍(めずらしい)」というコンセプトがそこに込められているのだそうです。アートやミュージックイベントなども行われるらしく、店内のあちこちに飾られた調度品が個性的でオシャレ。見ていて飽きない感じです。

酒店の奥の踏み段を上がるとそこはブルワリー。

その右端にある小部屋が、工場の社員食堂を改装した食堂「万珍包」です。

この、いかにも元社員食堂という雰囲気が逆にカッコイイ。緑色の壁に赤い机と椅子を見て、思わず「『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』の世界だわ……」と思ったのでした。

この「万珍包」の名物が、ビールの製造過程で大量に排出される「使用済み麦芽」を皮に練り込んだ蒸し餃子です。使用済み麦芽については、前にアウトサイダーブルーイングさんの公開仕込みで見たことがありますね、これのことです。

sister-akiho.hatenablog.com

アウトサイダーブルーイングでは豚の餌にするしかないとのことでしたが、それを餃子に再利用しているだなんて、気になるじゃありませんか。さっそく、4種類の蒸し餃子の定食を注文してみました。

具材は鹿肉や豚肉などをしっかり固めに作ってあって、それを包む皮はムッチムチ。使用済み麦芽のザラッとした食感が混ざるのが面白いです。皮自体にしっかり味がありますね。これにサワービールを合わせたらさぞかし美味しいだろう、と食堂の隅の冷蔵庫を見てしまいますが、残念ながら車の運転をしなければなりません。飲酒運転ダメ絶対。

というわけで、万珍酒店で缶ビールを買って帰ることにしました。MANGOSTEEN BREWING LABさんは、いま流行りのビール(いわゆるゴリゴリ系)とは違い、ファームハウスエールやサワーなどを中心とした軽めのビールを中心に作っているそうです。おっ、そいつは私の好きなタイプだぞ。フルーツ系も多く取り入れているようで、どれも美味しそうな感じでしたが、差し当たってこの2つを選んでみました。

 

1 MANGOSTEEN BREWING LAB「BRAIN WATCH

(Lime Gose ABV4.0% IBU10.4)

mangosteenliquors.stores.jp

酸っぱいサワーエールにライム果汁を加えて塩で味付けした、暑い夏に嬉しい爽やかなゴーゼ!酸っぱいけど酸っぱすぎないライトな飲み心地と、はじけるようなライムの香りが、めっちゃうまーい!すっごく軽くて一気にごくごく行きたくなっちゃいますね。ビールの味わいもちゃんとあって、コロナビールの瓶にライムを突っ込んだあの感覚を思い出す感じ。あるいはマルガリータのカクテルをサワービールで作ってみたバージョンって言ってもいいかもですね。めっちゃ私の好みだなー!汗をだらだらかきながら、おうちに帰ってきて、冷蔵庫を開けてこれがあったら超ハッピーだね!

 

2 MANGOSTEEN BREWING LAB「GOLDRAINFORESTHOP #2」

(SourIPA ABV6.0% IBU29.6)

mangosteenliquors.stores.jp

液色は明るいオレンジ色。心地よい酸っぱさが口の中に広がり、パイナップルや蜜柑のようなフルーツの風味を感じるんだけど、原材料にフルーツは含まれていないという。苦みもほとんど感じませんけど、IBU29.6。マジ?ぬるくなってくると、酸っぱさの角が取れてまろやかになり、かすかに酵母の風味が混ざってきます。

 

3 八ヶ岳ビール タッチダウンデュンケル

デュンケル ABV6.0% IBU?)

www.yatsugatake-beer.com

八ヶ岳クラフトビール」と言えば、北杜市清里の「八ヶ岳ブルワリー」さんを忘れてはいけません。創業は1997年、いわゆる「第一次【地ビール】ブーム」から生き残っている老舗ブルワリーです。初代醸造長の山田 一巳さんは、かのキリンビールで「一番搾り」や「ハートランド」などの看板商品を手がけたレジェンドブルワー。その山田さんが「自分の最高傑作」と誇るのが、このデュンケルです。

デュンケルはドイツ発祥の、ローストした麦芽を使った色が濃いめのラガーです。クリアな褐色の液体が美しく、グラスに注いでいる間もカラメルのような良い香りが漂ってきます。口に含むと、カラメルした麦芽の甘みがふくよかに広がっていき、香ばしい焼き色のパンを思わせるボリューム感があります。流行りのゴリゴリ系アメリカンビールもイイけれど、一過性の流行に左右されない定番ビールの、成熟したオトナの貫禄のような雰囲気。しっかし美味いなー!これ!!!

 

4 うちゅうブルーイング「PLANETADE ORIGINAL LEMONADE」

(CLOUDY RADLER ABV2.5% IBU?)

uchubrew.shop-pro.jp

このブログではもはや説明不要のうちゅうブルーイングさん。八ヶ岳周辺で最も注目を集めているブルワリーといえば、やっぱりうちゅうさんでしょう。そのうちゅうさんから、なんと!ついに!ラドラーが初登場ーーーーッッッ!

ラドラーとはラガービールとレモネードをミックスした低アルコールのビアカクテルのことです。アルコール度数2.5%は下戸には嬉しいですねっ!

天然のレモン果汁で作った、少し濁りのある淡い蜂蜜色の液体がキュート。口に含むと、甘~く爽やかなレモネードがするすると流れ込んで来、少し遅れてビールの味わいが舌の上にやってきます。へぇ、レモネードとビールの相性がこんなにいいなんて知らなかったな。飲み心地はライトで、ジュースみたいにすいすい飲めちゃう。

ラドラーという言葉の意味は「自転車乗り」だそうで、ドイツではサイクリング中の飲み物として愛飲されているのだとか。確かに、夏のカンカン照りの山道をサイクリングしている途中、峠のてっぺんで休憩して、景色を眺めながらこれをごくごく飲めたなら、さぞや気持ちいいだろうなぁ。でも、なんぼ自転車でも、アルコール度数が低くても、日本では飲酒運転ですぞ。飲酒運転ダメ、ゼッタイ。

しかしながら、甘くてアルコール度数も低いので、ビールが苦手な方でも抵抗なく飲めるのではないかと思いますね。最近では大手ビールメーカーなどから「スマートドリンキング」など飲み方の多様性が提唱されていますが、ビールを使ったカクテルで個人個人の好みや体質に合わせて飲むといった選択肢もアリですね。

 

5 8Peaks BREWING「Acii la Saison」

(セゾン ABV5.0% IBU?)

eightpeaks.co.jp

私の地元、茅野市から見える八ヶ岳の「八つの峰」、その名を冠したクラフトビールブルワリーが、エイトピークスさん。いやホントに、地元の酒なんだから真っ先に飲んどけよと言われそうだけど、あまりにも手に入りやすい(茅野駅のお土産屋さんでも売ってる)から、いつでもいいやって後回しにしてたもんでこんなことに(;´・ω・)

茅野市の北山地区に工場があるんですが、最近、工場を新設移転されまして、その新工場というのが、昨日の記事で取り上げた蓼科湖の道の駅の真向かいにあるんです。

真新しい工場で、外から醸造風景が眺められるのもイイですね。玄関ドアに貼ってあったお知らせによると、8月下旬のショップオープンに向けて現在準備中とのこと。ショップオープン後には工場見学の受付も予定しているそうですよ!要チェック。

さて、この「Acii la Saison」は、エイトピークスの夏限定セゾン。「あちーら」とは、諏訪の言葉で「暑いねー」という意味です。エイトピークスさんのビールは諏訪地域の方言を使ったものが多くて楽しいですね。

液色はかすかに濁った白黄色。柚子の皮を使っているらしく、ほんのり柑橘系の香りがします。口に含むとキリッとした酸味があって、苦みは少なめでとても軽やかです。派手さはないけど、スイスイ飲めちゃいますね。夏の飲み物はこういうのでいいんだよって感じ。ぬるくなってくると酵母の香りがほんのりと立ちのぼってきます。

 

6 ムギクラブルーイング「藍藤」

(ライスラガー ABV5.0% IBU?)

八ヶ岳の裾野、諏訪地方からもうひとつ。下諏訪町にあるムギクラブルーイング(田村醸造)のライスラガーです。うっすら濁りのある黄金色のビールで、名前のとおり、藤の花を思わせる華やかな香りがふわっと漂います。苦みはあるけど穏やかで、スイスイ飲めます。パンチもそれほど強くなくて、ほんのりと蜂蜜のような甘い香りも感じます。優しい味わいで、食中酒にも良さそうです。

 

7 ヤッホーブルーイング「僕ビール、君ビール。 はじまりのセゾン」

(セゾン ABV5.0% IBU?)

yohobrewing.com

ヤッホーブルーイングさんを「軽井沢のブルワリー」と考えるか「佐久のブルワリー」と考えるかは人それぞれだと思うんだけど、醸造所が蓼科山のふもとの佐久平にあるんだから、ヤッホーさんも八ヶ岳仲間ってことにしていいと思うんだ。うん(ちょっとごり押し気味に)。

そんなわけで、こちらは「クラフトビールを飲んでみた・その2」で取り上げた「僕ビール君ビール」の、2014年に発売された初代ヴァージョンの復刻版。最初の頃は句読点が入ってたんやね。

缶を開けると、ライムのような青い柑橘類の香り。透き通った黄金色の液体の上に、きめの細かい泡がもこもこ乗っかっています。口に含むと、キリッとした酸味があって、苦みもしっかりあります。舌の上に苦みがじわっと残ります。きわめてライトな現行版に比べると、自己主張が強めで味わいの輪郭がはっきりしている感じです。ぬるくなってくると酵母の風味がほんのり出てきます。

 

というわけで、今回は遅ればせながら、長野県・山梨県にまたがる、八ヶ岳周辺地域のブルワリーをご紹介してみました!まだ紹介しきれてないところもあるんだけど、それは、まぁ、おいおいね(そう言ってまたずるずる引き延ばすつもりなんだな)

実際のところ、このあたりは車でないと気軽に周遊できないのが玉に瑕なんですが、もしあなたが幸運にもハンドルキーパーに恵まれているのなら、今年の夏は爽やかな高原の風を浴びながらビールを飲みにいらっしゃいませんか。八ヶ岳いいとこ一度はおいで。ではまた!