「飲んだクラフトビールの感想をブログの下書きに書き溜めておこうシリーズ」、その第11回です。第10回までのまとめはこちら。
半年間、クラフトビールをいくつも飲んできたけれど、相変わらず舌は貧相で、専門用語も使いこなせなくてビールの味や香りを的確に表現できていません、すみません。
でもまぁ、あちこちの酒屋さんと喋るぶんには、専門用語なんか使わなくてもけっこう通じるもんです。酒屋さんはたくさんのビールを飲んでいるので、客の言いたいことを感覚的に理解してくれるんですね。曖昧なニュアンスや即興の造語でも通じ合うもんです。
私「あんまり“ヘイジーヘイジー”したのは飲みたくないんですけど」
酒屋「あー、はい、はい」
私「ホントはうちゅうさんとか大好きなんですけど、今はちょっと飲みたい気分じゃなくて」
酒屋「あー、うちゅうさんめっちゃ“ヘイジーヘイジー”ですもんねー。飲み疲れちゃった感じですか?」
私「そうなんです」
酒屋「じゃあ、これとかどうっすか。これもヘイジーIPAですけど、“ヘイジーヘイジー”してないですよ」
私「そうなの?じゃあ試してみようかな」
みたいな。なんか表情とか口調とかで通じるんすよね。
他にも、とっても美味しいんだけど、なぜか今ひとつピンと来なかったビールについて、「知らない外国語で書かれたすごくお洒落な雑誌を読んでるみたいな、分かるような分かんないような、すごくもどかしい感じ」と行きつけの酒屋さんに話したら、「ああー!言いたいことは分かります」と共感してくれたり。こんな感じのボヤッとした話し方でも、酒屋さんはちゃんと理解してくれて、「だったらこっちのほうが好みに合いそうかなぁ」と次の提案をしてくれます。クラフトビールという共通言語で通じ合うこの感じ。ちょっとヲタクっぽくてとっても楽しいです。
1 FARCRY BREWING「YOUR HAZY SOUL」
(Hazy IPA ABV7.0% IBU10)
「これは“ヘイジーヘイジー”してないですよ」というオススメで購入したのがこちら。群馬県桐生市のFARCRY BREWINGさん。醸造長の阿久沢さんは沼津の柿田川ブリューイングと兼任のブルワーさんだそう。
ジューシーなヘイジーに白麹を掛け合わせたビールで、液色はやや濁った薄い黄色。グレープフルーツやパッションフルーツのようなフルーティーな香りが快いです。口当たりは柔らかくてとてもジューシー。かすかな苦みはじんわりと口の中で徐々に広がっていき、穏やかな余韻を残していきます。爽やかな酸味とほのかな甘さが美味しい。ヘイジーだけど自己主張は控えめ(“ヘイジーヘイジー”してない)で、優しくてとっつきやすいですね。久しぶりに飲んだヘイジーがこれで良かった。
2 柿田川ブリューイング 「クリームラガー 」
(アメリカンラガー ABV5.0% IBU21)
その沼津の柿田川ブリューイングさんの代表銘柄のひとつ。パッと見はいつものラガービールでお馴染みの、黄金色の液色に白い泡。ただ、グラスを灯に透かしてみると、うっすらと濁っていることが分かります。飲んでみると、苦みが口の中にパーッと広がって、すぐにスーッと消えていきます。蜂蜜のような香り。キレはさほど強くなくて、柔らかさを感じるビールです。軽くてゴクゴク飲めますね。
3 フジヤマハンターズビール 「やぶさめ 」
(ライスセゾンセッションIPA ABV4.5% IBU20)
静岡県富士宮市でジビエ料理とビール醸造を行っているフジヤマハンターズビールさん。こちらは米と柚子ピールを使ったセッションIPA。泡がもっこもこに立つので、こぼさないようちょっとずつグラスに注いでいきます。色は綺麗な薄黄色でうっすらと濁り。口に含むとまずキリッとした酸味があって、柑橘系の爽やかな香りが鼻腔に抜けていきます。苦みは軽やか。アルコール度数もそんなに強くないのですいすい飲めますね。
4 フジヤマハンターズビール 「夕焼けロケット 」
(アンバーエール ABV7.0% IBU25)
同じくフジヤマハンターズさん。こちらは種子島産の安納芋を使ったアンバーエール。やはり泡がたっぷりで、香ばしい香りがただよいます。飲んでみると、まずカラメルのようなコクとほのかな甘さを感じ、そこにしっかりした苦みが追いかけてきます。苦みはじんわりと後を引き、優しい余韻として口の中に残る感じです。
5 open air BREWING「open air ipa 」
(Modern IPA ABV5.0% IBU?)
神戸市の小学校跡地を利用したブルワリーだそう。その名の示すとおり、心地よい風のようなビール作りを目指している醸造所なのだとか。このビールのラベルにはモダンIPAまたはニュースクールIPAというスタイルが表示されているんだけど、調べてみてもよく分からなかったですね。使っているホップが昔ながらの定番の品種じゃなくて、新しい品種を使っているということなのかな?
色は明るくてやや濁りがあり、泡立ちも良いです。口に含むと、IPAらしい爽やかな苦みと香りがあります。口に入ってくる時のパンチは他のIPAに比べるとわりあい弱め。苦みも後を引かず、後味も穏やか。飲みやすく、とても軽やかなビールですね。
6 VERTERE「Kleinia」
(ブロンドエール ABV5.0% IBU28)
あいかわらずバテレのビールは超人気で、どこに行っても見当たりません。取扱っている酒屋さんを調べて訪ねてみても、「いやー、バテレはオンライン発売開始直後に完売になっちゃって、めったに仕入れられないんすよね」と言われることが多くて、うーん、かくなる上ははるばる奥多摩に出向くしかないのか……?と考えながら、いつものように地元の行きつけの酒屋さんのドアを開けると、なんとそこにバテレが!「えっ、なんでここにバテレが?いつも取り扱ってないですよね?」と思わず失礼な質問をしたにもかかわらず、「そうなんですよ~!今回たまたま運よく仕入れることができたんですよ~!」と嬉しそうに答えてくれたので、私も小躍りして迷うことなく買いました。ああ青い鳥は地元(おうち)にいたんだね。
このクレイニアは、琥珀色の液色が美しいブロンドエールです。すっきりした味わいと、しっかりした苦みを持つ、王道かつ芳醇な、とても美味しいビール。どことなく昔のビールの味を思わせる、懐かしい感じもあります。昔のビールって今よりもっと味がくっきりしていたよね。
そして、先日の「お手製3種の漬物入り餃子」とペアリングしたのはこのビールなのでした。熱々の餃子の脂っこさに、ほの冷えのすっきり苦いビールが、そりゃもう合わないはずがないでしょうがっ!めっちゃ美味しかった~!
今回はこんなところで。また次回お会いしましょう~。