つれづれぶらぶら

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。プロ野球12球団のファンの皆さまへ。

キーワードは「多様性」

ここ数年の私自身を振り返ってみて、そういえば最近の私が好んで選び取るものには共通点があるな、と気づいたわけです。

分かりやすいキーワードで言うならば「多様性」です。それまでの価値観とか固定観念を打ち破るものに興味を持つ傾向があるな、と感じています。もちろん、それは私だけが特別なのではなくて、この令和の時代がそういった大きな価値観の変革の中にある、その潮の流れに私も乗っているに過ぎないのですが。

 

過去に書いた記事からいくつか挙げてみましょう。

 

例えば、コミックスではこのようなものを取り上げてきました。

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おばあちゃんが主人公(ヒロイン)というだけでも画期的なのに、そのおばあちゃんが好きになったものが「BL漫画」という、一昔前ならキワモノ扱いされていたジャンル。「好きなものを好きと言っていい」という自己表現の解放をテーマにした漫画です。映画も良かったねぇ。

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おばあちゃんがヒロインといえば、こちらも。

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夫を失ったおばあちゃんが映画監督を目指すという物語。自分がやろうとしていることは単なる老後の余暇活動なのかと悩んだりしながらも、「自己実現に年齢は関係ない」ということを伝えようとする漫画です。アセクシャル・アロマンティックや、封建的な価値観への反発といったテーマも織り交ぜられています。

 

最近お気に入りの漫画で、現在NHKで実写ドラマになっているのがこちら。

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女性たちを縛り付けてきた旧い価値観をひとつひとつ丁寧に解きほぐしていこうとする漫画。料理上手だとすぐに「いいお母さんになりそう」と言われ、ご飯の量は勝手に小盛りにされ、知らないおじさんから無償のキャバクラを強要され、家事や介護は女の仕事と決めつけられ……などなど。これまで真正面から語られてこなかった女性の生理を巡る実情をまっすぐに描いていたのも画期的でしたね。

そしてこの漫画の主題は「恋愛の形は人それぞれ違っていい」というもの。NHKのドラマでもこのあたりを丁寧に(原作以上にセンシティブに)描いてくれていて、本当に良作ドラマになってます。あああ、でもあと3回で終わっちゃうんだよなぁ……、もっと観ていたいのに……。

 

それから、こちらの漫画もたくさんのテーマを扱っていますね。

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クラフトビールの多様なスタイルを紹介しつつ、働き方や生き方、考え方の不自由さを、それぞれの登場人物が助け合って乗り越えようとする漫画。ジェンダーや人種といったテーマも織り交ぜられています。「ビールもさまざま、人もさまざま」と、それぞれの嗜好や価値観を尊重しようとする姿勢がいいですね。

 

そして、この漫画などに触発されて、私自身が今いちばんハマっているのが他ならぬクラフトビールなわけですが。

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いやー本当にね、今いちばんクラフトビールのことを調べるのが面白くて仕方ないです。未だにスタイル覚えられてないし、黒ビール系統は苦手だし、グラスもまだ買ってないですけど、でも醸造所やタップルームのことを調べて、どんな味がするんだろうって思うと思わず買いに走っちゃう。通販は今んとこ使ってないです。お店の人とお喋りしながら選びたいんだもん。今までのビールの固定観念ちゃぶ台返ししてくれるような一品に巡り合ったときの驚き、楽しさ、喜びを味わいたいんだもん。

なんせ、ビールは飲み会の席で一方的に飲まされるもので、やれ、大事なのはコクとキレだ、キンキンに冷やすのが正解だ、泡の量は3対7だ……、あーっウルサイ!って思ってましたもんね正直。嫌いでしたビール。勝手に継ぎ足されるのもイヤでしたし、ましてやお酌のために上司や先輩の席を回るのも大っ嫌いでした。どこのメーカーから出てても、苦いばっかりで違いなんざ正直ワカランし。球場で売り子さんから買うビールはシチュエーションが好きだから美味しいけど、何が悲しゅうて上司とツラ突き合わせて苦い飲み物をありがたがらにゃいけんのじゃ……、って、ずーっとそんなふうに思ってました。

可哀相ですよねビール。勝手に誤解されて、勝手に嫌われて。だから、クラフトビールの世界に飛び込んでみて初めて、ああ、ビールって本当はこんなに個性豊かだったの?こんなにもたくさんの表情を持っていたの?と驚いて、もっとよく知りたい、もっともっと仲良くなりたいって思ったんです。だから今はすっごく楽しいです。まだまだ知らないビールが世界にはいっぱいあるんですもん!

 

映画では、『さかなのこ』も面白かったですね。

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まず、実在する男性であるさかなクンの自伝が原作のはずなのに、その主役を演じるのが女優であるのんちゃん、という時点で衝撃的ですよ。「男か女かはどっちでもいい」という冒頭のメッセージに、この映画の姿勢が凝縮しているわけですね。

お魚がめちゃめちゃ好きで、お魚の絵が上手で、でも勉強は全然できない。他の人がやっている仕事も満足にできない。一歩間違えたら路頭に迷う人生。それでもいい。好きなことを一心不乱に貫き通してもいい。他人に評価されなくてもいい。

「普通って何?」というミー坊の台詞がありますが、この映画を観たことで、確かに私自身もほんのちょっと価値観が変わったような気がするんですよ。何が一番大事なのかっていう、こだわるポイントが変化したっていうか。観て良かったです、ホントに。

 

ああ、あと『犬王』も良かったね。

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主人公の犬王にアヴちゃんをキャスティングしたこと自体がまず素晴らしいと思うんです。高低、聖俗を自由自在に表現するアヴちゃんの伸び伸びとした歌声に圧倒されっぱなしでした。物語の内容も、呪いを受けて「卑しいもの」と見下されてきた子供たちが、そのパフォーマンスの表現力でぐんぐんのし上がっていく話で、差別や偏見からの解放を描いているわけなんですね。同じ湯浅監督の『DEVILMAN crybaby』に通じるものを感じました。

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音楽の面では、新しい学校のリーダーズなど、世界を舞台に活動している女の子たちに惹かれました。

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若い女の子だからって、ひらひらした衣装を着て愛だの恋だの歌わなきゃいけない決まりはないし、どんなチャレンジだってしていいんですよ。っていうか、男の子だから女の子だからとあえて言うのも既におかしいわけですよ。属性にかかわらず好きな衣装を着て、好きなジャンルの歌を歌えばいいわけです。


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そんなふうに、最近の私が「多様性」に着目している動機は、とりもなおさず、「私自身が古い価値観や偏見にとらわれた人間である」という自覚があるからにほかなりません。街で障害者の方を見かけるとどう接していいのか分からず困惑してしまいますし、外国人の方にも話しかけられるのを恐れて遠巻きにしてしまうタイプの人間です。性的マイノリティについても充分な理解があるとは言えませんし、無意識のうちにジェンダーハラスメントに繋がる発言や行動をしている可能性だって大いにあります。

だからこそ、せめて「知りたい」と思うわけです。

「理解」なんか到底できないかもしれません。いや、むしろ「分かった気になる」ほうが危険なような気もします。自分の思考にバイアスがかかっていることを常に意識していようと思っています。そのうえで、井戸の中からほんのちょっとだけ顔を出して外の世界を見ていたい。違う価値観に触れることを楽しみたい。今はそんな感じです。